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ホラー部屋

逆さ女

作者: 石川織羽

 あれは俺が大学生の頃だから、六年前になる。


 時期はちょうど夏休みだった。用事の無い日は家でボーっと過ごすのが毎年恒例だったんだが、あの時は自由でいられるのもあと少しだとか急に思えてきて、青春の思い出作りをしようと考えた。なんて言っても、そんなに金は無い。


 そこで思い付いたのが自転車の一人旅。元々自転車が好きで、携帯工具やサイクルコンピューター等の装備はある程度整っていた。往復100kmくらいの距離なら友達数人とツーリングした経験もあったし、それほど無茶な計画ではない。思い切ってもっと長旅もしたかったけど、バイトもある。そもそも、そこまでの根性が無いのは自分が一番わかっていた。


 というわけで一泊二日のスケジュールを組んで、俺は愛車のクロスバイクと共に関東地方某所の山へと向かったわけだ。


 ちなみに旅の間中、ずっと天候には恵まれた。

 一日目は夜明けと共に出発。熱中症の危険を考えて真昼の暑い時間に移動する事は避け、一番暑い昼前から四時頃までは休憩と仮眠。気温が下がり始めた頃を見計らって再び走り始め、一時間もすると目的地の山並みが見えてきた。予定していたキャンプ場は、一番高い山の中腹にある。終盤戦での上り坂はさすがにキツかった。景色を楽しむ余裕なんかない。それでも日が沈む前には、無事に今日の行程を走破していた。


 しかし、ここまで来て(俺的に)予想外の事が起きた。キャンプ場は楽しそうなファミリーや、盛り上がってるグループやカップルだらけだったのだ。俺みたいなのが少しはいるんじゃないかと思っていたのに、ぼっちは見事に俺一人。誰か友達に声かければ良かったかな~と思ったけど、後の祭りだった。


 こうなったら仕方ない。盛り上がる相手もいないし、半ばヤケクソでとっとと寝ちまえと、一人で野宿の準備を開始した。するとそこへ、


「お兄ちゃん、一人か~?」

「良ければ一緒に飲もうや」


 と、釣りに来ているというおっちゃん達が声をかけてくれた。サマーキャンプをエンジョイしてる人々を横目に、実は少し寂しい思いをしていた俺には救いの手。荷物になるからと最低限の食料しか持ってきていなかったのもあって、早寝の予定をさっさと変更し、たまにはこんな経験も悪くないよなと、おっちゃん達のご厚意に甘える事にした。


 声をかけてくれたおっちゃんグループの構成は、リーダー風のAさんと、最初に俺に声をかけてくれたBさん。料理担当というCさん。そして俺に声をかけてくれた、もう一人のおっちゃんであるDさん。


 おっちゃん達は都内にある会社の同僚とのことで、この時点で酒も入り完全に出来上がっている状態だった。全員息子や娘がいて、大体俺くらいの年頃らしい。焼いた岩魚や持参したツマミを「食え食え!」と言って分けてくれた。向こうも息子をキャンプに連れて来たような気になったのかもしれない。俺が自転車の一人旅行だと話したら、「お、いいねえ!」とか言って、何だかやたらと喜んでくれた。でも体力と資金力の不安から今回は一泊二日ですと話したら


「情けねぇな! 列島縦断くらいしろ!」

「いや、次はユーラシア大陸横断だ!」

 そんな親父風のお叱りも受けたが、基本的に気の良いおっちゃん四人組だった。そして色々と話しをしているうちに酒盛りは佳境へ入り、辺りが暗くなって星が増えてきた頃。


「N君(俺の事)、山登りはするの?」

 と、おっちゃんの一人、Aさんが言ってきた。Aさんは四人の中で最年長らしく、髪は殆ど白髪。だけど体格はがっちりしていて態度や口調も全体的に品が良く、スーツを着たらいかにも重役風になりそうな人だった。


