表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

序-主人公

【再掲】

初めまして、朝風零と申します。小説処女作で何かと至らぬ点があるかとは思いますが、お楽しみいただけると幸いです!

パシャッ


手を洗っていると隣から水音がした。それと同時にひんやりとした感触が頬に走る。

「水をかけられた」それを理解するのに長い時間は必要なかった。


「おいやめろよー!w」


笑いながらそう言う。水をかけたやつは笑いながらその場を去っていく。

幸いにもそこまで濡れたわけではなかった。次は嫌いな英語の授業・・・憂鬱な気分になりながら教室へと歩を進める。

その教室。僕の机は窓際の一番前。風と光がちょうどよく入ってくる僕にとっての特等席だ。


しかし、そこに戻ると一つの違和感があった。

用意しておいた筆箱がそこにないのだ。

「ふう」と心の中でため息を漏らした。


僕はいじられ・・・いや、僕からしたら「いじめられている」のだ。



何か取り柄があればよかった。

勉強でも、スポーツでも、ルックスでも、身長でも・・・

でも僕には何もない。勉強はせいぜい中の上、スポーツは下の上ってところか。残りの二つは論外だ。

それが彼らからしたら扱いやすかったのだろう。気が付いたら「いじられキャラ」になっていた。

先生からしても僕は「いじられキャラ」だから何も口出しはしない。だって、どこのクラスにだってそんな人が一人はいるのだから。このクラスではたまたまそれが僕だっただけである。


でも僕は、そんな今の生活が嫌なのだ。



ゴミ箱の下、ちょうど見えない位置に僕の筆箱はあった。


「はあ・・・」


今度は声に出してため息をついた。でも、みんなには背を向けて。

後ろで笑い声が聞こえる。随分と楽しそうな声だ。

先生もそれに気づいてはいるが、まるで何事もなかったかのように教壇に立つ。


授業開始のチャイムが小さく鳴った。



そんな僕だが、家に帰ればささやかな楽しみがある。いや、これくらいしか楽しみがないといった方が正しいか。


『東方二次創作』


僕の好きな動画がYouTubeにたくさん上がっている。

どの動画もきれいな女性がサムネイルに映っている。でも、僕はきれいな女性でストレスを発散させようってんじゃない。

「幻想郷」という世界が好きなのだ。


きれいな景色、静かな世界、活躍するヒロイン・・・そんな世界にあこがれて、数年前は僕も動画を作っていた。

でも、たった一年で辞めてしまった。

僕にとって彼女たちの活躍はきらびやかすぎた。平々凡々な生活を送る僕が、そんな物語を綴ることはできない。いや、してはいけないのだと思った。



そんなことを思い出しつつ、ぼーっと動画を見ていると、時計の針はいつの間にか午後十時を指していた。

明日もまた教室に戻らなきゃいけないのか・・・

そんなことを憂鬱に思いつつ、僕は電気を消した。


『幻想郷BGM』と書かれたパソコン画面だけが明るく光っていた。

ここまでご覧いただきありがとうございました!

もしよければブックマーク、評価、感想など作者の励みになりますのでよろしくお願いします!


次話「上-小野塚小町」をすでに投稿しておりますので読んでいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