表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

転校生

私は和田留美絵・・・らしい。身分証にそう書いてあった。年齢は17歳。性別は女。名前と年齢はともかく、性別は確かだ。鏡に映っている自分の姿がそれを証明している。まったく見覚えのない顔だがね。留美絵はため息をついて、顔を洗った。


朝の支度が終わったところで下に下りて台所に入った。そこにお母さんが朝ごはんを用意している。


「おはよう。今日の気分はどう?」


とちょっと心配気味に挨拶をするお母さん。


「いつもと変わらないよ。」


今まで何回も聴かれた質問だ。最近は、滅多に聴かないようにはなっていたが、久々学校に戻るせいか、念のために確認したくなったんだろう。


「そう」


平然と答えるお母さん。突然の変化はそもそも期待していなかったようだ。


「準備は全部終わったの?学校の場所は分かる?」


「うん、大丈夫だよ。」 


これから通う新しい学校は、結構離れたあまり知られていない私立高校。中途半端な時期に転校し、ちょっと目立つのが嫌だが、顔見知りだったはずの人がいる確立はほぼ皆無に等しい。そういう気まずい場面は極力避けたかったのだ。出来ればあまり目立たずに平凡の学校生活を送りたかった。


「遅れるからもう行くよ。」


かばんを取って、靴を履きながら言った。


「朝ごはんは?」


「いらない。んじゃ、いってきます。」


そういって、留美絵は返事を待たずに家を出た。急がないと遅れるのは嘘ではなかったが、そんなことより家にいるのが居心地悪くて長居をしたくかった。的確に言えば、今の留美絵は誰とも接触を避けたかった。学校もサボりたいところだが、初日からは流石ダメだろうと思って、こうやってせっせと足を運んでいるわけだ。


とりあえずは、なるべく目立たないようにしよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