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空想世界のイル  作者: じばくボタン
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3話 応戦

日にち空けてすみません。すみませんでした。本当に。

遠足行ってました。楽しかったです(小並感)。

あと自分用にコソコソ書いてる小説が捗りすぎたのも原因の一つです。

王都から脱出した後、二人は地上に降り、散歩するように街道を歩いていた。


「馬はもう諦めたほうがいいですね」


「そうだね、取りに帰るリスクを負う必要は無いと思う」


このまま追いつかれる前に、二つ隣の国まで移動してしまいたいとイルは考えている。奇しくもマイラの希望したスウェムスコル連邦は丁度良い位置だと言えた。シリバルク王国を挟んで、スザック王国の西側に位置している。


スザック王国側として、最も困るのはイルとマイラの情報が他国にわたり、更にそのまま取り込まれる事のはずである。そのため、スザック王国はイルとマイラについて、容姿や名前以外の特徴を開示できない筈だった。


そしてもし国際指名手配などすれば、移送時の危険性を考慮してその国で処刑が行われてしまう。生け捕りに出来なくては何の意味も無いので、この手段も選べないだろうと予想できた。


「という訳でマイラの行きたがってたスウェムスコルに行こうか」


「え?当たり前じゃないですか、他に選択肢はありませんよ?」


どうやらひそかに計画していたらしく、マイラの手には観光パンフレットが握られていた。どこで入手したのか、イルにはわからなかったが。


国外へ逃亡するにしては、二人の手荷物は少なかった。金銭は稼ぐ当てがいくつもあるし、最低限食べるものは森に入ればいくらでも手に入る。身分証や道具類など、簡単なものしかもって来ていなくても問題は無かった。


「海に面しているみたいなので海産物も食べれますよご主人様!なんですかこの気持ち悪い…タコ?って美味しいんですかね!!」


鼻息荒くスウェムスコルの紹介を続けるマイラだったが、全部食の話だった。イルも興味が無いわけではないが、マイラの食にかける情熱には少し理解の及ばない節があった。タコなど、写真を見れば食欲が湧くような見た目はしていないのである。


「おそらく追手も吸幻石を持ってくるだろうし、なるべく早くスウェムスコルに入っちゃいたいよね」


「もう飛んで行ったら良いんじゃないですか?もうどうせコソコソする必要もないですし、パーッとやっちゃいましょうパーッと」


「それもアリかもね」


しかし、あまりイルの能力を見せることは、他国でも狙われることにつながる。そのリスクを考えると、安易に飛んだりして移動するのは難しいとイルは考えていた。


「獣狩りギルドに入ってみたらどうですかね、そうすれば拠点を決めるだけで、その国が味方になってくれますよ」


「あー…うーん…吸幻石さえこの世に存在しなければ、そんな面倒な事しなくて済むのにな…」


一考に値する案だったが、イルは既に商業や魔道具の組合証を持っているため、更にギルドに所属するとノルマや依頼の管理が面倒だとすこしげんなりする。それを除けば名案だった。


「まあ、その時その時で考えることにしよう」


「出たとこ勝負ですね!私結構好きですよそういうの」


ふとマイラが空に視線を向ける。数瞬の後、丸々と太った大きな鳥が、地面に打ち付けられて死亡した。


「今日のご飯です」


「ホント便利だよね」


「ご主人様もできるじゃないですかやらないだけで」


マイラは手早く鳥の血を抜いて、内臓を引きずり出す。機嫌よく鳥を捌く血まみれのメイドは、少し威圧感を感じるほどだった。あっという間に鳥が良く見慣れた肉の姿になり、マイラが取り出した鍋の中に放り込まれた。


「とりあえず焼いて、煮込んで、ポトフにします」


「またぁ?」


「またです」


美味しいのは間違いないが、如何せん頻度が高すぎた。というかポトフと言ってはいるが、見つけた木の実や適当な肉を雑に煮込んでいるため、ポトフとはかけ離れたものになっていた。


まず目を引くのは紫色のスープ、何かの実の汁だろうか。毒々しい色はほかの具材も染め、さらに脈動する謎の実はパチパチと弾けるようにスープを散らしていた。まともなのは肉だけか。


