5月1日
今日から日記を書くことにした。
どうやら、俺の頭の中にいるやつらは、普通はいないらしい。
今日の昼、友人のUと話して分かった。
そもそも頭に他人などおらず、そんなのと会話している俺は異常らしい。
心療内科をすすめられるのはなんか嫌だったが、当然と言えば当然なのだろうか。
俺の頭にいるはずのない他人がいるのは、俺も気になるところだ。
なので、自分を知るために、頭に出てきたやつを記録していく。
今日出てきたのは博士。今まで出てきたやつとは違う、これで10人目の博士。
白衣に、なんか四角くて黒い帽子かぶってた。あと、髭がない。
「何故こんなにも暑いのか、知っているか?」
突然出てきて突然話しかけてきた。温暖化で暑くなってんだろうと、適当に答えた。
「その答えは不十分、確かに温暖化は理由の一つ。だが、それとは別に起きている異常事態がある」
めちゃくちゃ勿体つけてくる。なんだよ、さっさと言えと返したら
「皆、温暖化で暑い期間が延びていると勘違いしているのだ。しかし、実際には季節がズレているのだ」
ズレてる?
「そうとも!今、夏が来る時期が早まり、終わりも早くなっている。冬も同様だ。このままいけば10年後には、4~6月が夏、9月~11月が冬、12月~2月が春、ということになりかねんのだ!」
要するに、5月が暑いのは夏の時期が長くなったんじゃあなく、季節全体がシフトしてるってことか……なくはなさそうだけれども。じゃあ、なんでそんなことになってるんだよ。
「それはまだ不明だ」
そう言って消えてしまった。こんなことばっかりだ、俺の頭は。仮説を証明できてないのに俺に語りかけてるなんて。
俺がこの博士たちを生み出してるなら、俺はこのくらいのバカだってのか。