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自殺IQ  作者: 星いちる
6/21

二人の決意

「うん。そんな気もする」

「今度、見せてね」

「うん。ジェニーはなんの曲を練習していたんだい?」

「バッハよ。今度イタリアの三つの都市の教会で演奏会があるの」

「そうなんだ……その間、しばらく会えないね」

 クリスは表情を曇らせた。

「うん。でも一週間で回るから、十日もないわ」

 ジェニーも寂しそうにほほ笑んだ。

「そうか。でも寂しいな。ジェニーは大丈夫かい?」

「そうね……かなり、きついかも。たくさんお薬飲まなくちゃ」

「まだ……あの薬は飲まないでね」

 クリスは、心配そうに言った。

「うん」

 ジェニーは、精一杯のほほ笑みをうかべた。

 二人は、できればあの薬を、二人でいっしょに飲みたいと思っていた。二人でいっしょに死にたいと思っていた。

 もしどちらかが先に一人で薬を飲んだら、すぐにあとを追って薬を飲むつもりだった。

 人の生死は世界中のどこでもメディアフォンで確認できる……国際ネットワークに、人々のバイタル情報が(秘匿申請者をのぞいて)開示されているからだ。

「さあ、サラダができましたよ。召し上がれ」

 ホリーおばさんが、中型のボウルと二人分の小皿を運んできてくれた。

 二人の大好きな、コーン入りのじゃがいもとさつまいものマッシュポテトだった。

「おいしそう」

 ジェニーが言うと、

「おいしいわよ」

 と、ホリーおばさんは笑いながらサラダを二人分の小皿に取り分けてくれた。

 次は、カボチャのポタージュだった。

 ホリーおばさんのポタージュは、世界一だと二人は思う。

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