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海と想いと君と  作者: coyuki
第2章 優しい人
18/124

第17話 最後

Rip Sl○meの「太陽とビ○ニ」……?

「……ん……?」

Eメール着信音に設定してるその音楽によって、起こされた。

しかも立て続けに鳴ってるし……

ディスプレイを見ると、10時半……

「ヤバ、学校……」

支度しようとするけど……唯や蒼井君、咲良ちゃんのいる学校を思い浮かべると、手が止まる。

……おかしいな。支度を進めようとする手が、微動たりともできない。

「……ムリだ」

再度、ベッドに寝転んだ。

仕事中であるお母さんにメールを打つ。

『学校、行けない。

 気持ちが整理つくまで休んでいい?』

すると、意外にも早く返信がきた。

『いいけど、1週間前後で整理つけなさい。

 あと、勉強と彼氏や恋は別。しっかり区別つけること。

 あ、学校には風邪欠席だって言っておくからね』

……いつも彼氏いないかどうか、興味半分で聞いてくるお母さんとは違うお母さんの心が、文に表れてた。

「てか、返信しないと……」

私のケータイにメールを送り込んできたのは……10人。

全員、同じクラスの子。

『さーや大丈夫?』

『風邪でもひいた?』

ほとんど、そんな内容。

なんか、ホッとした。

そんな中、唯と夏姫だけは違う文章だった。

『ごめん』

唯は……何を悟ったのか分からないけど、その3文字だった。

『まだ頭痛い?大丈夫?』

嘘を信じてくれてる、夏姫からの言葉。

……ごめんね、夏姫。痛いのは頭じゃなくて多分、心なんだ。


『唯が謝ることないよ』

3時限目の休み時間にあたる時間帯に、唯に返信する。

『しばらく、学校行かないかも。復帰したらノート見せて!(・人・)』

夏姫には、しばらく休むことを伝えた。

そしてクラスの子たちには、『大丈夫。心配しないで!』と8人同時に送った。

一通りのことが済んだので、パチンとケータイを閉じる。

改めて、考えた。

……しばらくって、いつまで……?

どうやったら、蒼井君を忘れられる……?

いつになったら、忘れられるのかな……

……しばらく考えて、答えが出た。

「唯を好きになる……」

それしか、方法はない。

……もし、その方法が成功すれば……蒼井君への想いは消えてしまうわけで。

……寂しさからか、静かに涙が頬を伝い、手に流れ落ちた。

次第にその涙は数を増す。


……この涙は、無駄なんだ。

想いから逃げたくて。でも逃げたくなくて……

そんな、曖昧な涙、何の意味も持たない。

……私がいくら泣こうと、蒼井君はもう、咲良ちゃんっていう彼女がいる。

咲良ちゃんっていう、好きな子がいる。

それは、変わりようのない真実……

……私は、傍にあったタオルで目を押さえた。

「……本当、泣き虫になったな」

自嘲的な笑いがこみあげてくる。と同時に、涙も零れてゆく。

……こんな泣き虫でも、決心した。

蒼井君を想っての涙は、これで最後にしよう、と……




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