「山は学校の遠足とかでしか登ったことないんすよ。登山もされるんですか?」

 俺が缶ビールを片手に答えると

「今は釣りばっかりだけどねぇ。俺は学生の頃は登山もしてたんだよ。自転車も良いだろうけど、山も良いよ?」

 Aさんは楽しそうに話してくれた。隣のBさんがAさんを指差して

「この人ね、北アルプス縦走とかしてたんだよ」

 と笑いながら教えてくれた。山登りに関する事は何も知らない俺でも、北アルプスがどんな山かは知っている。


「本気の登山じゃないすか! ワンゲル部か何かだったんですか?」

「そう、大学のね。山は危険も多いけどなぁ。登った時の爽快感というか、あれは別格だよ。まぁいきなり奥穂高とは言わないまでも、N君も機会があったら一回どこかの山に登ってみるのも悪くないと思うよ」

 Aさんはにこにこ話してくれた。俺も馬鹿なので、野外の空気の中でそんな話しを聞くと、やった事のない山登りも俄然魅力的に感じられてくる。


「ここのキャンプ場の近くにも登山ルートありましたよね? 今度来て登ってみようかな?」

 なんて軽口を叩いたら、酒で真っ赤になっているCさんがワインを開けながら仲間達に尋ねた。


「登山道って、途中に道あったあれか?」

 それを聞いて「何言ってんだ、あれは違うだろ~」とAさんが手を振っていた。しかしAさんの突っ込みが聞こえなかったみたいで


「お兄ちゃん、来る途中で道あったの見たでしょ? 山の上の方に続く砂利道」

 とCさんから更にそう言われた。俺は首を傾げた。

「いや、見てないっすね。俺が来た道と逆なんで……」

 このキャンプ場へのルートは二つある。おっちゃん達はDさんの運転する車で西側のルートを通って来たようなんだが、俺は東側のルートを通ったからわからなかったんだ。


「違う違う。登山道はあっちだよ。駐車場の向こうに登山口と管理棟あっただろ」

「たしかこの辺は町村合併だか何だかで、いくつか廃村になったんだろ? それじゃないのか。結構寂れている感じの道だったし……」

「ああ、そうか。昔の村道かぁ。そうだよなぁ」

 BさんやDさんの指摘も加わり、ようやく酔っ払いCさんも納得したようで話しはそこで終わった。


 翌日。俺は出発が予定よりかなり遅れた。図々しくも、おっちゃん達に朝飯までご馳走になったのだ。ご馳走と言ってもパンとコーヒーと焼いたウィンナーにバナナだけだったが、一人暮らしの俺の普段の朝食よりよっぽど豪華で美味かった。


 良い出会いに感謝しつつ、今日も釣りをするというおっちゃん達と別れて復路を走り始めたのが、結局朝の十時頃だったと思う。帰りは元来た道を戻るのではなく、もう一つのルートを通ることにした。こっちは山の中をぐるっと周回していくルートで多少遠周りにはなるが、同じ道を通っても面白くないと思ってこっちの道を選んだ。今にして思えば、この気まぐれがもう一つの間違いだったのかもしれない。


 走り始めた道は下り坂が多く、往路と違って景色を眺める余裕もあって良い気分だった。夏の木漏れ日が差し込む緑のトンネルは清々しく、時間的な影響かキャンプ場へ向かう車も時々すれ違う程度。良い調子で三、四十分も進んだ頃だろうか。山の位置的に、キャンプ場のあった場所の裏側付近だと思う。舗装された道から横へ伸びる、ちょっと狭い砂利道を見つけた。


「あ、もしかしてこれか?」

 昨日おっちゃん達が話していた村道のことを思い出し、俺はその場に自転車を止めた。山の上へ続く道だと言われれば、俺みたいな完全素人ならそういうもんかと思ってしまう感じの道があった。Cさんもきっとそうだったんだろう。


 近くに寄ってみると、坂は結構な急こう配だった。地面に敷き詰められた砂利の隙間から青草が生え、道の両端は殆ど落ち葉と雑草で埋もれている。たしかにかなり荒廃していて、人に使われている気配は全然無かった。でも深緑色の木立に囲まれた坂は、まだ余裕で登れる雰囲気。


