ティータイム・ストーリー(イゾルデ編)第2話:質問に答えるにゃ
視聴者が増えるにつれて、コメント欄が賑やかになった。
視聴者数、三百人。
「質問があるにゃ? 答えるにゃ」とイゾルデは言って、コメント欄を眺めた。「何でも聞くにゃ。ただし、答えたくないことは答えないにゃ」
【コメント欄】
鮭おにぎり:魔神様はどんな人ですか
DD(誰でも大好き):イゾルデたんに直接聞けるの夢みたい
攻略ガチ勢:腕輪の謎を教えてくれ
指摘警察:そもそもCGじゃないの
名無しさん:イゾルデたんは何歳?
迷える剣士:好きな食べ物は?
「いっぱい来たにゃ」とイゾルデは言って、一つずつ見た。「まず——魔神様はどんな人か、にゃ」
少し考えた。
「魔神様はにゃ」とイゾルデは言って、金色の目を細めた。「……強いにゃ。ただし、本人は認めないにゃ。それと——優しいにゃ。ただし、素直じゃないにゃ」
鮭おにぎり:わかる
DD(誰でも大好き):素直じゃないのわかりすぎる
「あと、料理が上手いにゃ」とイゾルデは続けた。「主が一人でいるとき、たまに作るにゃ。美味しいにゃ。でも、あんまり誰にも言わないにゃ。恥ずかしいのかもしれないにゃ」
名無しさん:かわいい情報が出てきた
鮭おにぎり:料理できるの知らなかった
DD(誰でも大好き):魔神様のギャップが……
「次——腕輪の謎にゃ」とイゾルデは言って、しっぽを揺らした。「……秘密にゃ」
攻略ガチ勢:やっぱり何かあるんだ
指摘警察:答えないのはCGだから
イゾルデ:CGじゃないにゃ
指摘警察:本人がコメントした!?
「次——イゾルデは何歳か、にゃ」とイゾルデは言って、少し考えた。「……神獣の年齢は人間とは違うにゃ。ヴァルナ様の配下になってから、かなり経つにゃ。でも、気持ちはずっと若いにゃ」
名無しさん:神獣!?
DD(誰でも大好き):神獣って言った
攻略ガチ勢:やっぱり本物だった
「好きな食べ物はにゃ……魚にゃ。刺身が好きにゃ。主がたまに買ってくれるにゃ」
DD(誰でも大好き):刺身食べるイゾルデたん尊い
鮭おにぎり:名前の由来は鮭おにぎりと関係ないよね
「ないにゃ」
鮭おにぎり:そうか
そのとき、スパチャの通知が来た。
カネゴン、五十万円。
コメント:「イゾルデたん!! 一人でいるの!? 心配したわ! 魔神様はどこに行ったの!? ちゃんとご飯食べてる!? 困ったことがあったら言いなさい!! 今すぐそっちに行ってあげてもいいわよ!!!」
「カネゴン!!」とイゾルデは叫んだ。耳がぴんと立った。「来てほしいにゃ! 刺身を持ってきてにゃ!!」
鮭おにぎり:図々しい
DD(誰でも大好き):でも正直うらやましい
カネゴン:刺身の種類は何がいい!? 今すぐ手配するわ!!
イゾルデは尻尾を激しく揺らした。
「まぐろにゃ!!」
カネゴン:了解よ!! でも先に一つ聞いていい?
イゾルデ:なににゃ
カネゴン:魔神様、ちゃんとイゾルデたんのこと大切にしてる?
イゾルデは少し止まった。
コメント欄が静かになった。
「……うん」とイゾルデは言った。今度は短く、静かに。「大切にしてるにゃ。ボクのことを、ちゃんと相棒だと思ってるにゃ」
少し間があった。
「……主は、昔は大変だったにゃ。毎朝、悪い夢を見てたにゃ。でも今は見なくなったにゃ。それが、ボクは一番嬉しいにゃ」
【コメント欄】
DD(誰でも大好き):……
鮭おにぎり:イゾルデさん……
魔神びいき:泣いてる
攻略ガチ勢:急に良い話になった
カネゴン:……まぐろ、二人前手配するわ
「なぁ~」とイゾルデは鳴いた。満足そうに。
イゾルデ編、後1話です。
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