「これ、食べれるの?」


「食べれますよ、見た目はあれですけど。うん、おいしいですよ」


おそるおそる食べてみると、確かに美味しかった。


******


目が覚めると、満天の星空がそこにあった。どうやらポトフに入れていた材料に何か入っていたらしい。体を起こすとハンモックがゆらりと揺れ、イルの隣で寝ていたマイラの、やけに満足気な寝顔が目に入る。


これは何かされたなと考え、イルは水鏡で自身を見てみる。しかし、異変らしきものは見当たらなかった。


「…うーん、流石に逃げたほうがいいかな」


耳を澄ますと、遠くに馬の駆ける音が聞こえる。イルはマイラを抱き上げて、脇の林に飛び込んだ。


「きゃっ…ご主人様ってば大胆なんですから…」


「マイラ、追手が来てるみたいだ」


「うえぇ…しつこくないですか?こんな夜中まで、良く追ってこれますよね」


「向こうも必死なんだと思うよ。国外に出られたら終わりだし」


遠くに松明の明かりが見える。まるで山狩りだ。探知魔法の類を使っているのか、追いかけて来た部隊はイルたちのいる方へと進路を曲げたようだ。


「飛びますか?」


「撃ち落されると怖いなあ…向こうの規模もわからないし」


「固有能力があれば違うんでしょうけど」


魔法使いであれば必ず持っているという固有能力。金の目を持つ者は必ず20までには覚醒するらしいが、二人の固有能力はまだ覚醒していない。その上で大人数十人が束になっても敵わないほどなのだから、スザック王国が必死に追い回すのも頷ける。


「そういえば、王宮では割と普通に飛んでましたよね」


「あの時は吸幻石があったからね、向こうの魔法を恐れる必要はなかったんだよ。なんか死屍累々って感じに積みあがってたし」


やはり徒歩と馬では大きく速度に差が出てしまうので、蹄の音がどんどん近づいてくる。逃亡という選択肢を振り払い、イルは振り返って戦闘態勢を整えた。


「迎撃するよ、マイラ」


「イエッサーです」


イルの腕から飛び降りたマイラも、視線を音のする方へ向ける。地鳴りがするほどの数だった。数百騎はいるのではなかろうか。


戦闘の大将らしき男が少し前に出て名乗りを上げる。


「私はスザック王国騎士団長、エルメス・ライガーテールだ。お前たち、大人しく縄につけ。痛い思いはしたくないだろう」


「すごいですよご主人様、私たち犯罪者扱いです」


「捕まったら、どう考えても碌な目には合わないよね」


イルは頭の中で、殺傷力が低く、尚且つ敵を無力化できる大規模な魔法を、しっかりとイメージする。


「まずは戦意を削ぐところから始めるよ」


「この数を相手に、よくもまあそれほど豪胆な態度が取れるものよ。勇者か愚者か、このエルメスを打ち破れるものなら破ってみよ!全軍構え!!」


エルメスの号令と同時に、敵兵が一斉に杖や弓を構える。見た所弓の矢じりは、極小の吸幻石が埋め込まれており、一発でも食らえば無力化されてしまうだろう。


「物騒なもの持ってくるなあ…発動限界超えちゃうよ僕」


「一回も見たことないですよそんなところ」


これだけの数を相手にして、二人は全くの自然体だった。じりじりと騎馬が移動して二人を取り囲んだが、それでもまだリラックスした様子でいた。それは十分、敵兵に不安感を与えていた。


「全軍、放て!!!」


エルメスの号令で多種多様の魔法と弓矢が飛んでいく。それは夜闇をかき消すほどの閃光となって襲い掛かり、イルの視界は真っ白に染まる。


「撃ち方止め!!!」


大量の魔法が押し寄せたことにより、二人の姿が確認できないほどの砂煙が立っていた。二人とも生け捕りにするよう言われているため治癒魔法使いも待機し、殺傷能力の低い矢や魔法を使っている。


しかし、それでも「殺してしまったのではないか?」と兵士たちを不安にするほどの集中砲火だった。


エルメスが二人の姿を確認しようと一歩前に出たその瞬間、突風が砂煙を、兵士たちの方へ吹き飛ばした。


「何が起きたかわからないって一番怖いよね」


やけに響いたその声の主は、イル・ストックラインに相違なかった。

設定ゲロしたいけどネタバレになるので吐けないんですよね。魔法の解説とかもあるんですけど、エントロピーがどうのとか書いてあるので書き直すのが面倒くさいです。はい。すみません。

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