 急ぐ旅じゃなし。立ち入り禁止の札もない。少し覗いてみようかなと、自転車を引いて俺は涼しい砂利の坂道を登り始めた。空は快晴で、太陽が眩しい。昨日から続く非日常体験のせいか、軽い冒険気分でわくわくしていた。


 苔むした山肌を流れる湧水を触ってみたり、鳥の声を聞いたりしながら、曲がりくねった道を十分も歩いただろうか。穴場を発見した気分でウキウキしていた俺の前に、道を塞ぐチェーンが現れた。


「ん? 何これ?」

 通行止めを主張するように、チェーンが樹木の幹へぐるぐる巻きにされ、ゴールテープみたいに道を遮っている。所々錆びているが、ぼろぼろってほどではない。真ん中には南京錠が付いていた。そこから先はより一層草が生い茂り、砂利ではなく土の道になっている。『村道じゃなくて、私有地だったか?』と思った。何となく入っちゃいけないんだろうとは思った。でも


「戻るか……」

 と独り言を言いながらも何か名残惜しくて坂の上を眺めたら、緑のトンネルの向こうに明るい青空が僅かに見えた。あそこは本当の山の頂上ではない。それでも村の跡とかなら、そこそこ眺めも良いだろう。見晴らしの良い場所まで行って、景色を眺めてみたくなった。単純な俺は、昨夜聞いた登山の話しに感化されていたんだと思う。


 ――――景色だけ見て、帰ってこよう。


 悪さをするつもりなんか微塵も無かった。やめときゃいいのに自転車をその場へ置き、俺はチェーンを乗り越えて、殆ど茂みのような土の坂道を先へと進んだ。他に人もいないから、自転車に鍵はかけなかった。ここで俺は鍵をかけなくてつくづく良かったんだと、後で思い知る。


 目指す『頂上』は五分もあれば着くように見えたんだけど見た目より遠く、ほんの軽いハイキングのつもりが、やっと到着した時には息切れしていた。しかし綺麗な景色が拝めるかと思っていた俺の予想は、またしても覆される。


 昔はどうだったか知らないが、周りの木が大きくなり過ぎて見晴らしはゼロ。『頂上』からは青空しか見えなかった。


「うわー、これじゃダメか……」

 寄ってくる小さな虫を追い払い、辺りを見回して呟いた。せっかく頑張って来たのに、目当てのものが見られなかったので結構ガッカリした。


 大量の羽虫と大きな桜の木が出迎えてくれたそこは、小さな廃村だった。廃村だと思う。人の住んでいる気配は無く、崩れかけた家だけが俺の見た限り五軒、残っていた。木造住宅だったけど、そんなに古くはなかったと思う。ペンキの剥げたトタンの壁や屋根が見えたので、せいぜい昭和頃の建物じゃないか。


 壁は傾き、窓も割れたりして無くなっている家々は、緑の木々に飲み込まれそうになっていた。奥の方には竹林があり、集落の真ん中辺りだけ妙に広くて野原みたいになっている。畑だったのかなと思った。


 近くの家の窓が壊れていたので、そこから中を覗いてみると、小さな箪笥やちゃぶ台が見えた。汚いボロ畳の上には茶碗や箸が転がっている。建物の中に吹き込んだ雨や土埃に長年晒されてきたらしく、どれもボロボロで汚い。窓の外には、同じくボロボロになって土と同化する寸前の、男物の革靴が片方落ちていた。


 廃墟マニアなら楽しめるのかもしれないが、俺はこっち方面には特別興味が無い。まぁ普段と違うちょっと珍しいものを見られたという事で納得して、引き返そうとした。


 その時だ。


「ヒュー……ヒュー……」


 と、下手くそな口笛みたいな音が聞こえた。虫か、それとも鳥か?と思っていると、視界の端っこで何かが動く。気のせいかと考えながらそっちを向いた俺の目に、信じられないものが飛び込んできた。


