表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/43

ティータイム・ストーリー(イゾルデ編)第3話:主が、帰ってきたにゃ

 視聴者数が五百人を超えたあたりで、玄関のドアが開く音がした。


「ただいま——」


 凪が入ってきた。


 イゾルデはカメラに向かって「帰ってきたにゃ」と言った。


【コメント欄】

鮭おにぎり:魔神様帰宅!!

DD(誰でも大好き):どんな反応するの

攻略ガチ勢:これは怒られるか?

指摘警察:ドッキリか


 廊下から足音が聞こえた。


「ただいま——」


「配信中にゃ!!」とイゾルデが素早く叫んだ。


 一瞬の間があって、足音が止まった。


 凪がリビングの入口で止まっていた。イゾルデを見た。スマホを見た。画面の「LIVE」マークを見た。視聴者数「531」を見た。


 そのまま、ドアの陰に半身を隠した。


【コメント欄】

鮭おにぎり:誰か来た!?

DD(誰でも大好き):魔神様?

攻略ガチ勢:後ろ姿だけ見えた

名無しさん:背が高い

指摘警察:後ろ姿もCGか


「……イゾルデ」とドアの陰から声がした。低い声。「何をしていたんだ」


「留守番にゃ」


「留守番って、これは」


「暇だったにゃ」とイゾルデは言って、尻尾をぴんと立てた。「だから配信したにゃ。おとなしくしてたにゃ」


【コメント欄】

鮭おにぎり:おとなしいの定義が違う

DD(誰でも大好き):声が若い

攻略ガチ勢:これ魔神様だよな

魔神びいき:むしろ呆れてる

指摘警察:声はCGじゃないぞ


「……スパチャは」とドアの陰から声がした。「カネゴンから七十万円来てるんだが」


「まぐろのお礼にゃ」


「まぐろを頼んだのか」


「届いたにゃ」とイゾルデは言って、冷蔵庫の方向を前足で示した。「冷蔵庫に入ってるにゃ。主の分もあるにゃ」


 ドアの陰から、小さな物音がした。


「……仮面がないにゃ」とイゾルデが小声で言った。「カバンの中にあるにゃ?」


「……ある」


「取るにゃ」


 少しの間があった。


【コメント欄】

鮭おにぎり:何か相談してる

DD(誰でも大好き):仮面って言った

攻略ガチ勢:やっぱり仮面は必須なのか

カネゴン:魔神様! 早くイゾルデたんに会いに来て!!


 しばらくして、仮面をつけた人物がドアの陰から出てきた。


「……どうも」と仮面の人物は言った。カメラを向いてはいるが、少し距離を置いている。「イゾルデが、その……勝手に配信を」


鮭おにぎり:魔神様だ!!

DD(誰でも大好き):合流した

魔神びいき:いつもの仮面だ

指摘警察:やっぱりCGだ(諦め)


 凪がイゾルデを見た。


「終わらせるぞ」


「もう少しにゃ」


「終わらせる」


「なぁ~」


【コメント欄】

鮭おにぎり:ケンカしてる

DD(誰でも大好き):仲良しだ

魔神びいき:これが日常なんだな

カネゴン:……尊い(小声)


 凪がカメラを向いた。


「……今日は、イゾルデが留守番中に勝手に配信をしていました。ご迷惑をおかけしました。スパチャしてくれた方、ありがとうございます。まぐろは美味しく頂きます」


 それだけ言って、配信を終了した。


  *


 夜、まぐろを食べながら、凪が言った。


「次から勝手に配信するな」


「なぁ~」


「返事になってないぞ」


「……なぁ~」


「……まあ」と凪は言って、箸を置いた。「視聴者が五百人増えたのは、悪くないけどな」


 イゾルデは尻尾をぴんと立てた。


「だから言ったにゃ。ボクは人気者にゃ」


「俺が言ったわけじゃない」


「同じにゃ」


 凪が少し笑った。声には出さない笑い方だった。


 イゾルデは満足して、まぐろの続きを食べた。


イゾルデ編、いかがだったでしょうか?

ソフィア編と聖羅編も用意していますので、お楽しみに。

それからブックマークと高評価をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