1話 深夜組
こんにちは、初めて投稿です。どうか生暖かい目で見まもってやって下さい。
江戸時代ー…倒幕やら開国やら色々あった時代である。詳しくは歴史の教科書を読むのである。
これは江戸を舞台にした剣士達の物語ー…とかカッコつけてみたのである。ちゃんとやるのである。
剣士絵巻物はこんなグダグダで始まるのであったーー…
1話、深夜組
深夜組の朝は早い。深夜なのに朝は早い。剣の稽古をするため起床は6時だ。まったくもって睡眠時間が足りない。いつか抗議してやろうと思っている。
深夜組とは、幕府の下につき国と民を守る、そんな部隊だ。え?新撰組?知らねぇな。
俺の名前は沖田信夜、おめでたくこの深夜組と同じ名前なのだが残念ながら局長ではない。
「お、信夜おはよう。今日は早いんだな」
俺に声をかけた目の前の人がにかっと笑う。
彼は近藤鮮尊。俺達深夜組の局長である母親みたいな人だ。今日もいい笑顔。
「ああ、オカー…近藤さん、おはよーこざいます」
あぶねぇあぶねぇ、局長をオカンと呼ぶところだった。
大して焦ることもなく近藤さんに挨拶する。
「火奏を見なかったか?まだ起きてないのかな…」
うーん…と近藤さんが眉を悩ませ考え始める。また土方さんか。いい加減重役出勤は勘弁して欲しいものだ。女を連れ込んだことは見たことないが…ま、まさかそういう趣味…?
「さぁ…?というより、部屋見てきた方が早いんじゃ…」
「!それもそうだったな!!」
なるほど、というように近藤さんが手を打つ。その顔には再び笑みをたたえて、…この人はつくづく抜けているな。
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「…よし、」
近藤さんと共に土方さんの部屋の前に立つと、ゆっくりと足をあげる。戸を蹴破るつもりだ。
「よしじゃないよ。ちょっと信夜くん?なにしてんの??」
俺がしようとしていることを理解した近藤さんが慌てて俺を止めようと声を掛けてくる。ふはははそんな事じゃ俺は止まらぬ!
「止めないでくれ、俺は行く...っ」
「いや違うからね、壊されたら俺の金から修理代出ていくんだからね?ね?早まらないでお願いだから」
「えい」
「ちょっとおおおおおおお!!!!!!!」
躊躇いなく土方さんの部屋の障子を蹴破って中に入る。無論近藤さんは無視して。いやぁ楽しい。
「土方さーん、あっさデースヨー」
そう言って土方さんを探すように部屋を見渡すと、
「やぁ信夜、良い朝だね」
ラスボスがいた。じゃなくて
「なんで山南さんがいるんすか…副長は副長でも土方さんを探しに来たんですが…」
山南良刹、深夜組の副長様で、その名の如く局長より土方さんより怖い羅刹のようだと隊士の中で有名だ。
「ん?火奏を起こしに来ようと思ってさ」
そう言って微笑む山南さんの手には刀がキラリと光っている。眩しい!
つっこまなかったけど床で屍になりながら転がってるのは土方さんだよな??起こすどころか永遠に眠らそうとしてるね???
「ソーデスカ、ドウゾゴユックリ」
「おいおいおい、助けろよ信夜!!!!」
局長の安全最優先、と黙って近藤さんを連れて部屋を出ようとすると、床の屍に声をかけられた。思わず舌打ちが飛び出す。ちっ。
「いや、俺まだ死にたくないんで、代わりに天国という楽園に逝ってくださいな」
「俺だってまだ死にたくねぇよ!!!!!!!」
あーもううっさいなー…
土方火奏、山南さんとおなじく深夜組の副長の一人だ。カースト制度で言うと文句無しの底辺の扱いを受けている。副長なのに。
「へーへー、仕方ねぇな。…山南さん、朝礼始まるんでその辺で。また後でごゆっくり」
やれやれと肩を竦めながら土方さんと山南さんの間に入って今にも斬りかからんとしている彼を止める。
「なに?信夜、君も楽園に逝きたいって?」
にっこりと笑う山南さん。怖いです。怖いです。大事なことだから2回言いました。
「失礼しました」
近藤さんを連れて大急ぎで部屋を出る。いのちだいじに。ね!
「おいこら信夜ぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」
「火奏うるさい、黙れ」
「えっ、ちょ...ギャァァァァア!!!!!!!」
土方さんはご愁傷さまってことで。
今日も深夜組は平和です。