海の音は
海の音は銀色の鈴
清らかに鳴く遠く遠く
裾を広げた夕陽
風に擦れた雲が
薄くたなびいて
容易いようで容易くはない
忘れ去るということ
波止場に浮かぶ船を数えて
いつか巻き上げられる錨
海原を駆ける
一艘二艘
風を受けとめる
真っ白な帆を張り
その風の速度で
忘れ去るための旅に出よう
濃紺を切り開く明星
「さようなら」には
聞こえない明るさがあるから
かなしみはかなしみのまま
この海に広げ
掻き鳴らす
海の音は銀色の鈴
細くとも高く高く響くのだろう