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朝恒例、父娘のやり取り

なんで布団の中ってのは心地いいんだろうね、特に冬の朝の。

一生ここにいても良いくらいだ。

決めたよ、私布団と結婚する。


とも言ってられない

いくら布団の中が心地よくても

学生たる自分は学校に行かなくてはならない


先程からスヌーズ機能を最大限に活用し

私の睡魔をハンティングしてくれている目覚まし時計君におはようのチョップ


さっきまで布団をかぶっていたせいで

朝日が眩し過ぎる、目が開けられん

滅びの呪文を唱えられた訳でもないが

どこぞの大佐みたく目をかばいながらキッチンへ

「ああぁあぁあぁぁぁぁ目がぁぁぁ…目がぁぁぁぁぁぁぁ…」

とか言うと公安に抹殺されてしまうので自重


トースターにパンを二枚放り込み お湯を沸かす


洗面所で顔を洗い 歯を磨く

そうこうしているうちに意識も覚醒してきて

程よい狐色になってきたパンを焦げないうちにトースターから取り出し

沸かしたお湯で珈琲を入れる

食器を取り出しリビングへ

わーい、なんて清々しい朝なんだろうか



「おはよー、今日も一段と可愛いねー凛ちゃん」


訂正、私の清々しい朝はたった今

パン一でいらっしゃったクソ親父の

締まりの無い声によって彼方へと…

むろんこの場合のパン一は『パンツ一丁』の略である

まだ上にTシャツを着ているだけマシだが



「おはよう、頼むから寝言を目覚めの直後に言わないでくれ父、大体日頃からパン一で家をうろつくなと何回言わ…」

「皆まで言うな、父さんももちろんお前の事を愛してるよ」

「ごめんな父さん、言葉のおかしさや格好のことより先に父の頭の中を心配するべきだったね」

「心配するな、父さんの頭の中は凛の事で一杯だよ」

「そんな心配は私が呼吸をしているうちにはしない」

「はっはっは照れてる凛も可愛いなー」



このパン一で実の娘を口説き倒そうとする男は、

私「相原 凛」の父親である「相原 遼」

ここまでの会話をご覧の皆様、お分かりと思いますが、

この父、だいぶ頭に異常を来たしています。

医者が黙って頭を振るレベルである。



「というか父、何で私のパンと珈琲をさも当然のように食ってんの?しばくよ?」

「いやー、凛の作ってくれた朝食は美味いなー、父さん幸せ過ぎて死にそう」

「それなら手伝ってあげようか?」

「え?食べさせてくれるのかい?」

「娘との素敵なスキンシップは瞳孔が開いていないうちには期待しない方がいいよ、手伝うのは黄泉渡りの方だよ」

「いやー僕には素敵な娘がいて言う事なしだよ。」

「人の話を聴こうよ、こっちはいいたい事有り過ぎて困っちゃうよ」

「いいたい事?『パパ、愛してる』とか?」



戦慄、先程までの爽やかな朝は親子コントと化してしまった

父に奪われた朝飯の代わりに、パンを四枚トースターへ

余熱のおかげで先程よりは早く焼き上がった

パンと残りの珈琲を携え、パン一の脳内お花畑男が待つリビングへ



「ところで、愛しの凛ちゃん」

「何ですか、気持ち悪い」

「大丈夫?熱でもあるのかい?」

「そっちじゃないよ、気持ち悪いのは父だよ」

「僕は大事ないよ?凛ちゃんは優しいけど心配しすぎるのが偶に傷だよね」



もうこの父には何を言っても無駄な気がする…

まあ今に始まった事ではないが。



「はぁ…で、何用?」

「うん、今日は帰りが遅くなりそうだから夕飯は僕の分は作らなくていいからね?何だったら凛ちゃん、外で済ませても構わないからね?夜も僕の帰りを待たないで先に寝といてね」

「了解しました」



この変たi…もとい糞親父

以外にも大企業の重鎮だったりする…

こんな意味の分からん人なのに…日本は大丈夫なんだろうか?



ー20分後ー


お互いに準備を済ませて家を出る

先程、私が着替えている途中に父が突入するという出来事があった…

まぁ毎朝の日課なのだが…



「じゃあ…行ってくるね、凛ちゃん」

「まあ、精々頑張って下さい」

「なんだか新婚さんみたいだね」

「寝言は永遠の眠りについてから言ってください」



今日も他愛の無い


いつも通りの二人の朝


これは不器用な父娘二人の


家族の話である





「じゃあ…凛ちゃん、父さんにいってらっしゃいのチュウを…」


せっかくいい感じにまとめたと思ったら

最後まで締まりの無い父であった…

父には地面と接吻してもらう事にしました

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