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架空戦記~東洋海戦争1941~  作者: 鈴木颯手
第二章【平均年齢二十三歳の新設艦隊】
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第九話「軽巡洋艦カイルア」

統合歴1941・7/22・8:00

~イハワ王国side~

「マジかよ」


駆逐艦ギャリーの対空砲員となったタツミは第一主力艦隊壊滅後は駆逐艦ギャリーの船員と訓練の日々だった。しかし、先週突然軍上層部の使者がやってきてこう言ってきたのである。


『ナカハラ・タツミ准尉は本日をもって大尉に昇進し軽巡洋艦カイルアの船長を命じる』


はっきり言って無茶苦茶であった。しかし、同時にタツミはイハワ王国はここまで被害が大きかったのかと初めて感じた。


第一主力艦隊が壊滅した事で一番の損害は艦艇ではなかった。来週にはアビン合衆国や葦原中国に本当(・・)に劣らない戦艦や巡洋艦、駆逐艦が竣工する。故に第一主力艦隊が壊滅しても一番ではなかった。では何か?


「ベテラン勢の喪失、か」


そう、ホノルル奇襲でベテラン勢は軒並み戦死。第一主力艦隊も敵の執拗なまでの艦橋攻撃により艦長の戦死が相次いていた。これが第一主力艦隊が壊滅した理由である。


よって佐官はほぼ全滅と言ってよく将官は完全に全滅していた。階級が上の者で残っているのは一度は引退をした元帥のみでハワイのワイキキビーチでくつろいでいたところを無理やり戻されていた。


「十九歳の俺に頼まなきゃいけない程イハワ王国はやばいのか…」


最近まで友の戦死で暗くなっていたところにこれ(・・)はかなり強烈であった。とは言えタツミはイハワ王国の海軍兵士であるため断るという返事はなかった。


そして、今タツミは新たに開発された軽巡洋艦カイルアの前にいる。全長156mのこの艦は当然ながら今まで乗っていた駆逐艦ギャリーよりも大きかった。その分この艦の艦長になると言う事はそれだけ多くの兵の命を預かると言う事でありタツミは自然と身が引き締まっていた。


「初めまして。軽巡洋艦カイルアの副艦長のジョージ・カハブロク中尉です」


艦橋に来たタツミを迎えたのは副艦長になるジョージであった。二十代後半を思わせるジョージもやはり若かった。そんなジョージにタツミは敬礼を返す。


「初めまして。私は艦長に就任したナカハラ・タツミ大尉です。よろしく」


「こちらこそ」


二人は握手を交わし挨拶を済ませると直ぐに艦の事についての話になる。


「カイルアは今後シーレーン防衛を目的とした第二巡洋艦隊の配属となります」


「例の新設される艦隊の一つか」


「その通りです」


タツミの言葉にジョージは頷く。全ての主力艦隊を失ったイハワ王国は新たに四つの艦隊を作っていた。その一つがタツミが所属する事になる第二巡洋艦隊であった。重巡洋艦1、軽巡洋艦8、駆逐艦6のこの艦隊は今後アビン合衆国からの輸送経路の防衛を担当する事となっていた。様々な資源が取れるイハワ小大陸だったが唯一次元石だけ盗れないためアビン合衆国からの輸入に依存していた。


しかし、主力艦隊の喪失により付近まで敵艦隊が出没するようになったためシーレーン防衛用の戦力を引き抜いていた。


「絶対にアビン合衆国とのシーレーンは死守しなければなりません。これを封鎖されればイハワ王国は機械を動かす事は出来なくなり無防備になります」


「絶対に守り切らなければいけないな」


自分の役目が想像以上に重いことが分かったタツミの顔は険しくなるのであった。


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