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瀬戸の隣

 第一印象……一印象……第一印象、私は心で何度も念じていた。

あの後、教室へ行き私達はD組の生徒に向かい自己紹介をする事になったのだ。


「じゃあ、日鏡さんから」

「ひぃっ! ひっ、日鏡でっす!」


 突然振られたせいで変な返事になってしまったし、念じすぎてしまったからか変に緊張して喋り方がおかしくなってしまった。

 ……これは、完全にやらかした。

 ぷっ、という馬鹿にした笑いが私の目についた。

 瀬戸ぉ!!! もう本当なんなのよ!

 瀬戸なんか、嫌いよ!


「えーと、次は白川さん」

「白川です、ども」


 通常運転ー! まぁ、普通そうですよね……何やってんの私……。


「じゃあ、最後高梨君」

「はい。高梨です、宜しく」


 か、完璧だ。そしてお決まりの「キャー、カッコイイ♡」の声。あぁ、なつかしい。そうでしたよね、こいつは周りの人にとってはイケメンなのでした。


「はい、彼らはモーメントに入るそうです。みんな仲良くね。じゃあ、後ろのほうの席に」


 モーメントの言葉を聞いた瞬間空気が変わったのを感じた。やはり、瀬戸はそうとう嫌われているようだ。

 私の席は窓際の1番後ろで良くも悪くも瀬戸の隣だった。紗奈と蒼は私の列の隣だった。


「日鏡……まぁ、ドンマイだな」


 自己紹介の事だろう。


「もう! 知ってるわよ」


 ふてくされそっぽを向くと、可笑しそうに瀬戸が笑った。


「日鏡といると、飽きないよな」


 ……笑った顔は好みなのに……っていやいやいや、今のはミスだ。しかし、自分の中で葛藤したおかげである疑問が私に生じた。瀬戸はたまにイラッとするけどなんだかんだ良い奴な気がする。なのに何故……


「……瀬戸、なんであんたそんなに嫌われてんのよ」

「は?いきなりなんだよ、てか知ってるだろ。反逆者の息子って風に世間から見られてる俺は嫌われて当然なんだよ」

「違うわよ。そうじゃなくて、どうして本当の事を話さなかったのかって事よ……。瀬戸なら友達の一人ぐらい作れたはず。そこでその友達に事実を話せば誤解だって小さくなってた。でも、そうしなかったのは何故? ……あんた、自分から人に距離置いたでしょ」

「それはっ、……いや、そうだよ。……信じていた人に裏切られる事とか大切な人を失う事を恐れていたんだと思う。そんな辛い思いをするぐらいなら嫌われたってべつに良かったんだ」


 重々しい様子で瀬戸は拳に力をぐっと込めた。

 は? 女々しい、女々しい、女々しい、女々しい!

 馬鹿じゃないの?


「はぁぁぁぁぁぁぁ。ったく、女々しいわね。何一人で悩んでんのよ。まぁ、この私を頼ってしまったんだから信じるということを信じなさい! 私は、私達は瀬戸を裏切らないし、あんたの前でそんなだっさい事しないわ」


 言葉遣い悪くて、性格もひねくれてるのに実は心はズタズタですなんてギャップ萌え狙ってんのかっつー話よ。


 ーー私は純粋に強くなりたいと思った。きっと今のままだと凄く弱いし瀬戸の役になんて立てない。私は強くなりたい。

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