シュガースライムとカカオスライムで作る特別なチョコレート
チョコレートの、30粒で一万円のもの買ってみたいですね
今日は街中で大量に発生したシュガースライムとカカオスライムの討伐依頼をこなす。
シュガースライムとカカオスライムは、なんの条件もなく突然街中に現れるタイプの面倒くさい魔物。一度発生すると何故か際限なく現れるので面倒くさい。発生が収まるまでひたすら潰して行くしかない。
しかし、すごく弱い。さすがに一般人が近づくと魔法攻撃を受けて怪我をする可能性があるので推奨されないが、冒険者に成り立ての新米さんたちには戦いの練習になる。冒険者を目指す一般人も、防具さえ揃えていればまあなんとか練習くらいにはなるだろう。一般人では痛い目に遭うとは思うけど。
シュガースライムとカカオスライムの特徴は、シュガースライムは甘いものを好み一般人の食卓にある甘い食べ物や飲み物を奪う。奪われても強くはならないのでそこは安心。カカオスライムは逆に苦いものを好み、一般人の食卓にある苦い食べ物や飲み物を奪う。こちらも食べたところで強くはならない。
シュガースライムとカカオスライムを倒すと、その身体の核となる部分から砂糖やカカオ豆が取れる。迷惑な魔物だが、この魔物から取れる砂糖やカカオ豆はすごく美味しいため供給を需要が上回る。つまり高く売れる。そのため、この依頼は町長が町のお金で出したものだが、町はそれ以上の収入を見込める。一般家庭への被害を考えると、それを補填してとんとんか少しだけ儲かるくらいかな。
この依頼はさすがに複数の冒険者が同時に受けて依頼料を討伐数に応じて分け合うという形になった。ソロ冒険者としては美味しくないが、まあたくさん討伐すればいいだけだ。
そうと決まればと光魔法を広範囲に掛けてシュガースライムとカカオスライムを町の広場に出来るだけ集めて氷魔法で核となる部分を壊す。弱い魔物なので抵抗もなく集まった。スライムが溶けて、砂糖とカカオ豆が出てくる。光魔法で器用に砂糖とカカオ豆だけを集めて、町長から用意された砂糖を入れる瓶とカカオ豆を入れる籠に仕舞った。
それでもまたふわふわというかポヨンポヨンと性懲りも無くシュガースライムとカカオスライムは現れるため、魔力回復ポーションをぐびっと飲み干して先ほどの作業を繰り返す。
何度も同じことを繰り返して、いい加減魔力回復ポーションに飽きてきた頃にようやく発生が収まった。町長に瓶いっぱいの砂糖と籠いっぱいのカカオ豆を渡す。一番多く討伐したのは私だったので、依頼料を一番多く受け取る。町長は瓶いっぱいの砂糖と籠いっぱいのカカオ豆にホクホクした顔をしていたので町にとって私の予想よりも良い収入になりそうだなと思った。
帰り道に、お財布がホクホクなのでリオルにお土産を買っていくことにした。今日ではなく前にシュガースライムとカカオスライムの発生があった際に作られたという、シュガースライムとカカオスライムの砂糖とカカオで出来たチョコレート。とても美味しいらしいので、リオルはきっと気にいるだろう。
宿に戻ると早速リオルが出迎えてくれる。
「リリア!おかえりなさいなのじゃー!」
「ただいま、リオル。お土産の超高級チョコレートだよ」
「超高級チョコレートなのじゃー!?リリア!一緒に食べるのじゃー!」
奮発して大きな箱入りの超高級チョコレートを買ってよかった。小さい箱もあったけど、一緒に食べるならちょっと足りない。
「いただきます」
「いただきますなのじゃー!」
まずは一口。うん、美味しい。
「美味しいのじゃー!カカオの風味というのかの?そういうのが口いっぱいに広がるのじゃー!」
「溶けるまでがゆっくりで、カカオの余韻を味わえるのがいいわね」
「カカオの味を活かしたチョコレートなのじゃー!大好きなのじゃー!」
チョコレートを二人で味わい満足して、二人でそのまま宿のベッドでお昼寝をする。美味しかったのでまた食べたい。…高いけど。
なんであんなに高いんだろう…むしろ普段のチョコが安すぎ…?




