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架空戦記~東洋海戦争1941~  作者: 鈴木颯手
第二章【平均年齢二十三歳の新設艦隊】
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第十三話「防衛戦3」

「軽巡洋艦ヒロ轟沈!」


「駆逐艦ハリー被弾!被害推定中破!」


軽巡洋艦カイルアの艦長を務めるナカハラ・タツミは通信士から入って来る報告に悩ませていた。艦橋からは黒煙を上げ沈みつつある第二巡洋艦隊の軽巡洋艦が見えていた。


「っと」


「至近弾!」


タツミの乗艦するカイルアを揺れが襲う。近くに砲弾が飛んできたためだ。幸い被害はなくお返しとばかりに主砲である14.1cm連装砲二基が火を噴く。しかし、敵も味方も移動しているため当たる事は無かった。


「このままじゃ被害が増えるばかりだな…。よし」


タツミはこの状況を打開する為に大胆な手をうつ。


「全速前進!敵艦隊に割り込む形で突っ込め!」


タツミの命令に艦橋は騒然となる。突然の自爆攻撃ともとれる命令に誰もが反対する。


「艦長!それはあまりにも危険です!艦隊を離れれば我々が標的に…!」


「このままでもいずれは沈められる。なら、一か八か賭けに出るしかないだろう」


副官のジョージは必死に食い下がるがタツミは断固たる意志で聞く耳を持たなかった。


「…私は、この船の副艦長です。この艦を危険には晒せません。


「…そうか」


「…ですが、このままではジリ貧というのも事実。私は艦長の提案に従います」


ジョージが折れた事で艦橋の思いは一つとなった。直ぐにタツミの命令が実行されその趣旨を旗艦に伝える。突然の行動に第二巡洋艦隊司令は怒鳴る形で命令違反を咎めるも既に艦隊から離れ単艦で第二通商破壊艦隊へと突撃していた。


当然のことながらカイルアに砲火が集中するも運がいいのかカイルアに当たることなく距離を詰めていく。








~神星ルドワ帝国side~

「敵軽巡洋艦なおも接近!このままでは艦隊の中央部に侵入されます!」


通信士の悲鳴が混じった報告が司令長官の元に届く。敵軽巡洋艦、カイルアは既に両艦隊の中間地点まで来ていた。万が一艦隊の中に入られては艦隊行動を阻害されるだろう。それだけは防がなければいけなかった。


「…前砲塔を目の前の軽巡洋艦に向けろ。多少の被害は無視しろ。敵軽巡洋艦を鎮めるために全力を注ぐのだ」


「はっ!」


司令の命令を受けカイルアに降り注ぐ砲弾が一層強くなる。流石のカイルアもこの砲弾を全て避ける事は適わず少しづつ被害を受けていく。しかし、それでもカイルアが止まる事は無かった。むしろ


「軽巡洋艦ヴィレ被弾!」


「駆逐艦ミューバ轟沈!」


「て、敵軽巡洋艦がまもなく侵入しますっ!」


第二巡洋艦隊からカイルアの支援砲撃が行われる。それによりほぼ無傷だった第二通商破壊艦隊に被害が出始める。


「くっ!敵にはまだこの様な大胆な手を、そしてそれを成し遂げる実力を有していたのか…!」


司令は艦隊へと侵入したカイルアを見ながらそのように呟くのであった。


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