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ヤバい奴らとヤバい生活 in 異世界  作者: バウム
第一章 神々の襲撃編
14/40

布石【序】

 




 振り返ると、魔王が倒れていた。





 その端正な顔を苦痛に歪め、一筋の汗が首筋へ流れ落ちる。

 その垂れる汗すら美しく、目を奪われた…が。



 奪われている場合ではない。


 動揺。


 自分が今、動揺していることが理解できた。

 うまく思考が纏まらない。


 何故?

 先程、体調を悪くしている様子を見せた魔王。

 この世界に細菌やウイルスが存在しているのかは知らないが、魔王が風邪や病気に罹るなんてことあるか?


 額に手を当てる。

 高熱は出していない。

 では何故倒れた。


 こいつは朝から、神界へ行くために必要なモノを得るため出掛けていた。


 有り得ることとして、その出掛け先で誰かに何かされたか。


 攻撃を受けたことを隠していたか。


 何故おれはここまで動揺している?

 ただ倒れただけだというのに。


 落ち着け。

 この魔王は、おれの本性を曝け出しても受け入れる態度を見せた。

 こいつのお陰で、おれはこの世界に居場所があると分かったのだ。

 これは貴重である。

 失うことは、したくない。


 そう…貴重なものが壊れた可能性があるから、動揺しているのだ。

 だがここで最もすべきは、冷静になることである。




 よし。


 とりあえず魔王をベッドまで運んだ。

 仰向けに寝かせた後、まだ十分スペースが余っている寝台にネコ娘も運び込む。


 改めて、魔王の容態を確認してみる。

 目を瞑って、苦悶の表情で脂汗を額に浮かべる魔王。

 とりあえず熱は無い。

 では何故ここまで苦しんでいるのか。


 魔子が十分にありさえすれば、魔体を維持できるというのが魔族の常識。

 ならば、魔体=身体についた傷はどうなるか。


 先日ゼオグリフの奇襲によって目覚めそのまま戦った魔王は、ヤツのレーザーを何度か掠めたらしく所々に傷を負っていた。

 しかし、おれと同じ部屋で少しの時間を過ごすと、その傷はすぐに綺麗さっぱり治った。

 つまり、おれの放出する魔子を吸収し魔体を自己修復したのだ。

 外傷だけでなく、内傷についても同じことが言えるだろう。

 むしろ身体の内側にあるのだから、治りはそっちの方が早いのでは無いだろうか。


 見たところ外傷は全くナシ。

 医者でも無いので内側の損傷については解剖する以外に調べようがない。

 内傷がある場合だが、魔王が帰ってきてそんなに時間が経っていないため、まだ魔子による傷の修復が完了していないだけという可能性もある。

 その場合はただおれが近くに居るだけで回復するのだろうが、その可能性を丸っきり信じてこのまま放置するわけにもいかない。


 となると、次は魔子関連についてだ。


 先程魔王が倒れた際に軽く保有魔子量を確かめたが、現在は大体70%程をキープしているようで量的に問題は無い。


 それでは、と体内を巡る魔子の流れを注視してみる。

 これらも全く異常が無いようにみえるな。

 魔王以外の生物の魔子の巡りは見た事が無いが、しっかりと体内を隈無く循環しているので問題は無い…と思う。

 例えば絶えず魔子が身体から出ていってしまったりとか、逆に際限無く大量に魔子を吸収したりとか、そういった異常は見られない。


 他には、何がある。

 何か他に異常がありそうな場所…問題となりそうな部分は無いか。

 もしくは見逃している外傷・内傷があるか。



 軽く服を脱がして身体を見たが、傷は一切無く美しい艶肌を保持している。

 その綺麗な肢体を見てしまうと途轍も無く開きたくなってくるが、それには易々と耐える。

 今はこいつを万全の状態に戻さなければならないのだ。



 身体的損傷無し、魔子の流れも異常無し、となると…八方塞がりだ。

