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MMOとVRMMOで変わるもの、変わらないもの

作者: I/O

どうも。

最高のMMOはStarWarsGalaxies(CU前)と信じて疑わないI/Oです。


みなさん、実際のMMOと小説のVRMMOの違いってわかりますか?


MMOは現在もサービスされているネットワークで遊ぶゲーム。

VRMMOは現存しないまだ見ぬ未来でネットワークで遊ぶゲーム。


MMOは不特定多数が同じ世界に接続し、コミュニケーションを取りつつ、冒険したり商売したりしながら遊ぶゲームです。基本的にRPGが多いのでMMOと言えばMMORPGを指します。


現在もサービスが継続しているMMOは多いですが、絶対的な人口は右肩下がりです。

これにはいくつかの理由があります。


ひとつめ。

ゲームを楽しむ上で多人数である必要が薄くなった。


多人数でゲームをしているとトラブルが起きます。

特定のモンスターの出現場所がやたらと混雑したり、奪い合いが起きたり、邪魔されたり。

素材集めも無駄に競争が起きて一部のプレイヤーに独占されたりするわけです。

それもまたMMOの醍醐味と言えなくもないのですが、そう思わないプレイヤーも多くいました。


このような多人数が同時に集まって起こるトラブルを解消するためにゲーム内にレイヤーを複数用意するようになりました。

例えばスライム平原に300人のプレイヤーがいたら3つのレイヤーのスライム平原に100人ずつ振り分けて混雑を解消するわけです。


また、ダンジョンもプレイヤーあるいはパーティ単位で別レイヤーにするインスタンスダンジョンが一般的になりました。

最近のMMOではダンジョンに入って他のパーティに出会うことはほとんどありません。


気づいた方もいるかもしれませんが、多人数でプレイする事を目的としたゲームなのに他のプレイヤーの干渉を受けないシステムが望まれ、実装されているのです。

街の中のみ多人数とし、フィールドは少人数、ダンジョンはパーティ単位で分けるシステムのMMOが多くなりました。

現在のMMOが「これもうMMOである必要なくね?」と思われるのにそう時間はかかりませんでした。



ふたつめ。

基本無料ビジネスモデルの登場。


古のMMOはだいたい月額課金でした。

その時代のプレイヤーは全員がおおよそ平等な条件でプレイしていました。

違うのは自分の時間をどれぐらいつぎ込むかという点だけでした。


その後、雨後の筍のようにMMOが誕生します。

しかしプレイヤーの総数は大量のMMOを支えるほど多くはありません。

その結果、新作MMOと旧作MMOの間でプレイヤーの奪い合いが発生しました。


プレイヤーが少ないMMOは過疎ゲーと呼ばれ、プレイヤーから敬遠されてしまいます。

そのためには賑やかしでもプレイヤーを増やしたい。

こうしてお金を払ってくれるプレイヤーを優遇し、無料プレイヤーは多少制限がかかった状態でプレイできるようにした基本無料モデルが誕生しました。

無料プレイヤーはお金を払わずプレイでき、課金プレイヤーはちょっとした優越感を感じながらゲームを楽しめる。

Win-Winのビジネスモデルとなりました。


しかしWin-Winの形は長くは続きませんでした。

運営はより多くの利益を求め、禁断の果実に手を出します。

ガチャ(英名ルートボックス)です。


ガチャを回してもらうために最も有効なのはゲームの中で有利になるアイテムを景品にする事です。

ガチャに強力なアイテムを実装した結果、ゲームバランスはガチャ産アイテムを基準にせざるを得なくなりました。


課金プレイヤーと無料プレイヤーの間で格差が生まれるのは仕方がないことです。

しかしそれ以上に深刻だったのはゲーム内経済の崩壊であり、生産職の死です。

ガチャ産のアイテムが強いためそれ以外のアイテムの需要がなくなり、一部の消費アイテム以外の生産職が絶滅あるいは趣味職となってしまったのです。


ちなみに月額課金のゲーム(FF14ちゃんなど)や経済に配慮されているMMOであれば今でも生産職で楽しめるようになっています。




他プレイヤーが不要になった事とゲームブレイカーであるガチャの登場。

これらの結果、現在は課金サービスのMMOからマルチプレイ可能な買い切りゲームへとシフトしています。

必要な時だけマルチプレイできるモンスターハンターワールド/アイスボーンや擬似的なマルチプレイであるデスストランディングなどがその例ですね。




対して未来のMMOであるVRMMOはどうか。

まだ見ぬ未来のMMOですから、無制限のサーバー容量、遅延のない高速回線、人間以上に高性能なAI、五感を同調させる夢のデバイス。

VRMMOはこれらを駆使して現状のMMOの問題点を解決しているべきです。


他のプレイヤーがストレスになる原因はストーリーに多様性が無いことや、世界の狭さからくるプレイヤーの集中です。

例えばプレイヤーの乱獲による有機的な生態系の変更。

