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14.フロア管理者からの伝言

 前回のあらすじ。

 フロアボスを倒し、オルタと再会したノルテアは、状況報告を知り納得する。長い報告もこれが最後。フロア管理者と名乗る人物からの動画が届いた旨を知る。

 読み上げるように文面を見るノルテアは、その意味深な内容に興味を示す。果たしてその後はどのようになるのでしょうか?

 書見のほどよろしくお願いします。

「名を問おう」


 いきなりで失礼な文章だな。


 どうやら空欄を埋めなければ先へは進めないらしい。


 ウインドウに表示された文面を読み上げるボクは、ノルテアと入力し、次のメッセージに目を向ける。


「求めよ、ノルテアよ。欲望とはなんだ?」


 お金かな?


「春を買うというのか? それも答えだ。だがな、若さを求める者に未来はない! ってぇ! なんだよ! これ!」


 良く分からない。先を読み上げていこう。


「え……、なにこれ?」

「変態な質問ばかりですね」

「なんか気分が変になってきた」

「マスター? 真面目に答えているのですか?」

「うん。一応そのつもりだけど……」

「少女が好きなのですか?」

「そう言うのは聞かないでよ!」


 なんだか恥ずかしくなってきた。真面目に答えていくのが馬鹿らしくなってくる。


「おパンツノルテアよ。よくぞここまでたどり着いた。最後に私からの動画メッセージを拝聴せよ」


 はいはい。おパンツ好きですよ。


『聞こえるかな? 聞こえているなら返事をして欲しい』

「うん」

『始めまして。おパンツノルテアよ』

「その言い回しは止めてよ!」

『何を恥じることがある。私たちはHENTAIだ。お互いに敵同士ではあるが、そこは共通するところ。隠すことではないはずだ』

「確かにそうかもしれないけど……」

「最低です。私はマスターを“軽蔑”します」

「ぐっ、もういいよ! それで? ボクに何か用件があるんだろう?」

『うむ。説明しよう』


 初めからそう言えばいいんだよ。


『私の名は賢者ザイール。神聖暦105年。年の分だけ性歴がない』

「そんなことはどうでもいいんだよ!」

『だが最近妻ができた。これがなかなか若くて美人でいてな。具合もいい』

「聞いてないよ!」


 ボクは十歳の子供だ。アダルトな会話は刺激的過ぎる。情操教育に良くないと思う。


『私たちの宿敵おパンツノルテアよ。良く第一のフロアにたどり着いた。誉めてやろう』


 褒められている気がしない。


『だが君が望む世界はすでに無い。セクシャルロイドAIの全ては回収した。彼ら彼女たちの受肉が許された。今はエルフとして生活を共にしている』


 オルタが言っていた。第二次クローンニング計画。おそらくそのことだろう。


『ちなみに私の嫁もその一人だ。とても感度がいい。おパンツノルテアよ。うらやましいだろう?』

「うるさいよ! さっさと話を進めろ!」

『それにしても良くここまでたどり着けたな。私は不思議でならない。どうやってフロアガーディアンを倒したのだ?』

「がんばったよ。本当に死ぬかと思ったけどね」

『そうか。そんなにセクシャルロイドが欲しかったのか。残念だったな』

「違うよ!」

「最低ですね……」

「勘違いするなよ! 襲ってきたから戦っただけだからね!」

『君を歓迎はしていない。なぜなら君は会員ではないからだ。ここは放棄している。ゆえにそれを知りえる者は敵であると証明しているに他ならない』

「別に敵ってわけじゃないんだけど……」

『おパンツノルテアよ。私たちは秘密結社HENTAIだ。だがすでに解散している。それでも私たちの足跡をたどるというのであるならば、この先に進むといい。最後にだけその答えを残しておこう』

「最後ってここのラストってこと?」

『そうだ。健闘を祈っている』

「うん」

『ちなみにおパンツノルテアよ。これだけは言いたい。お前は童貞だな?』

「うるさいよ! 死ね!」

『はっはっはっは、勇敢なる童貞おパンツノルテアよ、さらばだ!』

「あっ!」


 映像の途切れ、同時にメッセージが消滅していく。


 どういう仕組みか分からないが、周りも一瞬にして変わっていく。青空だったフロアの景色が変容し、真白の空間になる。


 そう言えばここはゲームでも開発者専用のD空間だったな。


 雰囲気が似ているとは言いたくはないけれど、話の内容が最悪だった。二度とこんなことにならないことを祈りたい。


「何だよ、何か文句でもあるのか?」

「マスター。貴方は本当にかわいそう人ですね」

「うるさいな! もういいだろう!」


 確かに月城乃央は童貞だよ。だからってボクが童貞だとは限らないじゃないか。


「…………」


 童貞だよ。何が悪いんだ。


「体が赤いです。興奮しているのですか?」

「だからうるさいよ! そんなことよりもオルタはどうなの? さっきのメッセージの内容だけど、最後のフロアに何があるのか知るべきかな?」

「はい。私も興味があります。おおよその検討は付いています。ぜひともマスターには進んでもらいたいですね」

「意外だね。危険だと思わないの?」

「はい。ですがそれ以上に好奇心が勝っています。私にはそれだけの価値があると考えています。それにマスターは初めから進む気だったのでしょう?」

「分かっているじゃないか。そもそもの目的はボクのスプリスを強くすることにある」

「すでに次の層へのフォースタームナンバーは解析済みです。いつでも転送することができます」

「準備がいいね。だったら今から先に進んでもいいのかな?」

「いいえ、それはいけません。念のために三日間ほど休みを取ってください。身体に疲れが出ています」

「それもそうだね。わかった。そうするよ」


 話していると気持ちが落ち着いてきた。


「それにしても、思っていたのと違うな」

「何が、です?」

「ゲームだと十層がフロアボスになるんだよ。でもここは二層。明らかに知っている内容と違っている」

「マスター。余り過去の記憶に囚われるのは良くないと思います。おそらく最初からマスターの予想違いの状況になっていた可能性があります。あくまでも参考程度にしておいた方が無難ですよ」

「そうだね。ボクも同意見だよ」


 この世界がゲーム世界であるとする認識を改めた方がいいと思う。否定するのではなく、ここが類似した世界であるという考え方に変えていかないといけない気がする。


 地球の記憶とゲームの記憶。どちらもリアリティに感じられる。嘘とは全く思えない。


 未だにボクは混乱している。夢で見た音葉姉さんの件もそうだけど、考えることが多すぎる。その割にノルテアの生活が忙しく、対応する余裕がない。


「うん」


 ようやく調子が戻ってきた。なんだか桃色な気配に充てられ変な気分になっていたよ。


 よくよく考えるとオルタの報告が発端で変態な話になったんだ。もしかしたらいつものように、ボクをからかっているのかもしれないね。


 もうオルタの企てには応じないからね。ボクは冷静だ。


「帰ろう。このまま想出できるのかな?」

「フィルアウトプロセスを開始します。……ところでマスター。おパンツと呼ばれていたのはなぜですか?」

「それを今聞くの?」

「グランドマスターがマスターに興味があるようです」

「絶対に言わないからね」

「残念です。私はマスターに対し認識を改める必要があります」

「どういう意味?」

「女性の下半身に興味がある。年上より年下。いや、むしろ、成人前の少女が好みのむっつりスケベ。旧来であるならば性犯罪者ですね」

「あのさあ、分かって言っているよね!」

「率直に言ってロリコンですか?」

「うるさいわ!」


 やっぱりオルタはボクをいじって楽しんでいるんだ。

 ロリコン表現は13禁ですよね。多分。

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