学年トップ
「日鏡さん!僕はあの黒髪のメガネを、小南はアフロ、夜長はチャラ男、日鏡さんは黒髪のやんちゃそうなやつを。藍色のショートカットは瀬戸直人が後でやれば良いから。とりあえず、やるよ」
椎名が命令する。
「分かったわ」
「と、なると貴方が私の相手のようですね」
黒髪のやんちゃそうな男がこちらに近付いてくる。
相手の武器は水鉄砲のような注射器のようなやつだ。
銃弾が当たれば水は凍る……!
「……ふっ、水矢」
不気味な笑みを浮かべ水の矢がこちらに飛んでくる。
私は後ろに飛びそれをよけたが、矢が刺さったレンガの地面はひび割れている。
……この威力、当たったらやばい。
私は敵にピストルを向け狙いを定めた。しかし、敵も私の狙いが定まるのは待ってくれない。
「……水球」
すかさず私は
「剣っ……」
と呟く。
剣で水球を打ち返すと、水球は氷り、地面に落ちた。
「その力……僕の前にひれ伏すが良い! 楽しみだなぁ、その力が仲間に向けられた時の顔っ!」
こいつ、ドSだ!
「何を言っているのよ」
「ほら、寮から君の名前を読んでるあの二人はお友達でしょ?」
紗奈! 蒼!
楽しそうに男は笑い、水鉄砲を紗奈と蒼に向ける。
「待って、辞めて! ……弓!」
私は男に矢を放った。しかし、男はそれを軽々しくよけまた気味の悪い笑みを浮かべた。
するとどこからか「チェック」という声が聞こえ、その途端DOのメンバー全員は落雷に打たれた。
「ごほっ、……はぁ、流石、モーメントのリーダー。いや、この学園のトップとでも言うべきか。全く、一度に複数の相手に攻撃出来るなんて、羨ましい限りだよ」
ドS男はよろけながらも、感嘆の意を述べる。
「流石にあいつとこの人数相手じゃ分が悪い。行くぞ」
黒髪のメガネは他のメンバーに命令し、その後DOは去っていった。
私は、さっきの男のセリフが気になったので近くにいた夜長に話しかけた。
「夜長、一度に複数の相手に攻撃するのって、そんなに難しいの?」
「ええ。きっと、身近だと彼だけです」
しかも、それで学園トップだなんて。私、聞いてないわよ……。
「日鏡! 大丈夫か?」
「……大丈夫」
するとそこにクラスの担任である三鷹先生がやって来た。
「みなさーん! お怪我はありませんかぁ!? DOが来たのですね!」
……どうして、今頃教師が来るのだろう。
「瀬戸、三鷹先生って……裏があったり」
「? それは、ないだろ」
あっさりと否定されてしまった。何よ、もう。
だけど、本当にそうなのだろうか?
教師がこれ程の異変に気づかないものなのか?
私は脳内に疑問を抱えていたものの、その場の空気の緩さに流されてしまった。