あなたへ贈る最後の言葉
何かを継続するって本当に難しいことですね。続ける理由よりやめる理由のほうが何万倍も見つけやすいですから。飽きたとか、限界を悟ったとか、忙しいとか……投げ出す動機はいくらでも転がっているのに、がんばり続けるための燃料は限られている。気づいたらガス欠に陥り、惰性だけで走っていたなんてこともありがちです。
唯一「生きていくため」というモチベーションは半永久的に使える動力源ですが、だからこそ生活に直接貢献しない趣味や娯楽には使えない。私の場合もプロではありませんから、いくら努力したところでお金は貰えませんし、誰かに面と向かって誉めてもらえることもありません。一体何のために続けているんだろうと虚しくなることは多々あります。
すいません。かなり愚痴っぽくなってしまいました。でも、私とあなたは、ある種の運命共同体のようなものです。あなたのような方がいてくれたからこそ、私も今までこうして活動を続けられました。ひょっとしてどこかで誰かが喜んでくれるかもしれないという希望的観測が私のモチベーションなのです。だから、もう少しだけ付き合ってください。
性格上どうしてもネガティブになりやすいのですが、振り返ればそもそも好きだからこそ始めたことなんです。それだけで続けられるものではありませんが、それがなければやってこられませんでした。認めるのが気恥ずかしくて誤魔化したくなるのですが、どんなに辛く苦しく感じることがあっても、やはりこのひとときが楽しくてたまらないのです。
……ああ、良かった。ここまで30分。これは歴代自己新記録更新です。まさに継続は力なり、ですね。こうして日々小さな成長を探すことも、私なりの燃料補給なんです。
長々と私事ばかりお話して申し訳ありませんでした。ですが、あなたも今際の際に知っておきたいのではないかと思ったのです。一体どんな人間に自分がこれから殺されるのか。
私は心の底から湧き上がる感動に打ち震えています。あなたは最後の最後まで猿ぐつわごしにおぞましい罵詈雑言を吐き続け、悪人としての矜持を貫いてくださいました。私の行為が世の中のためになっていると実感できるのは、あなたのおかげです。
お待たせしました。証拠の隠滅も全て完了です。残るは最後の仕上げだけ。
それでは、さようなら。