 少なくともおれの知識の範疇では。

 脳に何らかの傷害を受けている場合も考えられるが、確かめようが無い。


 他に考えられる事としては、やはりこの異世界におけるおれのまだ知らぬ害。

 魔子とは全く関係の無い点で、人には認知されにくいように被攻撃者に害を与える何かしらがあると仮定する。

 前世の知識で思いつくものといえば、「呪い」がそんな感じだ。

 ファンタジーの世界にしか無かったものだが、そのファンタジーの世界において、魔法と呪いは多くの場合別枠として扱われていた記憶がある。


 つまり、今のおれに魔子は知覚出来ても呪いは知覚出来ない可能性がある。


 そもそも呪いがこの世界に存在するのかどうかすら確定してないし、あったとしても確かめようが無いのだから、やはり八方塞がりになってしまったと言わざるを得ない。


 今朝、出掛けた魔王がどの方角に行ったのかくらいは見ておくべきだったのかも知れない。

 呪いの類の攻撃を受けたなら、その攻撃者に解呪させたりそいつを殺したりすれば済むわけだからな。



 迂闊だった。


 この世界に来て、命が危険に晒されるような状況に出くわさなかった…というより、まず前の世界でもそうだった。


 日本という世界の中でもかなり平和な国に生まれて、おれの安全観は育まれた。

 まぁ最終的にはカツシに突き落とされて死んだわけだが、死んだという自覚はあまり無い。

 いきなり異世界に来たと思いきや、タコ殴りにされたりとかはしたけど命の危機は一切感じなかった。


 そのせいで、どこかこの世界に対する油断が生まれていたのだろう。

 油断と言っても、その油断でおれ自身に危害は加えられない。

 油断というのは、仲間の安全に対するものだ。


 魔王を放っておいても、別に死にはしないと。

 そう高を括っていたのだ。


 迂闊と、そう断じて然るべきだろう。


 因みに、魔王が苦痛で倒れただけで「死ぬ」と思うなんて大袈裟な反応をしている理由は、ただの勘だ。

 何故か、先程よりずっと違和感があるのだ。

 こいつの命が危ないとおれの本能が感じるような、違和感が。



 考える。

 身体的損傷は推定だが無い。

 体内魔子の巡りは正常で、保有魔子量に変化は全く無い。

 脳や内臓に異常がある場合はこの世界の医者を呼ぶしかない。

 呪いなどおれが知覚不可能な異常を持っている場合も解呪師的な人に頼むしか無い、が…魔王を苦しめるほどの呪いがあるなら相当腕の立つ解呪師が必要になるだろう。


 後者の二点であればおれに出来るのは医者を呼ぶことだが、ここから魔族の国までどれくらい掛かるか具体的には分からない上、こいつを放っておくのも良くない。


 では前者の二点にどこかおれの間違いが含まれている可能性。


 身体に外傷は無い。

 服を全て取っぱらって見たわけではないが、大きな傷は見られない。細かい外傷でここまで苦しまないだろうし、外側の傷については間違いなく異常無しだ。

 肉眼では不可視の傷が付けられた可能性も考慮したが、魔法によるものなら魔子の動きから分かるだろうし、呪いの類ならばおれにはどうしようも無い。

 内傷は確かめられないが、もしそれが原因ならこうしている今もおれの魔子を吸収し治癒しているハズだ。

 それならば問題無い。


 では、体内の魔子。

 保有魔子量は依然七割程度を保っていて、それくらいもあれば魔体の維持に充分だろう。

 魔王の身体を巡る魔子は、一見して異常は無い。が、他の魔族と比べると実はおかしい点がある…なんてことも有り得る。

 魔子の流れを凝視してみる。

 血液のように、ポンプとなる心臓から送り出されて体内を巡り帰ってくるわけでは無い。

 全身を隈無く、同じ速度で、どこから生み出されるでも無く巡回している。



 ここで、疑問だ。

 魔子を消費して魔体を維持するのが魔族の性質だと、そう説明を受けた。

 なら、何故消費しているのにも関わらず体内の魔子が減っていない?

