中-博麗霊夢
お待たせしました、第三話投稿です!
第一話と二話である「序」「上」をご覧でない方はそちらからどうぞ!
「おーい、霊夢ー」
僕のよく知る名前を呼ぶ小町。
僕は小町に連れられ幻想郷で最もよく知られ、そして最も静かな場所、『博麗神社』に来ていた。
「なによー、お金?それともお酒?」
やはり金がなくて酒が好きなのか・・・動画で見たとおりだな。
「違うよ、変な奴がいたから連れてきたんだ。お前なら何かわかると思ってな」
奥から赤い巫女服を着た一人の女性があくびをしながら出てくる。この女性がこの神社の主『博麗霊夢』だ。
「はあ・・・私は何でも屋じゃないのよ・・・」
本当に気怠そうである。いつも学校で気怠そうにしている僕が言えた口ではないが。
「珍しい恰好してるわね。もしかして外の人間? ならとっとと四季映姫に引き渡し・・・」
「いや、こいつ死んでないから四季様のところに持っていくわけにはいかないんだよ」
霊夢の言葉に被せて小町が言う。やはり死なずに来ることは珍しいのか。
「ふーん。先代は何人かそんな人を保護してたって聞くけど、私は初めて見たわね。あなた、名前は?」
「あっ、一生って言います・・・」
急に聞かれてとっさに下の名前だけ答えてしまった。「いっしょう」と書いて「かずお」どこにでもありそうな平凡な名前だ。
「じゃ、私は仕事があるから戻るよ。早く戻らないと四季様に怒られちまう」
「はーい。面倒ごと押し付けたからには今度お酒持ってきなさいよー」
わかった。また今度な。あと、こいつはここのこと結構よく知ってるから・・・二人でそんな会話をし、小町はその場を去ってしまった。
さて、博麗の巫女と二人になってしまったわけだが・・・
そんな彼女はというと、どうやら台所でお茶を入れているようだ。僕は外が見える畳の部屋のちゃぶ台の前に座っている。
おいしい空気、静かな風、美しい緑の木々・・・普段学校への行き帰りだけでは目にしない光景だ。
「はい、お茶どうぞ」
「ありがとうございます」
美しい緑色のお茶を飲む
「敬語なんて使わなくていいわよ。堅苦しいのは嫌いなの。私のことも霊夢って呼んでくれたらいいわ」
「なら、遠慮なく」
こうして畳の部屋でゆっくりお茶を飲むなんていつぶりだろう。そういえば家族とも長いことこうやってゆっくり過ごしていない。
「あなた、何でここに来たかわかる?」
また突拍子もないことを聞かれた。そんなのわかるわけないからここに来たのに
「いや・・・」
僕は濁しながらそう答えた。
「少し昔のことを調べたわ。先代の巫女、つまり私のお母さんにあたる人ね。その人が書き残していたの」
そういって霊夢は話を続ける
「ここに来る人は基本的には死人よ。そう考えるとあなたも普通は死人ということになる。
でも、あなたは違うわ。ここに“迷い込んだ”人なの。」
ここまでは小町から聞いた話と似たようなものだ。
「なんで迷い込むか、どうやって迷い込むか。そんなことはまだ誰も分からないわ。でも、一つだけ共通点があるの」
霊夢はゆっくりと口を開ける
「それは、みんな何かに『絶望』している、ってことなの」
思いがけない言葉が来た。僕はてっきり『悩み』とか『心の病』とかそんなものだと思っていた。
確かに学校での生活で悩むことはあったし、その悩みはある意味心の病なのかもしれないと思った。
『絶望』だなんてそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
まあ、あくまで前例よ。と霊夢が付け足してからこう言った
「あなた、見た感じ外の世界だと学生って言ったところかしら。何かあれば話しなさい。全部聞くし、秘密は守るわ」
どうせこの世界で人間関係とかそういうの関係ないだろうし・・・そう思って色んなことを僕は話した。
学校でいじめられていること、自分に取り柄がないこと、一日を何となーく過ごしていること、この幻想郷・東方を前から知っていたこと、この世界が好きだということ、ここしか心の拠り所がなかったこと・・・
ここには書ききれないくらい話をした。霊夢はお茶を飲みながら、ちゃぶ台の上にある煎餅をかじりながら、静かに僕の話を聞いてくれた。
僕にとってはそれだけで何となく嬉しかったのだ。
今までこうやって話せる人はいなかった。
友達がいないわけではない。親が何かしてくるわけでもない。
でも「めんどくさいことにしたくない」その思いがあったから誰にも話してこなかったのだ。
霊夢は僕の話を一通り聞いて、やっと声を出した
「あなたがここに来た理由がわかったわ」
ここまでご覧いただきありがとうございました!
今回は少し長めにしました!残り二話、お付き合いいただけたら嬉しいです。
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