例えば生態系の変化に起因するクエストの発生。

例えばプレイヤーが建築した家に対するNPC貴族による課税。

例えばアイテムの供給過多によって相場が変化する事による狩場の分散。

例えば集中的な採取による資源の枯渇。

例えば人間のようなAIのNPCによる小競り合いや戦争により発生するクエストや対人戦。

いろんな方法で解決することができるでしょう。


ガチャやバランスが変わる課金については運営の意思で止めることができます。

バランスを壊さない課金については見た目を変更する課金などが実際にあるので参考にするとよいでしょう。


どうしても特別なアイテムを出したい場合は、取得条件や尖った性能(強力なメリットに対する強力なデメリットなど)にするなどして納得感のあるバランスにするようにしましょう。

有名VRMMO作品のシャンフロの場合は主人公のプレイヤースキルでアホ狭い条件を突破させる事で特別ルートを歩ませ、そのルート独自の要素で特別なアイテムをバンバン出せる構成になっています。

単純にプレイヤースキルがあるからSUGEEではなくて、プレイヤースキル(と、主人公の性格)を鍵にしてフラグを立てているのがミソです。

取得条件を調整する方法として参考になると思います。


どのMMOでもそうですが十分にプレイヤーが集まり、儲かるのであれば理想はプレイヤーが平等の環境でプレイする月額課金です。

ゲームの中で経済活動ができてしまえばVRMMOはその可能性をさらに広げることになるでしょう。

現在でもVRChatなどでアバター売って商売にしてるクリエイターもいるぐらいですからね。

ちなみに自分のVRMMO作品ではゲーム内でピザを注文して自宅に届いたり、服屋で試着して通販で買える設定があります。

企業広告や商売の手数料のみでゲームが運用できてもいいですが、それだと企業の意向を忖度する必要がでたりするのでね、あまりオススメしません。

ゲームはやはり、自由であるべきです。



さて、ここまででMMOとVRMMOの扱い方の違いを述べてきました。

しかし変わらないものもあります。


それはゲームは娯楽であり、余暇を楽しむものであるという前提です。

端的に言えば、あまり無駄な時間がかからないのが望ましいという事です。


異世界転生作品の場合、移動に1週間かかったとしても、仕方がないと受け入れることができます。

他に方法がなく、それが現実であり人生だからです。

ですがVRMMOで移動にリアル2日かかると言われたらどうでしょう?

「えっ? その間ログインしてなきゃならないの? 他に何もできないの?」と思うはずです。

それはゲームはあくまでゲームであり、現実ではないからです。

移動時間にリアル2日を強要されたら誰もがクソゲーの烙印を押すことになるでしょう。


ゲームにおいて移動に時間を強要されるのは苦痛です。

条件はあってもいいですが、ある程度の長距離はワープポータルなどで簡略化されるべきです。

ワープ以外の移動も馬などの乗り物(マウント)を活用することで高速化できるように設定しておきましょう。


歩きたいプレイヤー、馬車でのんびり移動したいプレイヤーは望むようにしてあげましょう。

歩いてしか行けない場所や新たなダンジョン、知らないNPCなど効率厨にはできない発見があるかもしれません。

実際のMMOでも誰も行かないマップの端っこにある山頂を目指す「登山家」というプレイスタイルがありますからね。

やりたい事を制限しないというのもゲームにおいては大事な事です。



長々と書いてきましたが、VRMMO作品において忘れてはならないのは「あくまでゲームである」という事です。

学校や仕事などの本業があり、ゲームがある。

ゲームができる日もあればできない日もある。

利益を求めて運営する会社があり、開発がある。


その辺を考慮できないのであればログホラやくまベアーのようにゲーム内転移にするか異世界転移にしてしまったほうが現実的です。

いかなゲーム廃人と言えども24時間ゲームはできませんからね。

メシとかトイレとかあるし。

主人公の特徴として限界ゲーム廃人にするという方法もありますけどね。


VRMMO作品という「枠」は現実とゲームの両面で展開していくのが醍醐味でもあるので、うまく使って楽しい作品を考えてもらえたらいいなと思う次第です。



ご清聴ありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[一言] MMOは不特定多数の人間が同じフィールドに存在するからこそ、面白いと思うのですけどねー。 娯楽だからストレスを排したいのかも知れないけれど、それならオフラインのコンシューマで遊んでいればい…
[良い点] とても真面目で、誠意と愛情のある考察だと思います。 私はこの手のジャンルに興味はなかったのですが、優れた作品を発掘する参考になるエッセイですね。 ありがとうございます。
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