二
それにしても今日は暑い、おれは散歩するなら夕方って決めているのは温度のことが大いに関係しているからで、元来暑がり汗っかきのおれは少しでも外にいるだけで汗が溢れてくるのだし、一二度程度でかく汗の総量は多少の差も結果的にはなくても散歩の序奏は涼しいほうがいいのだ、といいつつも冷房の冷たさは好きになれない、とくに部屋全体の気温が下がる形で涼しさに出会うような仕方ではなくて冷房直下で出てくる冷気を浴びと途端に腹が痛くなる、おれは胃腸が弱いのだ、ちょうどいまと同じ頃合いかそれより少しはやい時分に避暑地にいったらあまりに涼しかったので高をくくっていたおれは着るものも短パンとTシャツばかりで簡単に腹を下してしまった、おっとまずいこんな話をしている間に腹が痛くなってきた、飯をくってもいないのに。
いな、飯を食っていないから腹が痛いのだ、腹痛は空腹に由来する、腹が空いては戦ができぬ、働かざるもの食うべからず、しかしおれは進行形で働いているのであって、この後者の格言は仕事を始めたら食事を許してもらえるのかそれとも仕事を完了しないと食事にありつくことができないのか、うーむしかしこの格言は食うことも仕事になる場合を忘れているようだ、しかし仕事と言ってもフードファイターなるものを指しているのではない、大食いの動画投稿者についてあれを仕事といっていいのか迷うのはかれらは好きなことをしているからで、その好きなことが動画の内容までなのかそれとも動画投稿までなのか動画の中身で好き勝手するのか好き勝手するから動画を投稿するのかはいまのところ決着がつかないし、食うことが仕事になるのはいまおれがあいつを追っていることあいつを追うことがおれの任務であることそしてあいつがファミレスに入っていったことおれを任務の都合上同じくファミレスに入らなくてはならないこと以上のの諸点によるのである。なに外で待っていろだって、働かざるもの食うべからず、働かなければ食うことができない、この命題の対偶は食えれば働く、こういうことであるし、おれは働いているから食えるのだし働くイコール食うことなわけだ。
待ち時間もなく席に通されたのは先ず幸いなるかなおれよ、さて何にしようか、まてまてあいつが無いを頼むのかみてからにしようと斜め右直線上に位置するあいつを観察するとベルを鳴らして店員を呼んでいる、なになにチーズハンバーグカレーだってなんだそれはおこちゃまか、いやその論法はファミレスに来る任意の人間をおこちゃま扱いする恐れがあるから封印だ、では頼もうかとベルを鳴らすとといってもベルマークのついたボタンを押して鳴らしただけだが、ご注文お伺いしますと言うからえーとこれくださいと指差したのはシーフードドリア、うむ海鮮に結局なったな。