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マシンガンズ・アニマ  作者: 白沼 雄作
第二章 光纏いて彷徨う朱雀に、導きの愛を
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序話 繋げられた命

 ――私の心臓をあげるから、あなたは生きて!


 ――生きるのよ!!




「――――沙七!!」


 一樹は過去の夢にうなされ、目が覚めた。


「……寝ていたのか」


 時刻は午後八時――まだ夜になったばかりの時間。

 一樹は仕事の疲れからか、リビングで眠ってしまったのだ。


「…………」


 彼は煙草に火を点け、吸い始める。

 エイトが三咲の屋敷の鍵をもらってから一週間が経過していた。

 彼は三日前に家を出ており、今頃好きな人との共同生活を満喫しているだろう。

 そのため、現在一樹は一人。エイトを拾う前の生活に戻っただけだが、寂しさを感じていた。


「……『さな』」


 自分が恋をした人物を思いながらの一服。

 それと同時に、もう一人の『さな』の顔も浮かんでくる。


 実のところ、紗菜が自分に好意を抱いていることを、一樹は理解していた。

 その事実について、彼は心の中で素直に喜んでいる。

 一樹はモテないわけではないが、女性との接し方がわからず、元の口数が少ないため相手に見限られてしまうことが多い。

 特に一番決定打になるのは、やはり喫煙者であること。現代では喫煙者を迫害する動きが見られ、それ故に喫煙者が嫌われる傾向があるのだ。

 これまでまともに女性に好かれたことのない一樹。そんな中、一人の美少女が自分に好意を持ち始めたのだ。嬉しいほかない。


 だが相手は二十も年下。

 自身の容姿が十八歳ほどで止まっているため、周囲から変な目で見られることはないだろうが、問題はそこではない。

 養子の好きな人の親友なのだ。もし紗菜と付き合い始めればエイトから白い目で見られ、そんな父親がいると失望した三咲がエイトと関係を断ってしまう可能性もある。そうなれば、エイトに殺される他ない。エイトに能力をフル活用されれば、流石の一樹も無事では済まない。


 そもそもの話、いい歳した大人が未成年――しかも現役女子高生に手を出すのが色々とヤバいのである。


「……はぁ」


 仮の上記の事が許されていたとしても、一樹の中にある未練が彼を止めてしまう。

 その未練を断つことは、命の恩人を裏切る行為――


「?」


 考え事をしていると、スマホに着信が入る。

 瑛弍から電話がかかってきたのだ。


「……オレだ」

『おかけになった電話番号は、現在電波の届かないところにありません。ピーッと音が鳴りましたら、伝言をどうぞ……ピーッ!』

「事務所の冷蔵庫に入ってたプリンなくなってただろ? 食ったのはオレだ」

『マジ!? あれ高級プリンで高かったんだぞ!?』

「あんなところに置く、お前が悪い」

『許可無く食べる方に非があると思うんですけどぉ?』

「…………それで、何の用だ?」

『あっ、そうそう。念のためお前に報告しとこうと思ってな……』


 瑛弍は一瞬溜めてから、言葉を出した。


『――――【アルカロイド】が本格的に動き始めた』

「…………」

『たった今俺は末端構成員の首をお手玉にしたところ。何の情報も得られなかったが……そろそろやべぇ奴らも攻めてくるはずだ」

「あぁ……わかってる」

『エイトは問題ないかもしれないが、その周辺――昭伍くんや三咲ちゃんたちも狙われる可能性が高い。特に紗菜ちゃん……俺の直感が当たれば、真っ先に狙われる。お前を脅す人質として俺以上に効力を発揮するからな」

「……何が言いたい」

『お前が紗菜ちゃんを守ってやれって話! 俺みたいなブサイクゾンビより、イケメンに守られた方が紗菜ちゃんも喜ぶって!」

「……はぁ」


 一樹はため息を吐いた後、新しい煙草に火を点けた。


『……一樹、余計なお世話なのはわかっているが…………お前はお前の人生――『星守一樹』の人生を送ってほしい』

「…………」

『俺の姉貴もそう思っているはず――いや、そう思ってたから、自分の命をお前に――――』


 耳を塞ぎたくなった一樹は衝動的に電話を切り、一服する。


「そんなことしたら、『片桐沙七』の人生が無駄になるだろうが…………!」


 一樹は自分の気を落ち着かせるために、イヤホンを取り出し好きなバンドマンの曲を聞き始める。

 しかし、イヤホンの片側から大きなノイズが聞こえたかと思うと、聞こえなくなってしまう


「……流石に壊れたか…………予備を探すか」

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