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尾行  作者: 道芝
8/11

 トイレに行かせてもらえたというのは痛みに苦悶するにも顔をしかめるほども力めずただただ無表情におそらく顔の血の気の引くのがよくわかったから青ざめていたのだろうし先まで威勢よく言い返してしたおれが急に黙り込んだのも奇妙に思えたろうし何より無言の数分間を得ておれの腹がキュルキュルキュルと泣き出したことでおまえ腹が痛いのかと声をかけてもらえたのだ。緊張感のない奴だなと言われても緊張の連続で腹の冷えるのまで気を回せなかったのだから仕方なく前と後を二人に挟まれてトイレまで向かったわけだがこの二人は便所には入らないのは臭いのは嫌だからなそれはおれも同じだと便所の扉を押す刹那しかし見張りがいないとは随分と不用心ではないかそれでもおれはチャンスはものにする男であることをさては知らないなしめしめおもいっきり下痢を放ったらそそくさとこんなところ出てやろうと扉を押してからはそんな考えはほっぽりだして腹痛に素直にさっさと個室トイレに入ろうとするがはじめは和式次も和式最後の個室は洋式であるが汚いみんな和式が嫌なんだなそれはおれもと汚くても洋式を選んで便器の前に立ちズボンを下ろしてしゃがみ込むと便座に尻を付ける前に液状のうんこは放たれるからこれから座る便器に飛び跳ねるあるいは直にでもついてはいないかとためらいつつもそれは心の動きだけでどしんとしゃがみ込む拍子にピーと二発目が放たれたというのも便座が冷たくて。


 出るものは出たが腹の痛みは薄まりつつある途中であるからまだ座っていたほうが良いと判断してその間の暇つぶしにと頭を上げて前方の落書きと言うか彫り物でもないかと探してみるが個室の壁は傷が少なかったので何か書いてやろうかと企んでいると扉がガタガタッガタッと何度も思い切り引かれるからびっくりして出すもの出した感は忘れて三発目が出たその音が扉の向こうに伝わったのだろうそれで最後かどうなんだとだいぶ切羽詰まった言い方であるから余計な一発でしたと言い返すとじゃあっさっさとケツ吹いて出てくれねえかと言われて他は空いてないんですかと尋ねたのは思い返してトイレの出入り口が開閉する音は全然記憶にないのだがそれでも二人も出入りしたはずはなかろうし個室は仕切られていても連続しているのだから誰かが大便で入ったらわかるだろうしそちらさんだって放出の音が無いとは思えないからまだ和式は空いていると結論したからなのだがえぇっ和式ですかそれは無理ですと困惑されては仕方ないとウォシュレットを探ったがないペーパーは残り少ないから残り枚数大切にと最初はべったりつくから多めに巻取りだんだん減らして拭いていってもなくなってしまったが最後の拭き取りで確認すると次あたり拭けばもう付くものはない色の濃さであったから立ち上がってズボンを上げて流すのを忘れずに出てやると見張り役の一人ですぐに籠もってしまった。


 トイレを出て手は洗ったかボスは綺麗好きだからなと言われたがちゃんと洗ったあいつは待たなくてよいのかよいでは行こうかと先まで居た部屋に戻るがそういえばかれは何でケツを拭くのか芯は残しておいたからそれで拭けなくもないがと思いつつも自分のことではないからいいしておきたいところだがこのあと再開する尋問の際にかれの拭ききれなかった糞で何かされたは堪らないという想像がどうしようもないのに浮かんでしまうから前を行く見張り役にそういえばもうひとりの奴もうんこしているんだがあいつの個室にトイレットペーパーがもう無いと思うんだよちょっと戻って投げ込んでやったらどうだと声をかけたら甘いなお前さんはおれの高校時代は手で拭いていたぞと言われそうか禅寺の坊主も左手でケツを拭いていたような話を聞いたことがあると感心して手があるではないか五体満足喜ぶべしと楽しくなってきたがしかしケツを拭いた手をしっかり洗うかはかれ次第でたいてい汚さ臭さを我慢することなんかないと思うのだがしかしおれがいまのところかれのボスである所のあいつの敵のような位置にあるのと同時に個室便所の先客であるおれがあいつに何も知らせてやらないで明け渡したことに個人的に憤慨しこれをあいつらに対する敵対行動とまで昇華されてはわざと洗わずに平手打ちでも食らわせることも無きにしもあらずと考えると気分は落ち込んでくるのであり害した気分がためにイライラしてきたのは前を行く見張り役のすきの多さがいまになって意識化に昇ってきたためでもあるかもしれずチャンスはものにの精神で右足で回し蹴りをかければつま先が脇腹に入るし倒れた所を仰向けに返せば簡単にみぞおちにグーパンは入れられるのであってしばらくおとなしくしてもらおう。

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