 それは、おれから魔子を吸収しているからだ。

 魔子の消費量と魔子の吸収量では後者の方が多いらしく、魔王はおれの近くにいるだけで魔子がどんどん回復する。


 …だが。

 そうだ。

 違和感はそれだ。


 ()()()()()()()()()()()のだ、今のこいつは。

 変化が無いのが、変化だった。


 倒れた時点で保有魔子量七割、それから数分経った今でも量が変わっていない。


 本来なら、おれから放出される大量の魔子を吸えば保有魔子量が増えていく。

 魔王がおれの付近に居る場合、数分間に約5、6%は魔子が回復するのがこの三日間で得たデータだ。

 勿論正確に計ったわけではないが、少なくとも五分程度経てば目に見えて魔子が回復するというのは確かである。


 だというのに、今魔王の魔子量に変化は無い。


 そして、それに気づけば連なって別の異常も分かる。

 今魔王はおれから魔子を吸収していないのだ。

 おれから、というより何処からも吸収してない。


 魔王の話によると、普段から空気中の魔子を呼吸と共に体内に取り込んでいるようだ。

 呼吸による吸収や魔子を得るための食べ物的なモノを介して、魔体維持をしているらしい。


 それを元に魔王の呼吸に注目してみるも、魔子は一切魔王の中に入らないのである。

 人工呼吸でおれから直接魔子を与えられないかと試してみるも、一切変化は無い。


 つまり、現在魔王は何らかの理由で魔子を吸収出来ない状態になっているということだ。

 それはマズい。

 魔子はどんどん消費されるため、このままだと魔子が尽きて消滅してしまう。


 だが、ここでもまた疑問。

 魔王の魔子量に変化が無い。

 それは、魔子が消費されていないことを示している。

 では今現在どうやって魔体を維持しているのか?

