表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

13.アースバングに勝利した後の状況報告

 前回のあらすじ。

 敵は暴走し、能力を大幅に強化する。FPも無限使用。攻撃を通す手段がなく、万事休す。そこに救世主からの連絡が送られる。

 オルタのフォローを受け、いつでも逃げられる状態になる。それが心に余裕を生み、起死回生に戦意を奮い立たせ、戦いに挑んでいく。果たしてノルテアはどうなったのでしょうか?

 書見のほどよろしくお願いします。

「マ……起きて……ター」


 誰かの声がする。


「回復は済んでいますよ。いい加減に起きてください」


 ボクを呼ぶのは誰だ。


「うぅぅ……」

「マスター。ようやく目を覚ましましたね」

「ん?」


 仰向けになって寝ていたのか。浮かぶ丸い姿のオルタに向け、ボクは朝の挨拶を言葉にする。


「おはよう」

「寝ぼけているのですか? 今は夜中ですよ」

「そんなはずはない。空が明るいよ? にしても見慣れない場所だね。ここはどこなんだ?」

「貴方が指定したD空間の中ですよ。忘れてしまったのですか?」

「……あ、そっか……」


 やっと思い出した。ボクは丸い体を反転させ、モフモフと起き上がる。


「戦いに勝ったんだね」

「はい。私も信じられないと感じています。まさかあれほどの能力差があるにも拘わらず、戦況を覆すとは思いませんでした」

「そうだね。紙一重だったね……」


 最後の三時間。ボクは敵と死闘を演じた。


 難易度最強の敵と戦った経験を生かし、同じ要領で反撃を行っていった。おかげでリミット時間内に戦いを終えることができた。


 しかし終わりの数秒遅れていたら倒すことができなかっただろう。


 敵は知能が高く、途中からボクが望む攻撃を一切出さなくなる。


 最後の60分は死に物狂い。10秒毎に1ダメージを重ねる。そんな戦いだった。


「本当に強かった」

「そうですか? 強そうな個体ではありましたが、野良のネガとしては三流以下です。あの程度の敵でここまで疲弊するようでは、外で生きていくことなど到底できるはずがありませんよ。自分がどれほど弱い存在なのか分かっているのですか?」

「手厳しいね」

「そんなことよりも聞きたいことがあります。なぜ私の忠告を無視したのですか?」

「どういう意味?」

「以前もそうでしたよ? ここへ来て最初にネガと奮戦した時のことです。私がフォローすると言ったのに、貴方は一人で先に行ってしまった」

「ああ……、懐かしいね」

「今回もそうです。貴方は私の忠告を無視し、敵の中へとシークしていったのです。一体どういうつもりなのですか? 納得のいく説明を聞かせください」

「前は出会ったばかりだったから仕方がなかったけど、今回は違うよ。オルタを助けようと思っただけだ」

「私を助ける? 何を言っているのですか?」

「仕方がないだろう。体が勝手に動いてしまうのだから」

「馬鹿なマスターですね。本当にどうしようもない人です。ですが、その心意気だけは評価します。私ではなく、グランドマスターがそう言っています」

「エルノアが? ボクの話を聞いているの?」

「おや? グランドマスターを呼び捨てですか? いい度胸ですね。ええ、そうです。貴方に感謝していると言っています」

「そっか……」


 エルノアが生きている。そう確信できる内容だね。


 エルノアは負感応症という病気に侵されている。


 負感応症はフォースアレルギーとも呼ばれ、超能力の負荷を受けやすくなる奇病になる。フォースを使うと発熱を誘引する。


 重度の患者は必ず死ぬと云われている。克服するためにはクローンニングの技術が必要になる。


「ボクに手伝えることはあるのかな?」

「何を言っているのですか?」

「エルノアを復活させる手助けだよ」

「……そう思うのでしたら、死にそうな目に合うのだけはやめてください」

「えっと……」


 貴方にできることが無いと言っているのだろうか?


「それよりもマスター。報告があります。お聞きになりますか?」

「なにかな?」

「先ほどの戦闘でグレードが932になりました」

「えっ! そんなに上がったの?」

「はい。勝手ながらマスターが眠っている間にカスタムを済ませています。ステータスを確認してください」

「うん」


―――――――――――――――――――――――

 個体情報:

 使役者[ノルテア]

 タイプ[イデア]

 サイズ[SS]

 種類名[フラッフィーロリー]

―――――――――――――――――――――――

 能力ステータス:

 グレード[932]

 戦闘力[142449]

 HP[476]

 FP[506]

 攻撃力[471]

 防御力[471]

 抵抗[483]

 速力[485]

 幸運[4665]

―――――――――――――――――――――――

 ステータス補正値:

 強度[1]

 知能[4]

 制御[1]

 敏捷[2]

 耐性[1]

 機運[933]

―――――――――――――――――――――――

 異能スキル:

