序話 藍色の夢
「…………」
三咲は夢を見ていた。
自然溢れる森の中、一人ぽつりと立っている。
周辺には様々な【アニマ】たちが、野生の動物と同じようにのんびりと過ごしていた。
「変な夢……」
彼女は感情などを失ってから夢を見なくなった。
しかし、エイトと関わるようになってから少しずつ夢を見る回数が増えていったのだ。
その中でも、異常に冴えた夢に違和感を覚えている三咲。
「?」
藍色の羽をした巨大な蝶がゆっくりとこちらに迫ってきているのが見えた。
すると、蝶はその細い足で三咲を抱きしめる。
(……不思議、エイトみたい)
安心感を覚えた三咲は、そのまま身を委ねるように蝶に体重を乗せる。
――お願い。
「!?」
突然、少女のような声が頭の中に入ってきた。
お願い――あの子を――――エイトを、助けて――――
◆
ピピピッ! ピピピッ!
「…………」
目覚ましの音で現実に戻された三咲。
目を擦りながら、身体を起こす。
――エイトを、助けて――
「……エイト」
その言葉が頭に残っていた三咲は、寝巻のまま自室を抜け、早歩きでエイトの部屋に向かう。
そしてノックもせず、彼の部屋に入る。
「――うぉっ、何事!?」
当然、中にいたエイトが驚く。
しかも着替えている途中で、不幸にもズボンを脱いでいる最中だった。
「…………」
「えっ、何かあった!?」
「エイトを助けろって、夢の中で言われたから」
「ゆ、夢!? ……今の俺は困ってないし、大丈夫だよ」
「…………そう」
エイトの言葉にあっさり納得した三咲は、そのままエイトの部屋を去って行った。
「…………あっ」
その間、ずっと下がパンツだけだったことに気づいたエイト。
「…………」
エイトは何事もなかったかのように着替えを再開する。




