5月12日
今日も実に退屈な日だった。
プログラミングの授業と、コンピューターの座学。
プログラミングは教えるという気がまるで感じられず、座学の講義は話がつまらない。
ためになる話というのは分かるが、単純に話を聞いて小テスト課題に取り組むだけで退屈。
情報処理と講義名に入っていて惹かれたが、ひたすらコンピューターの歴史や仕組みの話を聞くだけだ。
買ったはいいが買う前の期待値を下回ったゲームをプレイしている気分だ。
教科書代もかかっているし、判定を無駄に下げたくもないし。
やはりとるんじゃなかったな、この講義。
今日は普通の男が頭に出てきた。
出てきたのはプログラミングが終わって、座学の講義を待っていた休み時間。
全力疾走でもしてきたかのように、めちゃくちゃ焦った様子で現れた。
どうしたんだそんなに慌てて、そう問いかけた。
「会えて嬉しいが、時間がない。今から言うことをとにかく呑み込んでくれ」
ああ、それは構わないけど……。
「まず、君は右手について思い出さないといけない。僕たちとそれとは、並々ならぬ関係があるんだ」
右手に……それって前に言ってたやつだよな?
「そうだ、早めに思い出すんだ」
そうは言っても、どうすれば……大体なんでそんなことを━━
「君にはまだ生きてもらわなきゃ」
そう言って消えてしまった、とても急いだ様子で。
右手……って、この俺の右の手のことか?流石に違うか?
住人と関係……いったいどういう。
そして……生きてもらわなきゃ……?
死ぬ……のか?なんで、そんなこと……。
ダメだ、頭がどうにかなりそうだ。
いやもうなってるのかもしれないが、右手を思い出すってなんだよ。
死ぬかもしれないってなんだよ……。