話節目、『猫』とのやり取り
久々の更新
短いですが話の節目と言う事で
「むぅ……」
「………んー」
自宅である
「んんー…んー」
「ん?むー…」
私は思案に明け暮れ、父は重度の疾患を抱えた頭を必死にこねくり回している
「なんか今失礼な事考えなかった?」
「気のせい以外の何ものでもないですね」
父の頭がいろんな意味で終ってる事は周知の事実なので別に失礼な事じゃない
「どうしますかねー?」
「どうするかねー?」
今、私達親子は子猫の名前を考えている
さっき父を迎えに行った時に
拾ってきたばっかの白い子猫
見たところ女の子だと思われるその子の名前を考えていた
名を付けると言うのはそれはもう重要な事である。
故に父と私は頭をこねくり回していた訳だが…
「なんて名前が良いのか全然わからん…」
「だよねぇ…」
おそらくメジャーどころであろう「たま」とかにすると
某魚介類系の名前ばかりでてくる国民的アニメにでてくる白猫みたいだし…
というか鈴つけたらそのもの、カットしたオレンジに中からでてきて腰を振り出したら完璧である。
かといってあまりない名前を付けるのも躊躇われる。
最近は自分の子供に神様の名前を付けたり、
暴走族みたいな当て字を使ったり、
もはや当て字にもなっていないような名前の子も多くいる。
流石に飴(読み:キャンディー)は私も度肝を抜かれた…
なんだよキャンディーって日本人は愚か外人にもそんな名前の奴いないだろうに、というかすごいニューハーフっぽい
「んー…とりあえず思い浮かぶのを待とうか」
「それが妥当ですかね…出てこないあまりに妥協してつけてしまうのもなんでしょうし…」
父の提案がしぶしぶ採用され、新しい相原家の一員(子猫)命名は先延ばしにされた…
しかしこの提案を飲んだことによって彼女(猫)の名前がほぼ決まってしまったことを、
この時私達は知る由もなかったのです。
〜2週間後〜
すっかり馴染んだ我が家の一員
最初はトイレや餌やら風呂やらと
わからない事だらけであたふたしていたものだが
2週間もすればこなれた物である
「んじゃ、猫殿。凛ちゃん行ってきます」
「ほらー猫さんご飯だぞー」
「こら猫さんっ…っとと…シャワー中に暴れるなよー」
「猫氏…そこにいられると勉強出来ないのだが…」
すっかり彼女(猫)も我が家に馴染み
今や立派な家族の一員である。
「よかったね」
「慣れない事ばかりであたふたしていたものですが…」
「幸い子猫だったし、懐くのも早かったからね」
「ええ…」
ずずー
茶をすする二人
「………」
「………」
「あ……」
「………あ?」
「「あ」」
「「名前決めてねぇぇぇぇぇぇ!!?」」
「え?、まてまてまてどういう事なんだこれは!?」
「ここ2週間すっかり忘れていたというか…もはや違和感もなかった…」
「いや、今からでも間に合うすぐに猫さんの名前を…」
にゃー
すると彼女が寄って来た
「………」
「……猫さん?……」
にゃー
アウトである
「もう覚えちゃったのかー…」
「猫に『猫』と言う名前ってどうなんですかね…」
「一見違和感ないけど、要するに人間に「人間」って名前つけたようなもんだからね…」
「読みは『ひとま』ですかね…」
「この子の場合音で覚えちゃってるからもうそういう裏もかけないな…」
「……はぁ」
かくして、
相原家の新しい一員である彼女の名は
愚かな父とその実子である私の些細な物忘れによって
『猫』となったのであった…
実は、動物の名前をそのまんまつけると言う点に関しては実話だったりしますw