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特別棟一階廊下

 ーー特別棟一階廊下ーー

 此処がちょっと校内を探検しようとして迷ってしまったヒロインと特別棟にある生徒会室に戻るお兄様が出会う場所がある。たしか、探検している内に予鈴のベルが鳴って教室に戻ろうと焦ったヒロインが、間違えて特別棟に来ちゃって生徒会室に用があったお兄様と合い、おっちょこちょい認定されて教室まで送ってもらうはず。

 なぜ予令が鳴ったのにお兄様が特別棟に行ったのかは謎だが、ヒロイン方向音痴過ぎだろう。教室と特別棟は真逆にあるから逆に分かり易いと思うんだけど。

 あの焦って涙目になっているヒロインと優しい笑顔で話しかけるお兄様のツーショットは是非ともこの目で見たいものである。


 さて、特別棟に来たのはいいが、疑問が一つ。


「なぁ、ユ、ユリ。なんで特別棟に来るんだよ?教室は向こうだぞ。」


 何故こいつが居るのだ。

 キヨのやつ、私が講堂から出てくる時に茹でダコがおさまって何故か私の後ろを付いてきたのだ。正直、キヨと一緒にヒロインとお兄様を観察する訳にはいかなかったから、『わたくし、用事を思い出したので、先に教室に行って下さいます?』とか何回か言ってみたのだが、ことごとく『いや、ユ、ユリは一人にしたら迷うだろ』とか『一人はキケンだ』とか言ってきて離れてくれなかった。てか、『キケン』って何だっつーの。確かに私は悪役令嬢だし、そういう心配があるかもしんないけどさ。もう放っといてよ。特別棟近くに来てもまだ付いてきたので諦めた。


「ユ、ユリ?」


 それに、さっきから私の名前呼ぶのに絶対どもってるし。そんなに婚約者の名前を呼ぶのが嫌なのかね。そりゃ望まない婚約だからね。しょうがないか。


「キヨ。わたくしは今からあるミッションを行います。ですので、物音を立てないで下さいますか?」


「ミッション?」


 キヨが何だか怪訝そうな顔をしているが、もうすぐ問題の時間がやって来る。ひとまず、廊下に置いてあるロッカー(ロッカーといっても装飾がしっかりと付いた木製の高そうなやつ)の後ろに隠れる事にする。



 キーン コーン キーン コーン


 予鈴が鳴った。お兄様ルートならもうすぐヒロインが小走りでこの廊下にやって来るであろう。


「予令鳴ったぞ。戻らなくてい「しっ!黙って下さい。」……。」


 大事なときなのにキヨが喋り出したから間髪入れずにその唇に人差し指を当てて黙らせる。



 …… …… たっ たっ たっ


 前方から足音が聞こえる。恐らくヒロインのものだろう。すると、


 こつ こつ こつ


 なぬっ!後ろからも足音が!!きっとお兄様のものだろう。

 マズイ、マズイぞ!挟まれた!

 此処で見つかれば一貫の終わり。どうにか見つからない方法が無いものか……。私は周りを見渡す。


 と言ってもただの廊下。そうそう隠れる物は無く……




 あった。……あるにはあるのだけれども。これは如何なものか。

 私一人なら大丈夫なのだが。キヨがいる。

 ふとキヨの方を見ると先程からやけに静かだと思っていたが両手の指先で何やら唇を押さえており頬を赤らめていた。なんだ?黙っとけと言ったから口を押さえてるのか?にしても何故に頬を赤らめる、息も止めているのか?


 たったっ こつこつ


 両方の足音が近づいて来る。考えてる時間はもう無い。

 しょうがない!あそこに隠れるか。


 私はまだボーっとしたているキヨの手を掴み目の前の木製のロッカーに手をかけた。


 お願い!間に合って!



 たったっ こつこつ




 私がロッカーの扉を閉めたと同時に廊下にヒロインとお兄様の姿が現れた。


読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字等ありましたら、ご指摘の方よろしくお願い致します。


1月12日 瀬那川 匠

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