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セイレント学園

「あなた、名前は?」


 私は自己中男に出来るだけ穏やかに話しかけた。第一印象は大事だと言われたことがあるし、いやもう既に第一印象じゃないかも……。だがしかし、ここで諦めるわけにはいかない。自己中男に向かって作りたくない笑顔を必死に作る。


「は? あんた、さっきとキャラが違ってるぞ」


 なっ! 凄い失礼。もう、いいし! 第一印象とか考えないし!

 一つ咳払いし、やり直す。


「……じゃあ、もう一度聞くわ……そこの自己中男! 私に名前を教えなさい!」

「……いいぜ、あんたが先に名乗ったら教えてやるよ。そっちの二人もな」

「ああ、じゃあ俺から。俺は高梨蒼。よろしく」

「私は白川紗奈。よろしく」

「はいはい。日鏡蛍、異世界から来ましたー」


 何だか自己中男の態度が気に入らなかったので私は腕を組んで精一杯そいつを見下ろした。


「ああ、そうか」


 は? えっ、反応おかしくない? 薄すぎない? 折角、この男が腰を抜かすところが見られると思ったのに!


「それだけ、なの?」


 さすがの紗奈もこれには反応せざるを得なかったようだ。


「俺に話しかけた時点でここら辺のヤツじゃないのも分かったからな。日鏡と白川と高梨だな、よろしくするつもりは無いが約束だ。一応名乗っておこう……瀬戸直人(せと なおと)だ」

「瀬戸ね。あんたは不本意かもしれないけどあんたには私達とよろしくしてもらうわよ? 私達にこの世界の事を教えて欲しいのよね~」

「は? どうして俺が……いや待て、交換条件だ。情報を提供したら俺にも協力しろ」


 瀬戸は何かを思いついたように、にやり、と笑うと私の顔を見上げた。


「……いいわよ、協力したあげる。二人もそれで良い?」


 私が聞くと二人は頷き、了承した。


「交渉成立だな。で、何が知りたい?」

「うーん、そうね。ここは何処なの?」

「ここはセイレント学園。街全体が学園になっている。校舎だけじゃなく寮や店何かもある」


 街全体とかどんだけ広いのよ。


「街全体が? すげー」


 蒼は感激の声をあげる。


「学園って普通に学園なの? ……魔法とか学んでたりしないの?」


 私は一番気になっていることを聞いた。そのために異世界に来たと言っても過言ではない。非科学的なものの存在。


「魔法? 何だそれは? 学園で学ぶのは守護神の力の借り方から使い方だ。」

「蒼、守護神ってなんだっけ?」


 聞きなれない言葉に紗奈が首を傾げる。


「あー、えっと自分を守ってくれる神様? みたいなやつじゃなかったか?」

「まぁ、そんなとこだ」


 瀬戸は蒼に頷き続けた。


「守護神の事を知らないやつに初めて会ったから何て説明すればいいか迷いどころだな。守護神はその主人を守るために何らかの力を持っているんだ。その力を借りて使いこなせるようにするのがこの学園でやる事だ。まぁ、だから当然の事だがこの街の外の学校は守護神の力なんて学ばないぞ」


 私はここである疑問が生じた。


「何の為に守護神の力を借りるのよ?」

「俺の場合はある目的があるからだ。他の奴らも夢とか願いとか、そんなことのためなんじゃないか?」

「ふーん。まぁ、いいわ。私、この学園に入学する」

「蛍?」

「日鏡?」


 紗奈と蒼から驚きの声が上がる。

 しかし私は決めたことは突き通す主義なのだ。誰がなんと言おうとこれは決定事項だ。


「まぁ、日鏡が言わなくても俺に協力してもらうんだから三人とも入学してもらう予定だったけどな」


 固まる紗奈と蒼を他所に私はこのスリリングかつドラマチック的展開にわくわくを止められなかった。

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