 廃村の一番右奥に、屋根の潰れた平屋の一軒家があった。その陰から、ぴょこん、て感じに人影が飛び出してきたんだ。本当に、ぴょこん、て感じで。


 一瞬何かと思った。よく見たら、逆立ちしている人間がいた。


 足が上を向いていて、頭が見えない。たぶん女。地面に生い茂る雑草でハッキリしなかったが、体形からして女だと思う。汚れたぼろぼろの黒っぽい着物で、腰から足にかけてぐるぐるに荒縄みたいな紐が巻かれていた。さっきから聞こえる音の発生源は、こいつだった。


「ヒュー、ヒュー……」


 と空気が漏れてるような音と共に、逆立ち女は数秒間、建物の横で様子を見るようにじっとしていた。でもそれが突然、逆立ちしたまま、ガサッガサッと草を飛び越え俺の方へ近付いてきたんだ。着物の裾から見える足が土みたいな色をしていて、特に足首には縄が何重にも巻かれているのがわかった。固まっていた俺はそこでハッと我に返り


「う、うわあーーーーーーッ!」


 変な声で絶叫した。そして登ってきた道の方へ、反射的に走り出す。桜の木の辺りで振り返ったら、さっきの広い野原みたいな場所を、逆立ち女が長い髪を引きずり物凄い速さで走って(?)くるのが見えた。


 ――――やばいやばいやばいやばい!


 正直ちびりそうになりながら、登ってきた時の十倍くらいの速度で、曲がりくねった坂道を転がるように駆け下りた。錆びたチェーンの地点まで辿り着いて、どうにか巻いたかと坂の上を振り仰いだ。そうしたら曲がり道の向こうから逆立ち女が飛び出し、逆立ちしたままスピードを上げて坂を駆け下ってきやがった。


「っぎゃあああああ!」

 と叫んでチェーンを潜った俺は、そこで初めて気がついた。


 チェーンの巻かれた木の幹。さっきは草に隠れて見えなかった所に、色あせた古いお札が何枚もべたべた貼ってあった。しかもそれが、刃物か何かでズタズタに切りつけられていた。


 その間、ほんの二秒ほどだったと思う。無我夢中でクロスバイクに跨り、後はもう死に物狂いで自転車をこいだ。背後から草を掻き分ける音と、下手くそな口笛に似た、ヒューヒューという音が聞こえてきて鳥肌が立った。何も考えるな! 車道まで戻れ! と自分に言い聞かせ、普段なら絶対無理な速度で必死に坂を下った。


 頭が真っ白だった俺は、砂利道の坂から広い車道へ飛び出したんだけど、車が来ていたら確実に轢かれていたと思う。でもそんな事を考える冷静さなんかぶっ飛んでいて、逃げる事だけで頭が一杯だった。そこから一度も止まることなく、麓へ向かって猛スピードで自転車をこぎ続けた。振り向いたら逆立ち女がすぐ後ろにいる気がして、完全に山から離れ町のコンビニに着くまで、怖くて振り向けなかった。


 ようやく平地のコンビニに到着して自転車を停め、ふらつく足で店内へ逃げ込んだ。ガンガンに効いたクーラーの涼しさと人の気配で、やっと少し落ち着いた。どうにかミネラルウォーターを買い、外のベンチに座り込んで飲んでいると、コンビニの店長さんらしき人が出てきて


「大丈夫ですか? 救急車呼びましょうか?」

 と言ってくれた。真っ青な顔で手をワナワナさせながら水を買っていた俺を、ツーリングで体調崩した急病人と勘違いして心配してくれたんだと思う。申し出はありがたかったし、いっそのこと救急車に乗りたい気分だったが、そこまで具合悪くないので大丈夫ですと、お礼を言って断った。


