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リリア、死地へ向かう

今回と次回だけテイストが違う感じですがすぐにいつもの二人に戻ります

リリアは大いに悩んだ。大口中の大口依頼。突然現れたソールイーターの群れとグールの群れに占領された古都を救えという依頼。依頼料が半端ではない。しかし、さすがにいくら魔法の天才とはいえソロ冒険者のリリアでは危険すぎる。リリアにとってグールは余裕だが、ソールイーターはさすが強すぎる。


しかし、背に腹はかえられない。


この前日、孤児院から連絡があったのだ。孤児院のある地区、スラム街の中にひっそりとあるのだが、そこも含めた広い地区が突然反王族過激派のテロに遭い怪我人が多数。孤児院のスタッフや子供達から死者も出かねず、切迫した状況であり特級ポーションをマジックボックスから至急送って欲しいとのこと。


特級ポーションは聖女様の祈りがないと作れず、貴重で高い。SSSランクの冒険者でもそうそう買えない。でも、リリアは迷わなかった。誰にでもお金を貸すが利子が高すぎると有名な危ない人達からお金を借り、特級ポーションを大量に購入。マジックボックスで孤児院に送った。お陰で孤児院どころかテロに遭った民全員が助かり、ついでに病人達や空腹で弱っていた人達も寿命を伸ばした。孤児院はテロに遭った皆から感謝された。そして反王族過激派は憎まれ、国家の分断を狙った彼らの目論見とは真逆の結果となった。


そんなわけで、利子が毎日跳ね上がるのをどうにかしなければならないリリアはこの大口依頼に一人で飛び込むしかなかった。うまくいけば借金返済だけでなく、特級ポーションを大量に購入するために使った今までの貯蓄も取り戻せるのだ。ダメだったら死ぬだけ。誰にも迷惑はかけない。


そこまで考えて依頼を一人で受けようとしたリリアの服の袖を、リオルが引っ張った。リリアはハッとする。リオルは私が死んだらどうなるんだろう。


「リリア、事情は知っている。止めはせんのじゃー。じゃがな、わしも連れて行け」


「リオル」


「わしはな、もう一人は嫌じゃー。リリアが死地に行くならわしも行く。それに、わしはドラゴンなのじゃー。今は魔力はほとんどないが、並みの人の子より強いぞー?」


「…リオル」


「この、身体ではの。危ないのは分かっとるのじゃー。でもの。もう、わしは、リリア無しでは生きていけないのじゃ。わしはこのままずっと人間に化けて、人間として成長してリリアとずっと一緒に旅するのじゃー。だからの?な?分かってくれ、リリア。観念してこのジジイを連れて行くのじゃー」


そこまで言うと、絶対離さないとひしっとリリアにしがみつくリオル。リリアは、何も言えなかった。


遠巻きに見守る他の冒険者達は、リオルの声は聞こえていないため普通にその様子を心配していた。どう見ても、死地に行く姉と止める弟である。


リリアは決断した。


「リオル。もしダメだったら、一緒に死んでくれる?」


「わしがリリアを守るから、リリアは死なんぞい」


にっこり笑って二人は決めた。古都に行こう。

たまにはおじいちゃんもかっこいいところを見せたいんじゃー

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