転入
眩しい朝日が窓際にいる私を攻撃する。何匹かの鳥の囀りと朝一番には聞きたくなかった声。
「……ろ、……起きろ」
声の主はそう、瀬戸。
「起きてないの、お前だけだぞ」
「あ……と、五分……」
「日鏡の朝食は抜きだな」
ちょっ、それだけは止めてっ!
私は勢い良く立ち上がり瀬戸に敬礼をした。
「私、日鏡蛍只今起きましたぁ!」
「食べ物で起きるなんてお前は犬か」
うわっ、なんてやつだ。朝から気分を格下げさせられる。
「悪かったわね」
「日鏡と瀬戸って本当に仲いいな」
蒼は私が耳を疑う程インパクトのある言葉を私と瀬戸に向けた。
「は? 高梨、正気か?」
「蒼!?」
「うん、私も仲いいと思う! だって何か喧嘩する程仲いいって言うしー」
紗奈も蒼もどうかしている。仲が悪いの間違えじゃないのかな?
「それより、今日学校に転校するんだから忘れないでよ?」
「でも、どうやって?」
言われてみればそれもそうだ。
「ああ、それは問題ない。俺が昨日、教育委員会に連絡しといた。基本緩いからな、試験なしで今日からもういいそうだ。クラスは全員一緒。場所は後で案内する」
「意外に準備良いのね」
「まぁな。制服だ、受け取れ」
瀬戸は三人分の制服を机の上に置いた。薄いピンクのブラウスに赤いリボン。サロペットのように繋がっている黒いV字のベストとスカート。
蒼のは赤いネクタイに水色のブラウス、黒いズボン。
制服自体は向こうの世界とそう変わらないようだ。
制服を着て持ってきていたリュックやカバンを持ち、外へでると瀬戸は壁に寄りかって本を読んでいた。
「来たか……じゃあ、行くぞ」
細い路地を抜け少しすると昨日の広場に出た。周りの人は昨日と同様じろじろとこちらを見てきた。
「悪い、これは俺のせいだ。反逆者の息子はどうあっても嫌われるみたいでな。気にしないでくれ、俺が人を連れてるのが珍しいだけだろう」
「性格もあるんじゃない?」
「お前も友達いないだろ」
「お互い様じゃん」
と蒼が笑った。
広場からすこし真っ直ぐに歩くと周りが学園らしくなってきた。瀬戸は大きい建物の前で止まりくるりと方向をこちらに向けた。
「ここが教室棟だ」
ついに、ついに、ここまで……。守護神の力を借りて能力を高める学校ーーーーセイレント学園!