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空想世界のイル  作者: じばくボタン
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4話 遊戯

すみません。テスト連続で忙死んでましたすみません。スランプも重なり書いては消してを繰り返してましたすみません。横並べで書いてる小説もそのうち上げますすみません。

声が聞こえた。ただそれだけで、前線の兵士たちが泡を吹いて気絶した。兵士たちは半ば恐慌状態に陥り、エルメスの声も届かない。かく言うエルメス自身もパニック状態で、何が起きているのか全く分かっていない。


「当ててみてよ僕の魔法。なんだと思う?」


また一人、二人と次々に倒れていく。果敢にイルへ立ち向かう兵士もいるが、頽れるように膝をつき、そのまま気を失って倒れ伏した。発動の兆しも、効果も、何一つとしてわからない。今のところ、対象を無条件で気絶させる能力でしかない。エルメスに分かるのはそこまでだ。


「わかんないかなぁ、結構単純なんだけど」


「確かに単純ではありますけど、普通そんなぶっ壊れ魔法想像もつきませんって」


そう呆れたように呟くマイラだが、その緊張のない様子も、これだけの兵士に囲まれている状況からすれば異常だった。


「化け物め」


「うっわひどいなあ、そっちから仕掛けてきたんじゃないか」


「全くですよ、折角の逃避行がこれじゃあ戦記物になっちゃいます」


「そういう問題?」


闘いの最中だというのに、二人はリラックスした様子だった。エルメスにとっては屈辱でしかないが、それほどに彼我の戦力はかけ離れているのだろう。事実として、これだけの手勢を率いておきながら、たった一人に返り討ちにされてしまったのだから。


「どうしようか、皆殺しは流石にまずいし…」


「きゃあ怖い。こんな人が主人だなんて、私は一体どうなってしまうのでしょう」


「…兎も角、僕らを追いかけるのはなんとか諦めてもらわないと」


いや、この状況で追いかける訳ないだろ。兵士全員が同じことを考えているのは、想像に難くない。こんな化け物を相手取るなど、誰しも二度とは経験したくないだろう。それこそ、次は殺されてもおかしくはないのだから。


「総員、撤退だ。これ以上被害を出すな」


逃げられるかどうかもエルメスには賭けだったが、彼らにとって幸いなことに、イルたちが追撃することはなかった。


「一体、何の固有能力を有しているというのだ、あの化け物は」


エルメスの呟きは、虚空に溶けていった。


************


兵士たちを撃退した後、簡単に食事をとってから再出発する。


「あれだけ圧倒的なら、普通に逃げて良かったんじゃないですか?」


「吸幻石が怖かったからなあ…飛んで逃げれば魔法を消されて落とされかねないけど、近接戦闘ならとりあえずは体内で魔法を完結させれば簡単に制圧できるし」


「使ってなかったみたいですけどね、吸幻石」


確かに使っていなかったけれど、結果論でしかない。使ってくる可能性があったなら、危険な手段を取るわけにはいかなかった。


「結構派手にやらかしてしまったのもありますし、国際指名手配とかならないですかね?」


「いや、そんなことをすれば外国で僕らが処刑されてしまうリスクがある。スザックがそんな手段を取るとは思えない」


実際、()()()()を投下してこなかったのは、各国に動きを悟られるからだ。あれほど大きな力を動かせば、少なくとも周辺国家は異常を察知し、すぐにでも僕の存在に気づいて、確保に動くだろう。


だから、スザックはただの兵隊しか送ってこなかった。あんなに簡単に撃退できたのはそういう訳だ。


「まあ、次はなりふり構わずに仕掛けてくる可能性もあるから、早いところ移動しちゃおうか」


「そうですね。もう自重する必要もないんじゃないですか?どうせ目をつけられてるんですし、領地経営する必要もないですし」


「うーん…そうだね、吸幻石も貴重だし、僕らを囲い込もうとする国はあってもスザック王国みたいに実験台に使おうなんて国はそうそう無いだろうし。基本的に逃げるのは難しくないから、結構自由にふるまってもいいのかも」


マイラの言う通り、自重しなければまず捕まることはない。飛んで逃げる以外にも手段はあるし、一度行けば次回からは転移もできる。


「よし、思い切って飛んじゃうか。幻量が足りるかだけ心配だけど」


イルはマイラを抱き上げると、宙に足を踏み出した。勢いよく空中を蹴ると、まるで重力から解き放たれたかのように、二人の身体は空へと浮かび上がっていく。


「このまま飛ぶよ」


「墜落しないでくださいね」


二人の姿は空に溶けて消えていった。


************


「逃がしたか」


報告を聞いた王は、何とはなしに上を見上げた。やはり、というべきか、どうやらイル・ストックラインという人物は、人知を超えるような何らかの力を持っているようだった。


「やはり『アガレス』を使うしかないか?」


「王よ、それは…」


「分かっている。言ってみただけだ」


スザック王国が保有する最高戦力を動かせば、簡単に他国に動向を察知されてしまうだろう。アガレスは扱いづらいこともあり、運用することは憚られた。


「しかし、それ以外に手段がないのも事実だ」


「そうですが」


王はゆっくりと手を組み、据わった目で、虚空を睨みつけるようにして呟いた。


「『超越体』は何としても俺が確保しなくてはならない。固有能力が覚醒する前に」

アガレス、出てくる予定は無いです。主人公のあずかり知らぬところでは色々やりますが、ストーリーの本筋には多分絡みません。彼(彼女?)は無限再生する人の融合した機械です。知能はほぼ消滅しており、機械のあらゆるパーツが人間を取り込んで生体金属に変化しています。無限再生するので弾薬無限、装甲無限の兵器ではありますが、特級戦力としては下から数える方が早いくらいには弱いです。

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