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投稿初心者ですが、よろしくお願い致します。
「魔王、私は還るよ。」
冴絵は、振り返らない。
結晶の場には、誰も見送りには来ていない。
地軸は納めた。
彼の地に、冴絵が振り返る様な案件はない。
乙女は一人で約束の地に帰るのだ。
力の場が組み上がる。
冴絵を取り巻く光の渦。
金に銀に栄螺に煌めく。
湧き起こる感歎を胸に秘め
「魔王、鬼姫を大切にね。観世に
乙女は一人で十分だよ。」
観世に於いて、現乙女の最後の呟きを載せる。
『あはははははっ。』
『あはははははははっ。』
高く高く笑う。
『うふふふっ。』
低く。
『ああ、可笑しい。』
闇より濃い瞳。闇夜にあっても尚濃く色めき立つ
真黒闇の髪色。
—してやった‼︎してやったわ‼︎‼︎
邪魔なあの女を消してやった‼︎‼︎‼︎
忌まわしくて口にもしたくないけど…
『冴絵、死んでくれてありがとう。』
色のない頬にしっかりと朱を差し
艶やかに笑む。
笑む。笑む。笑む。笑む。笑む。笑む。笑む。
笑む?
『笑えてるかしら?私。』
自問自答を繰り返す鬼姫は知らない。