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架空戦記~東洋海戦争1941~  作者: 鈴木颯手
第二章【平均年齢二十三歳の新設艦隊】
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第十一話「防衛戦1」

統合歴1941・8・16・13:00

軽巡洋艦カイルアが第二巡洋艦と合流してから既に二週間近くが経過していた。その間に二度ほど船団護衛につき最後まで任務を果たすことが出来ていた。今までシーレーン防衛は簡単であった。


しかし、前線となるイハワ王国北部の海域は別であった。頻繁に神聖ルドワ帝国の艦隊が姿を現すようになっており二日前には新たに新設された主力艦隊と海戦を行ったいる。その際にこちらの被害が大きかったのは言うまでもないだろう。


つい最近もアビン合衆国がある新大陸北部の海域が神聖ルドワ帝国の手に落ちてしまっていた。これによりアビン合衆国は西洋海と東洋海を事実上分断されたことになる。もしどちらかの艦隊がもう一つの海に行きたいなら神聖ルドワ帝国の支配する海域を無事をいのり突破するかブリテンタニア連合王国に軍事通行券を貰い南から回るしかなくなっていた。


挿絵挿入


一方で葦原中国は神星ルドワ帝国と同等の実力を持つため一進一退の攻防が続いていた。先月に行われた台湾付近の海戦ではお互い戦艦を合計十三隻も出しての大海戦をやっており神聖ルドワ帝国の一艦隊を壊滅させている。無論、葦原中国の被害も大きく新造艦の建設に力を注いでいる状況であった。








そんな中にあってシーレーン防衛が暇と言うのは一抹の不安を覚えさせるものであった。カイルアの艦長、ナカハラ・タツミは艦橋から何処までも続く大海原を見て考えていた。


「シーレーンが敵に襲われないのは良い事だがここまで何もないと逆に不安を感じるものだな」


「仕方ありません。敵は全世界を敵に回しています。これ以上艦隊を割く余裕がないのでしょう」


「そうだと良いけどな」


副艦長のジョージの言葉にタツミはそう返した。ジョージの言った通り敵の海軍がこれ以上の拡張が出来ていないならそれでいいがもしそうでなければ…。


そんなことを思っていたからであろうか?艦橋に通信士が血相を変えて入って来た。


「旗艦カフルイより入電!現在この先の海域で我が国の輸送船団が襲撃を受けているとの事!直ちに駆け付ける!と!」


「…副艦長。いやな事は考えているとどうやら呼び込んでしまうようだな。総員戦闘態勢を取れ!」


「はっ!総員戦闘態勢!これは演習ではない!」


副艦長が伝声管を使い船内に連絡を行う。少しして船内が慌ただしくなる。外では対空砲員がそれぞれの持ち場に付き敵の航空機の来襲に備えている。艦橋にも離れていた者たちがやってきて持ち場について行く。


数隻の駆逐艦を先頭に第二巡洋艦隊は速度を上げて突き進む。通信ではニ十隻のうち四隻が沈められており護衛についていた駆逐艦二隻は瞬く間に沈んでしまったという。一国の猶予も残されていなかった。


そして、この輸送船団が運んでいるのは次元石である。イハワ王国は資源大国だが唯一次元石だけ取れないためアビン合衆国からの輸入に依存していた。これを沈められてはイハワ王国は大幅に海軍の動きを制限されてしまう。なんとしても守り切らなければいけなかった。


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