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尾行  作者: 道芝
9/11

 しかしそうは上手く行かないのが道理であるのは薄々気づいていたがこの大一番はどうも運命様には大一番と目されなかったらしくまたもやこめかみに硬い感触がある。もうそろそろ交代のときだおまえさんとあいつは言うがそれは嫌だまだおれは語り尽くしていないまだ語り尽くし足りないのだ頼むもう少し待ってくれお願いだと言ってみたもののだめだもうお前さんには任してられない第一こんなものは語りではないなんでもかんでも思ったことを書けばよろしというわけではないのだし第二にだが例えおまえさんがこの語りを意識の流れの究極だと思っていることを肯定するとしても前みたいに汚い下ネタに奔られては困るのだよ君の想念の向かう先の本当のところが露見するだけならばまだしも語りが命のこの世界をこうも汚されては息がつけないのだよとここまで一息に話すあいつに道理があるのは明白なのだ。


 それになおまえさんがおれをつけている体にしたのはそもそもこうした破綻を見越していたからであってバトンタッチできる男を不自然に一時期おまえさんが固執していた言葉だが不自然にではない形で登場させておきたかったという保険ではなかったのかこう担保されては語りの自覚を問わなくてはならないしというよりも現におまえさんがこれを語っている所にもうおまえさん自身の破綻が予告されているわけでそう律儀に語れば語るほどキリキリとおまえさんの存在は膨らみ持続するかに見えて細っていくわけだし実は膨らみ持続するのはぼくのほうであるのだ。


 我が国の国語の特質としてあげられますのは入れ子構造というものでござりましてこれは東京大学文学博士時枝誠記氏が著作で公にされたところであります入れ子構造とは即ち包む辞と包まれる詞のことをいうのでありまして例えばここにマロウンは死ぬという文章を作りますとまずマロウンなる詞は辞のはに包まれるわけでして次にこのマロウンは死ぬという語句はこれは辞書の項目に過ぎないのではないのでありまして話者の陳述でありますから文末の見えない存在しない包摂機能を措定してこれに包まれるわけでござります包み包まれるこの国語の特質を是非とも記憶していただきその一端にでもこの私めを記憶していただけたらば今生の第一の幸せでございます、ささっみなさまお手荷物をお忘れなく次の便が間もなくきますからさよならだけが人生だというわけでしていささか危ない橋をわたっ

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