1 美少女になる
初投稿です!
至らないところばかりだと思いますが、暖かい目で読んでいただけると幸いです。
「もう二度と誰かを好きになんてならない」
そう心に決めたのに一
「今日の講義はこれで終了とする。次回までに105ページまでの予習をしておくように。」
はぁぁぁぁぁぁぁあ。やっと1週間終わった。
この教授の説明死ぬほどわかりづらいんだよなぁ。
とりま、帰ってゲームしよ…
長かった講義を終えて、ニマニマしていると、友人の愛茉が声をかけてきた。
「あの教授の説明わかったぁ???意味不明だったんだけど!」
「分かりにくかったよね」
私が苦笑いでそう返すと、愛茉は私のノートを覗きながら
「まじで分かりにくかった。でも、やっぱ、天才様は違うわぁ。ノートが分かりやすいっ」
「そんなことないって」
教材をカバンに詰め込みながら、また苦笑いで返す。
「よし!帰るかぁ」
愛茉が呼ぶ声と同時に立ち上がると、見慣れた姿が目に入る。
長いまつ毛に、少し茶色に染めた髪。透き通った肌に、すらっとした長身の男子が「海斗〜!」と黄色い歓声をあげられつつ、今日も今日とて女子に囲まれながら帰ってる。
私この前までこんなイケメンと付き合ってたのかぁ。自分事なのにどこか他人事で、傷ついた思い出を二度と思い出さないようにと奥にしまい込む。
「……いっ、るいっ、るいってばぁ」
愛茉の呼ぶ声にハッとする。
「まだ海人くんのこと引きづってんのぉ?いい加減前向きなって」
「別に引きづってなんかないよ…」
「とりあえず、どっかパァーッと遊び行こっ!」
「そだねっ。それしかないわ!」
愛茉といつも通りの居酒屋に行って、今日はお酒を頼んでみた。いつもは頼まないけど、1週間が終わった記念にね、
「かんぱぁーい!!」
お酒の強い愛茉合わせて飲んでいくと、私はあっという間に潰れてしまった。
だんだん頭が溶けてくるみたい。何も考えたくない…自分のことも。海斗のことも。体が火照ってきたなぁと思ったら、まぶたが重くなった。あぁ、もう無理かも、口に出たかさえも分からないような言葉を発し、意識を手放した。
「ううん…よく寝たぁ」
起き上がると、頭が痛い。
「うわぁ、絶対二日酔いだわ。」
まだ完全に覚醒してない脳で、重い瞼を必死にあげる。
今日は夢見がよかったのか、やけにふわふわしたところで寝てた気がする、そんなことを思いながら、目をこすっていると…
あれ、なんか私肌白くない!? しかも、髪の毛こんな明るい色じゃなかった気が…
てか、ここどこ!?何このお城みたいな部屋!?
ぐるぐると辺りを見回しても、最近流行りのアンティークみたいな家具しかない。白いネグリジェに、くせひとつない髪の毛をしている。
その瞬間私は悟った。
「あっ、これ夢かぁ。」
よし寝よう。
すると、すかさずノックがして
「おはようございます。お嬢様」
と声がする。
へぇ、お嬢様になる夢かぁ。案外いい気分かも。
「どーぞ。」
と声をかけると、
「失礼します」と声がする。
うわぁ、アニメとかで見た事あるっ!!テンションが上がりながら、メイドさんの格好をした人に化粧台に移動させられる。
やっぱり私じゃない。誰の体なんだろうと思いながら、鏡を見ると、絶世の美女と目が合ってしまった。
ミルクティーっぽい色のサラサラ、ツヤツヤの金髪にエメラルドグリーンの透き通った瞳。
「うわぁ、やっばぁ。」
思わずそうつぶやくと、メイドさんの格好をした人が怪訝な顔でこちらを見てくる。
「お嬢様、いい加減目を覚ましてください。顔を洗いましょうか?」
すると、手際よく水が入った桶が準備される。そおっと手を入れると、ふと、違和感がする。
え、なんか水リアルじゃない?これ夢だよね…
思いながら、目よ覚めろと叫ぶ勢いで頬を思いっきりつねる。
「痛っ」
え????あれ?????どういうこと????
もしかして夢じゃ…ない?…
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」
ありえない現実から目をそらすように、私は奇声を上げながら失神した。