異世界らしくない
学校内はやはり洋風を感じさせる雰囲気だった。黒い淵に大きなガラス窓。横一列に繋がった白い机、教室の雰囲気がもう違う。
やっぱ異世界の学校ならこうでなくっちゃ、と一人でに思う。
何故、私がこんな事を考えているかというと原因は授業内容だ。一限間目はこの国の歴史だった。二限間目こそはと期待したがまさかの英会話。異世界らしくない……。
「うぅー、瀬戸。毎日こんな授業なの? てか、異世界なのに英語って……」
隣で授業を受けている瀬戸に小声で囁く。
「ん、時間割表」
時間割を渡された私はそれを見た。するとそこには月から金の予定があり全ての一、二限目は歴史と英語だった。水、金だけ三限目があり実技と書いてあった。科目は二教科だけなものの、異世界へ来てまで勉強をするとは思わなかった。あーもう、嘘でしょ〜。
「……ありがとうございました」
「ああ」
あれ、何か瀬戸の態度が丸くなったというか優しくなった気がする。……ああ、あれは誰とも仲良くしないためのガードだったのか。素がだんだん出てきたって訳ね。
何よ、最初からその性格なら私だってもう少しは……いや、考えるの止めよ。もう過去のことだし。
ぐだぐだ考えてるうちに私にとって最も長かった授業が終わった。
「蛍、大丈夫?」
机でぐったりしている私を見て紗奈が声をかけた。
「紗奈ぁ! 無理、死ぬっ」
「英語も歴史とかの暗記系も苦手だったよね、蛍」
紗奈は苦笑いをこちらに向けた。
「俺らはこれで良かったとた思ってるけどな」
そりゃあ二人は頭、いいですからね。
「おい、自主練場いくぞ」
「そんなとこあんの?」
私は瀬戸が話題を変えてくれたのですぐさまそれに飛びついた。
「競技会場は教師同伴じゃないと使えないんだ。だから、生徒だけの自主練習は大体そこでやる」
授業が終わりどんどん人が少なくなる教室で瀬戸は説明した。
私達が教室を出る頃にはもう生徒はほとんどいなかった。黒と白の正方形が交互に並んだ模様の廊下を通り教室のある3階から昇降口のある1階まで階段を降りた。
瀬戸しか場所を知らないため私達は瀬戸について行った。瀬戸は昇降口から右に少し行った白い石で出来たドームのような場所へ入っていった。中は……芝生だった。外がずっとレンガの道だったため凄いインパクトがあった。にしても白い石で出来たドームと青々とした緑の芝生はなんとミスマッチなのだろう。
「始めるぞ」
瀬戸はぼんやりしている私達に少し呆れ気味に言った。
「うん」
練習開始だ!