 [吸収][隠蔽][解析Ⅱ]

 [生育]NEW

 [念動力]NEW

―――――――――――――――――――――――


「強くなったね」

「何をおっしゃっているのです? ゴブリン程度の能力しかないではありませんか」

「え? ゴブリンはそんなに強いの?」

「強い? これが? いいですかマスター。はっきりと申し上げておきます。貴方の認識は間違っています。今の貴方はスプリスを手に入れたばかりの初心者シーカーと同じレベルです。つまりカスなのです。能無しですね」

「ひどい言われようだね!」


 やっぱりオルタだ。ボクに冷たいし、ツンとしている。


「それよりも見てください。異能スキルに“生育”と“念動力”が追加されています」

「敵から取得できたってことかな?」

「はい。念動力は取得したものになります。1000万アルクを支払いカスタム済みです」

「生育はどうやって覚えたの?」

「グレードが300に上がったときに習得したようです。私のデーターには無い未知の能力です。詳細を分析しました。確認しますか?」

「うん」


―――――――――――――――――――――――

〈スキル名〉[生育]

〈説明〉生物の生育を促進することができる。

〈強化〉[育成Ⅱ]微生物促進が習得できる。

    500万アルク必要。

―――――――――――――――――――――――


「変な能力だね」

「さすがはマスター。温厚な見た目通りの潜在性を発揮していますね」

「それ褒めているの?」

「いいえ。解釈は自由です」

「今はっきりと馬鹿にしたよね!」


 何に使う能力だろう。用途が思い浮かばない。


「次の報告です。先ほどの戦いで1ヴァイスと3328万アルクを得ています。持っていた分と合わせ、1ヴァイスと6132万アルクを所有しています」


 1ヴァイスは1億アルク。ヴァイスは桁違いのアルクという意味になる。


「潤ってきたね」

「はい。さっそくスキルの強化に使用しますか?」

「そうだね」


 できれば手に入れた念動力を強化しておきたいところだ。攻撃手段の確保は重要案件だからね。


「念動力の異能をⅢにできるかな?」

「可能です。3000万アルクが必要になります」

「強いスキルはアルクの消費が多いよね。貯めた分が無くなっちゃうよ」

「これが強いのですか? ご冗談を……」

「今だけだよ。スプリスが進化したらもっと強くなるんだからね」

「夢物語です。取らぬ狸の皮算用。机上の空論とも言いますね」

「そうだよ! 弱いよ! でもボクの中では最強なんだからね!」

「念動力を本当に強化するのですか?」

「スルーかよ。ああそうだよ。さっきも言った通りⅢにしてよ」

「負担が大きくなることが予想されます。プライベートルームに戻ってから行うことを提案します」

「だったらそうしてもらえるかな?」

「了解しました。さっそくアルクをお預かりします」

「うん、お願い」


 それにしても運が良かった。ボスエネミーとは一度しか戦うことができない。だというのにスキルを手にすることができた。これで戦いの幅を広げることができる。


「もう一つ報告があります」

「今度はなに? いい話かな?」

「いいえ。この先の層へ行くための転送装置が見つかりました。先ほど解析した結果、イデアオンリーフロアが適応されています」

「えっ? そうなの? ボクしか行けないってこと?」

「そうなります。ですが、ご安心ください。私はラボで待機し、マスターをハッキングするつもりです。もしも危険になった場合には、強制転移プロセスを実行します」

「そのハッキングっていうの、やめてよね! ボクがオルタに洗脳されたように聞こえるじゃないか!」

「間違ってはいません。正しい表現です。言い換える必要はありません。無駄ですよ。むしろハッキング程度で済んでいることに感謝してください」

「怖いこと言うなよ!」


 次の層から索敵やマッピングのサポートが受けられなくなるのか。


 少し怖いけど仕方がない。少しずつ慎重に探索していこう。


「報告はもう無いかな? 無いなら今後の予定を考えたいんだけど」

「いいえ。最後にもう一つあります」

「その言い方、嫌な予感がするんだけど……」

「はい。と言ってもあくまでも予測です。実はマスターにラブレターが届いています」

「前置きはいいから早く教えて」

「このフロアの管理者と名乗る者からマスター宛に動画メッセージが届いています。どうやらプロテクトがされているようで、イデア型のスプリスを持つ貴方だけに開示されているようです」

「どうやって見るの?」

「メッセージを転送します。ウインドウが開かれるので、その後の操作をお願いします」

「分かった。――あっ」


 画面表示と共にメールが着信する。


 内容はこうだ。私たちに敵対する者へ。君の求める者はここには無い。それでも先へと進もうというのならば、“ここ”にアクセスして欲しい。


 ここという文字がハイパーリンクになっている。


 ボクは“ここ”という青い文字に白い手先を当てる。すると、新しいウインドウが表示される。

 スプリスから感応体に戻れるよね? 白い手って何なんだよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