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海と想いと君と  作者: coyuki
第2章 優しい人
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第24話 修学旅行2-衝撃-

「うっわぁ……」

竹下通り……たくさんの人やお店が並んでいて、思わず声が出る。

夏姫はガイドブックみながらはしゃいでるけど……

そのはしゃぎ様が平常じゃない。

「キャーッ!このクレープ屋さんおいしそうっ!あっ!あそこのブティック超可愛くないッ!?あっ、あそこで撮影してる人、伶君にそっくりっ!」

「おい東郷、バカにしてんのかよ」

伶君にそっくり!と言って夏姫が指差す方向には……バナ○マン日村みたいな人が変なポーズで撮影してる。

……「ブサ男ウォッチ・in竹下通り」とかっていう、何かの雑誌の特集とか?

いや、イケメンならまだしもブサ男をウォッチしても何の利益にもなんない……

「てか夏姫、めっちゃテンション高くない?どしたの?」

「だって、竹下通り昔っから行きたかったんだもんっ!」

……いや、それだけじゃあないよね、多分。

夏姫の目が、かなり動いている。

……さては。

「夏姫、たっくんならあっち行ってたよ」

「えっ!マジで!?あっちってどこどこぉっ!!!?」

「……やっぱり。たっくんと一緒にまわりたいんだね……」

少々いじけてると、夏姫は笑顔で頷いてた。

「なぁんて!さーやたちとまわりたいに決まってんじゃん!」

その言葉に一瞬笑顔になった私。

……でもさ。夏の海宮花火見に行ったときも……夏姫、たっくんと2人で消えていったじゃないか。

「……別にいーよ?たっくんとまわっても。唯と伶君いるしぃ……」

「え、マジでっ!?んじゃっ、たっくんのとこ行くからケータイかして!」

えぇぇぇ!!!心変わり早っ!

「ケータイ持ってないの?」

「ホテルにおきっぱ!」

ケ、ケータイおきっぱって……凄いなぁ。

「たっくんのケー番は?」

「えっとね、090-……」

すでに暗記済みのたっくんのケー番を夏姫が唱えた。


話をつけた夏姫が颯爽と私たちの元から去り、私たちはとりあえず飯を食おうと歩き出した。

ふと気がつくと、着信音がバッグの中から聞こえた。

「夏姫からだ」

夏姫からの電話。通話ボタンを押す。

『もっし〜?さーやちゃぁん!6時にホテル戻ったんでい〜い??』

さっきより更にハイテンションな夏姫の声。

思わずケータイを耳から離す。

「うん、それでいーから!切るよ!?」

『はぁ〜い!』

辛うじて夏姫が返事したのを聞いて、電話を切った。

……大きい音は、嫌いだ。うん。


お昼ごはんを適当に済ませ、また竹下通りをぶらぶら歩く。

「俺、新しいリストバンドほしいから、ここ寄っていい?」

と、伶君の提案でリストバンドショップへと入った。

内装は……うん。男だね。

黒と青と白。それを基調として、赤とかピンクとかオレンジとか黄色とかはほとんどない。

「らっしゃいませ〜」

金髪でガングロの不良っぽい男の人が笑顔で言った。

「おっ、このリストバンド超カッコよくね?」

青と白のストライプのリストバンドを伶君はカゴに入れる。

「コレ、唯にめっちゃ似合いそう!」

と、伶君は唯にスポーツタオルを首にかける。

「……ハタから見れば農家のオッサンじゃねーか……」

「いやいや、どーみても「運動後の汗かいた好青年」だよ、唯」

「だったらいーかもな」

唯は苦笑いをして、タオルを元の場所に戻した。

「あ、コレとか杉浦系っしょ!」

その声と同時に、目の前が真っ暗になった。

「あれ?唯?伶君?どこ?」

「伶、沙彩は顔と頭小っさいから全部覆ってんぞ」

唯の声とともに、視界が開けた。

「あ、やっぱ似合う!杉浦、おまえやっぱ黒!ダーク系!」

……あのどこまでもクール(?)な伶君が満面の笑みを浮かべてる。

……恐るべし。小物グッズ……

「ダーク系って……まぁ茶髪だしぃ……」

ぶつぶつ言いながらも、鏡を見る。

少し裾(?)を折った、黒いニット帽……

……この帽子、気に入ったかも!(ぇ。)

って、何気に入ってんだ私……

頭の天辺てっぺんについてる白いポンポンを真上にひいて、帽子を外した。

少しぐちゃぐちゃになった髪を手櫛で整えて、適当な場所においておく。

「お、コレも超カッケェし!うおっ、コレも!」

次々と、カゴにリストバンドを入れる伶君。

「伶君って、お金持ちなの?」

「あぁ。五十嵐財閥のお坊ちゃまだしな。小遣いカードで持ってきたらしーよ。しかもブラック」

ブ、ブラックカード……

ブラックカードで小物買っていいのか!?

てかブラックカードって……ジェットとか簡単に買えるやつだよね?

「さっすが……てかなんで、あんなにリストバンドに執着するんだろ?」

「あぁ、アイツ……っと。秘密」

「え?なんで?」

「沙彩にはちょっと言えねーかもな……あ、これ沙彩系じゃね?」

話題を逸らそうと、唯は私の後ろにまわって黒と白のリボンを私の髪の結び目につける。

「ね〜唯、伶君が何なの?どーしたの?」

「いくら沙彩でも言えね〜」

唯は微笑むだけでシラを切らない……

頭で唯の胸板をぶつけて攻撃するけど、あまり効いてないし……

「あ〜、やっぱこっちが彼氏かぁ〜」

前方から、先ほどの金髪ガングロの店員さんがやって来た。

「女1男2で店入ってくるもんだから、どっちが彼氏なのかずっと気になってたしぃ!」

「ど、どっちがって……」

あのどこまでも女を必要としない伶君が彼女持ちとすら思えない。

……まぁ初対面の人だったら伶君の綺麗さから見ても、絶対彼女持ちだろうっておもうだろうけど……

「にしても……あのもう1人の子凄いね!この店の商品4分の1ぐらい買い占めちゃってるよぉ!」

「……なんかスミマセン……」

何故か唯が店員に謝った。


「い、五十嵐サン……買いすぎじゃないっスか?」

「これぐらいフツーだろ?」

思わず名字にサンづけしてしまうほど……伶君はめっちゃ買ってた。

大袋3個に小袋5個。

「じゃあこれ郵送してくるから。ちょっと待ってて」

と、すっかりいつものクールな伶君に戻った彼は郵送のためにどこかへ行った。


まぁとりあえず座ろーぜ。という唯からの提案で、すぐそこにあったベンチに座った。

「……で、伶君のリストバンド好きは何で??」

何気に買ってしまった商品が入ってる小袋をぷらぷらさせながら唯に聞く。

「その話忘れてたと思ってたんだけどな〜……」

……やっぱ唯はじらす。

「マジで知りたい?」

「知りたい」

「ほんとに?」

「うん」

「じゃあ、今度駅前の超どデカパフェ奢って?」

…はい?

思いがけない言葉に、思わず顔を上げる。

「え、私が?あの1万ちょっとぐらいする?」

「嫌だったら、教えてやんない」

いたずらっぽい笑顔……今の私にとっては結構酷。

う〜ってうなる。

「……よし!買ってやろうじゃないの!」

「……んじゃ、言わねぇとダメだよな……」

「当たり前じゃん。交換条件だもん」

唯は深呼吸してるみたいだった。




「アイツ……伶、リスカしてるっぽいんだ。」

……え?




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