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交わされたトラップ

契約とは言うもののDOにとって日向と手を組むのには何のメリットがあるのだろうか。日向の目的はDOと手を組み、確実に瀬戸を殺す事。DOの目的は日向と手を組み………、どうする事なの?何かが、頭の中で引っかかる。


「蛍?この人達って……」


嫌悪な雰囲気を察したのか紗奈は心配そうに私に駆け寄った。


「前に寮が……襲撃されそうになったの覚えてる?その時、襲ってきた集団が無差別殺人組織、デス・オーガニゼーションの略でDO。それが、日向の周りにいる奴らよ」

「えぇぇ!それって大丈夫なの?いや、大丈夫じゃないよね!」


私の言葉で冷静を失った紗奈は私の肩を両手で掴む。私はその手を肩から外し、


「紗奈、落ち着いて。DOの目的が分からない以上、瀬戸も気は抜かないと思うし」

「そ、そうだよね。蒼にも教えてくる」


そう言って紗奈は私に背を向けた。

とは、言ったものの……瀬戸だって私達全員を守れるとは限らない。


「もう良いかなぁ?俺、待たされんの嫌いでさ」

「……お前に待てと言った覚えは無い。勝手にしろ」

「お前のそういう所、本当嫌い」


吐き捨てるように言葉を投げつけると日向とDOはCONTRACTを解除した。と、同時に瀬戸も蒼のドラゴンの上で仕掛けていた、トラップを解除する。


「チェック」


「……今」


藍色のショートの扇を持った気体使いは小さく呟く。すると、周りのDOはあらかじめ瀬戸の攻撃を予測していたかの様にすっとトラップを交わした。瀬戸が仕掛けていたのは爆弾。しかし、それは対象がその場所に立っていなければ何の意味も無い。それを分かった上でDOのメンバーはタイミングを見て直前で立っている場所を一歩移動したのだ。


「か、交わした?」


きっと、今までトラップを防がれた事が無かったのだろう。瀬戸は地面に視線を落とし、表情を固めている。瀬戸が冷静さを失ってはここでの勝ち目は完全に消えてしまう。


「瀬戸!私は守らなくて良いわ。その変わり、紗奈と蒼に怪我させたら許さないわよ」

「は?何だよ、急に」

「だから、あんたの重荷を軽くしたあげるって言ってんの。さっさっと前向いて戦いなさいよ」

「うわぁ……。日鏡にこんな事言われるなんて、不覚すぎる」


今度は別の意味で頭を抱える瀬戸を見て思わず、笑いが溢れる。


「……弓」


黒髪のドS男にこないだの仮を返そうと思い、標的に定める。

瀬戸に目線を向けていたので、当たる可能性は高かった。しかし、藍色のショートが扇でそれを防ぐ。


「日鏡蛍……この前より強くなってる……」

「じゃあ、そいつはエアに任せた」

「了解」


黒髪のリーダーと会話を交わし、エアと呼ばれたその子は即座に私の方へ近づいた。そして、何か技を使おうとしたのか扇で風を仰いだ。エアはそこで扇の異変に気がついた。

氷針は確実にそれに当たっていた。エアは気づかなかったみたいだったが、その瞬間に扇の一部分は凍ったのだ。凍った事により、気体との接触部分が少なくなり、操れる量が減ってしまったみたいだった。


「……予想外。……厄介な力………」


静かにそう言うが、エアの瞳は力強く私を真っ直ぐに見つめ言葉よりももっと、感情を伝えていた。

エアと戦っていてもこの戦いに集中出来ていないのが見透かされてる様だった。私の意識の中にはいつでも紗奈と蒼がいて、二人の安全が気にならない瞬間など無いのだ。


「……やっと溶けた。……日鏡蛍、二人きりで戦いに行く」


手で氷を溶かしたエアは扇を大きく振りかざし、水気を切った。そして、私の腕を掴むと再び扇を大きく振りかざし空へと舞い上がった。


「ちょっと!何!?」


私の言葉など聞かず、エアは気体を操る。

いきなり何だって言うのよ!!

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