表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海と想いと君と  作者: coyuki
第2章 優しい人
26/124

第25話 修学旅行3-触れてはいけない-

リスカ?リストカット?

あの、メスか何かの刃物で手首にキズをつけること……だよね?

「……え?なんで?」

「……それは、俺も知らない」

唯の言葉が本当か嘘か分かんないけど……リスカは完全に自殺行為。

「唯、止めないの?」

「何度も止めたけどさ。「理由分かんないお前に止められたくねーよ」って、いつも俺の話し聞かねーし……しかも、リスカって聞いた途端、アイツすっげぇ目変わる」

郵送を済ませて、こちらに向かってくる伶君を見ながら、唯は呟く。

「多分、人間が狼男に変わるみたいに」

唯に耳打ちされ、ス○ラーのPVで、マイ○ル・ジャ○ソンが狼男に変身した姿を思い浮かべた。

「そ、そうなんだ……」

なんだか背筋がぞぞっとしてきた。

「唯、杉浦、待たせたな」

片手をあげて、小走りする伶君。

「別に待ってないよ、うん」

「ならいいけど……俺腹減った。Lisaのどデカパフェ食いに行かない?駅前にもチェーン店あったよな?」

「あ、どデカパフェなら今度交換条け……」

最後まで言い終わらないうちに、唯に口を塞がれた。

「え?交換条件?」

「あ〜っと……」

「ま、いーや」

……よかった。伶君がしぶとい(?)性格じゃなくて……

てか伶君、腹減るの早すぎ。

「沙彩、お前、早速バラすとこだったじゃん。あのままいけば交換条件の内容までバラしてただろ?」

唯に軽く小突かれる。

何も言い返せない私は、黙って唯からのお説教(?)を喰らってた。


それからは買い物したり食べたり遊んだり……で、あっという間に6時。

「そろそろホテル戻るか」

唯はそう言うと、またリストバンドに見とれ始めてる伶君の襟元を掴んで竹下通りを出た。


「あっ!さ〜あ〜や〜ちゃんっ!」

ホテルに戻ると、デレデレでくつろぎモードの夏姫がいた。

その背後にはたっくん……つまり、背後からたっくんが夏姫を抱き締めてるって感じの。

「……小原拓海、なんで私等の部屋いんの」

「いーじゃん。あ、今日ここ泊まるから。沙彩、別の部屋移って?」

「アホか!」

部屋にあったスリッパをたっくん目掛けて投げるが、あっさりけられる。

「さーやぁ……お願いっ!たっくん、私と一緒のベッドで寝るからぁ〜……」

「夏姫とたっくんが作り出すメチャクチャ甘ったるい空気を吸う私の身にもなってよ」

「だってぇ……」

夏姫が説得を始めようとした頃……

「点呼取るぞ〜」

先生が部屋に入ってきて、たっくんの姿を見るなり、

「小原!何やってんだ!」

と、鬼形相。素早く連行されてしまった。

「東郷!先生についてこい!」

「えぇ〜っ!!!」

ほら、ザマーミロ。これだから言わんこっちゃない。

2人が連行され、1人取り残された私は、今日買った商品を旅行カバンに詰めた。

「……風呂にでも入ろっかな。」

カバンに詰めて、あふれてしまった下着と体操服を持って部屋についてるユニットバスへと入った。


「もうっ、嫌になっちゃう!なんで修学旅行ぐらい彼氏とラブラブさせてくれないのよぉ〜……」

「アンタら日中ず〜っとラブラブしてたでしょ」

風呂から出たと同時に、愚痴りながら夏姫が帰ってきた。

「そぉだけどさぁ〜……せっかく勝負下着つけてきたんだよ??」

「……ま、まさか、ほんまに寝る気だったの?」

「あったりまえでしょ〜??」

……どんだけ非常識なんだこの子!

「んじゃ、私お風呂入ってくる〜!」

「……なるべく早くしないと食事の時間間に合わないよ?」

「はいはぁい」

入浴道具一式を持った夏姫は、ユニットバスへと入っていった。


……結局、夏姫はなかなか出てこず……私1人で食事会場へと向かった。

「え〜、本日の自由研修で……」

学年主任の長ったらしい挨拶を聞いてる間、夏姫の姿を探す。

「おい、東郷来てなくね?」

「風呂入ってるんだよね、夏姫。なるべく早くしろって言ったのに」

「食べ始めたら呼びいく?」

「食事中に部屋帰ったらいけないらしーよ」

唯と、風呂上りにも関わらずリストバンドをしてる伶君とそんな会話しながら、どうか夏姫が早く来るよう祈った。


「さーや〜っ!置いてくなんてヒドいよぉっ!」

まだ学年主任の話が終わってないうちに、夏姫がこれまた派手に登場してきた……

タイミング悪っ!そして声がデカいっ!

「って、さーやどこぉ〜??」

「夏姫、こっちこっち!」

小声で言いながら、場所を示す為に手を上げる。

「東郷……」

先生は怒りで顔を真っ赤に染めていた……


「ふあ〜っ!ご飯おいしかったぁ〜!」

部屋に帰るなり、ベッドにダイブする夏姫。

「ご飯おいしかったぁ〜……じゃないよ!めっちゃハズかったし!学年全体の前で堂々と大声で私の名前呼ばないでよっ!」

「あははっゴメ〜ン!」

それから一晩中、夏姫と喋りながら夜を過ごし……気づいたら、眠りに落ちていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