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尾行  作者: 道芝
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 落ち着く先が見つからず転々とする目がその老人と若年の女の一組の上に留まったのは実は視覚的に興味を引いたからではなく彼らの会話を聞くとも聞かないともつかないなかで耳にしていたところその音声が次第におれにとって意味を把握できるほどに立ち現れてきたからであったためなのかもしれない。彼らはどうも祖父と孫の関係のようでその音声の意味が次第にとれるようになったのというのも彼らの会話いや会話と言うには適当でないからとも理由をつけられるほどに彼の会話は一方的で繰り返すばかりで祖父がなんでこんな意地悪な子に育っちゃったのかなあがっかりだがっかりだよがっかりがっかりがっかりがっかりがっくりだ。孫の方はただ聞いているばかりであるのは説教を受けている任意の場合に漏れない態度であるがそれでも反省している風をみせるわけでもなく祖父の方を窺っているのである。しかし孫の注意が顔色で機嫌でもいつ説教の終わる頃合いかのいずれにも向いていないのは彼女が決して祖父の顔ばかりを見ているのではなく祖父の前におかれたスパゲッティと祖父の顔とを交互にみているからで彼女の関心は祖父がスパゲッティを温かいうちに食べられるか否かにあるのであって孫が祖父の説教を遮って早く食べないと冷めちゃうよ私のおごりなのだからいいと思っているのかもしれないけど逆よ私のおごりなのだからこそおいしいうちに食べるのが礼儀なのだし私の考えからして料理はおいしいうちに食べるのが是であるってわけなのだからお話はやめて食べちゃってお願いね。


 そういえばおれのシーフードドリアはあと五分もすれば来るはずだけれどもあいつのチーズハンバーグカレーはどうなっているかとあいつをみるともう食べ始めていやがるこの野郎しかし来る順番としては順当でありあいつよりおれに先に料理が来られてもあいつがへんにいちゃもんつけてこちらに注目しては困るのであるしまたおれよりあとに入ったと仮定するやつにあいつとおれの順番を飛ばしてきてもあいつは先の場合と同じ反応をするだろしおれも同じこの同じ心情にへんに結託ができてもあくまでおれはあいつに認知されると厄介なのだから順当がよいのでありこの野郎と思ったのはやはり空腹のため食い意地が張ったとしておくほうが理解しやすくまああいつに来たのだからおれにもそのうちちかいうちに来るはずよと水を飲み干し厨房の方をきょろきょろみていてもただ時間が過ぎていくだけでそれだけ果たしていればほらこの通りお待たせいたしましたシーフードドリアですとおれのところにも来たじゃないか。

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