7 モノクロな部屋の子の宝物
モノクロな部屋の子には
黒のコルセットに
白いミニスカート
黒い目の下の隈
白く透ける肌
黒のリボンであしらった
白い“それ”が宝物
グリフィンとお昼寝するときは
“それ”を抱えて瞼を閉じる
人魚とお洒落をするときは
“それ”を飾るのを忘れない
白く美しく宝石のようで
少女が大好きだったヒトのモノ
“それ”とはいつも一緒に過ごして
目の跡、顎の関節、骨のライン
時折嬉しそうに撫でる
長い黒髪が少女の表情を隠すけど
今は確かに笑っていて
ゆっくりと“それ”に語りかける
「I loved you」
髑髏は何も答えず
ただ静かに刻は過ぎた
モノクロな部屋の中では
赤い夕焼けや
青い海
黄色の光や
緑の草木
七色に輝く虹は
存在していられない
魔女様がくれた炎の欠片
それは少女の世界で黒と化し
栗毛のペガサスの尻尾の毛
それは少女の世界で色を失う
元から白い“それ”だけは
唯一変わらぬ澄んだ色
窓の外に広がる眩しい青空に
少女は背をむけて白く輝く
涙を一粒落とした
少女が居なくなるとモノクロな部屋は消えるから
ゆっくりと“それ”に語りかける
「I don't lonely」
髑髏は何も答えず
ただ静かに刻は過ぎた