 何となく時計を見たら、まだ正午にもなっていない。どうやら俺はあり得ない速さでここまで逃げてきたようだと考え、少し笑えた。その後は法定速度を守り(というか、もはや気力が無かっただけだが)超安全運転で家まで帰った。


 で、この話しには後日談がある。別に怖い後日談でも何でもないから、安心してくれていい。


 夏休みが終わって、俺はこの逆立ち女の話を『夏休みの思い出』として友達数人に話した。ちょっとした武勇伝て気分だったし、自分一人で抱えているのが嫌で、誰かに話したかったってのもある。俺が冗談ぽく話したのもあって、みんな笑って「マジかよ~」「お祓いした方が良くね?」とか、そんな感じの半信半疑なリアクションばかりだった。


 その中で一人、俺に面白いことを教えてくれたヤツがいた。大学の女友達で、仮にR子としておく。顔は、まぁ普通。地味だけど結構博識で、話しが面白いヤツだった。こいつが逆立ち女の話しを聞いた後、みんながいなくなった頃を見計らって


「N君の見たそれって、『逆さ女』じゃない?」


 と、真面目な顔で話しかけてきた。まさか元ネタ(?)があると思っていなかった俺が「何それ」と食いつくと、R子は「私もオカルト系はそんなに詳しくないけど」と言いながら教えてくれた。(尚、R子の得意分野はUFOや宇宙人だそうだ)。


「あのね、江戸時代にも今みたいな『怖い話』系の本があったんだけど。それに載ってるのを見たことがあるんだ。『逆さ女』っていうお化けでさ。他にも『逆女』とか、『逆さま幽霊』とかって呼ぶんじゃなかったかな?」

「逆さ女?」

 名前がいかにもイヤな感じだと思いつつ俺が呟くと、R子はこくんと頷いた。


「うん。私が読んだそのお話しだと、『逆さ女が恨みのある家へ入りたいのに、お札があって入れない』っていうストーリーだったと思うんだよね。あと何の本で読んだか忘れちゃったけど、昔は人を逆さまにして埋めるっていう埋葬の仕方があったらしくて。昔って土葬が基本だったじゃん? 田舎だと余計に……それで恨みを残して死んだ人が蘇ってこないように逆さまにするっていう、ある意味で呪い封じみたいな……」

 R子は俺にそんな薀蓄を聞かせてくれた。


「じゃあ俺が追い駆けられたのも、恨みを残して死んだ女ってこと?」

 ビックリして尋ねる俺を見て、R子は「うーん」と首を傾げていた。


「想像でしかないけどねー。昔何かあったのかもね。その女の人って足も縛られていたんでしょ? 元は全身ぐるぐる巻きだったんじゃない? ま、いずれにせよ埋めた人たちは、逆さまにするだけじゃ心配だったんじゃないの? N君の話し聞いた感じだと、かなりアグレッシブな人みたいだし」

「アグレッシブ言うな……」


 R子が何か飄々と話すからその時は怖くなかったが、後で考えたら薄ら寒くなった。仮にあれが誰かの手の込んだいたずらや白昼夢ではなく、現実だったとして。


 昔、あの廃村で何が起きたんだろう? あの女は一体何があったんだろう? 俺は幸い逃げ切れたが、逆立ちした女は俺を追い駆けてきて、どうするつもりだったんだろう? そして女の足を縛り上げて埋めた人々は、どこへ行ったんだろう? あの村は本当に、町村合併で廃村になったのだろうか? 茶碗や靴をその場に残したまま?


 わからないがとりあえず、もうあの山には行かない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 怖かった、最後がなにより怖かった。 そういえば、村の人ってどうしたんだろ?って考えた瞬間ゾッとしました。 幽霊に追いかけられる話ならよく読みますが、 「追いかけてどうする気だったんだろう」が…
[一言] 夏ホラーを読み歩いていてお邪魔しました。 怖かったです! 「逆立ちで追いかけてくる●●」という怪異は都市伝説などでよくできてきますが、それが実に気味悪くリアリティをもって描かれていてぞっと…
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