 苦しんでいるのは何が理由だ。

 どのような理由で魔子を吸収出来なくなったのか。




 知りたい。




 …昔から、知れば知るほど知らないことが増えていった。

 新たな興味が生まれる度に、それはより多くの興味の源泉となる。

 この世は未知のものだらけで、開いて中身を見たいと思うものばかりだった。

 ただ、それは社会の中で自由に出来ることでは無かった。

 満足に世界を知ることも出来ないまま、おれはその世界を去ったのだ。


 今回は失敗したくない。

 知ることが出来るものは最後まで知り尽くしていきたいと思った。

 おれは物や生物を壊したいのではなく、知りたい。

 おれの知り得ぬままそれが壊れていくのは嫌だ。

 とんでもない力をおれは持っているようだが、それで全てを知ることが出来るのならどれ程良かっただろうか。

 足りない。

 知識が、知恵が、知能が、知覚が。




 知りたい。

 この魔王の造りを。



 知りたい。

 この獣娘の中身を。



 知りたい。

 神たちの構造を。



 知りたい。

 この世界を。



 知りたい識りたい智りたい思りたい_________










































 ふと気付いて外を見る。

 一心不乱に考えていたら、日が沈んでいた。

 思考に深く入りすぎていたか。

 こんなに物事を考えるのは初めてだ。

 おれの十七年程度の知識を総動員しても、魔王を助ける術は思いつかなかった。

 当たり前だ。


 というより、なぜ前の世界の十七年でこの世界特有の異常を治せると思ったのか、我ながら不思議でならない。

 完全に無駄な時間を過ごしてしまった。

 何をしているんだ、おれは。

 ただ考えるだけでは何も変わらないと、理解していたハズなのに。

 無駄な思考に耽るより、魔族の国にでも全力で走って医者を呼ぶべきだった。




 ちらと見ると、魔王の顔は苦痛の色を失っているようだ。


 顔を垂れる汗を拭ってやる。

 昼間のことが嘘のように、穏やかな顔をしているな。

 まるで、もうその眠りから目覚めないかのようにーーーーー






 ………………びびった。

 死んではいない。

 ちゃんと呼吸をしていて、体温もある。

 再び魔子の流れを見てみると、変わらず循環を続けていた。


 ただし、昼間と違う点。

 正常に魔子を吸収・消費しているのだ。


 呼吸で魔子が体内に入り、身体中を巡ると共に段々量が減っていく。

 そして身体全てに行き渡る頃には、呼吸によって入ってきた魔子全てが彼女の魔体のエネルギーとなった。

 加えて、おれから放出されている大量の魔子もちゃんと吸収している。



 治った。



 魔王の保有魔子量を見れば、100%を維持している。

 充電満タンだ。

 そして、魔王の安らいだ表情。

 治っていると、そう言って差し支えないだろう。



 何故かは分からないが、取り敢えず安堵。

 全身が脱力しているような気分になる。

 というか頭が痛い。

 ベッドの横にイスを置いて座っていたおれだが、さすがに体勢も変えず何時間と座っていると身体に負担が掛かるな。


 立ち上がろうとすると、あまり力が入らない。

 気分ではなく、本当に脱力しているのか。


 なんとか立つと、強い目眩が起きてフラついた。

 やばい、後ろにぶっ倒れるなコレ。

 まいいか、疲れたし。






 と諦めて倒れようとしたところを、後ろから強い力で支えられた。




「大丈夫…?」




 掛けられた声は、耳を優しく羽毛で撫でられたような、繊細で心地の良い音をしていた。


 聞き覚えがあったその音色の主は、部屋の人数が三人というところからも容易に判断出来た。


 白く流れる髪に、雪のような毛を纏う耳と尻尾を持つ、あの獣族だ。

 獣の王、ラミエルである。




「ああ………助かった」



「とりあえず、そこに寝て」




 華奢な体躯の割に、自分より大きいおれを易々と支えてベッドへ連れるネコ娘。

 獣族のトップと言うだけあって力は相当あるんだなぁ、と感心していると、ベッドに押し倒された。

 おれの腹の上に跨るネコ娘。

 マウンティングの体勢だ。




「……何してんだ」



「ラミィの癖。許して」




 癖でマウンティングのポーズを取るとは、獣の王だとしてもだいぶ血気盛んな部類だな。

 それにしても、いつ見ても素晴らしい生物だ。

 獣人。

 いつ見てもと言うほど見てきたわけでは無いが、とにかく人間と動物の混合というのは実に心を揺さぶられる。

 相変わらずボロッボロな布を纏っているだけでその下には艶めかしい白肌が広がっているのだが、やはり逃亡劇の後とは思えない程の清潔さを保っている。




「そんなにラミィを食べたいなら、いいよ」



「あ?ああ、凝視してごめん」



「いい。…それより、名前」



「ん?」



「名前、おしえて」



「ああ、そうだな。忘れてた。おれは友雄。…あー、いやトモだ。この世界ではそれでとりあえず固定にする」



「…?トモ、でいい?」



「ああ」



「…………………トモ」



「はい」



「助けてくれて、ありがとう」



「ああ。元気になって良かった。いつの間に目覚めた?」



「夕暮れ時。トモ、ずっと椅子に座って動かなかった。声掛けても無視した」



「あーーー…それは悪かった、考え事をしてたんだ」



「魔王を助けるため?」



「そうだ。ずっと頭ん中の記憶を探し回ってたが、結局無駄だった。なんでこいつが治ったか、お前分かるか?」



「ラミィって呼んで」



「あぁはいはい。ラミィは何で魔王が治ったか分かる?ていうか、そもそも魔王に異常があったこと知ってるか?」



「目覚めたら、魔王が隣に寝てて、苦しそうにしてた。だから病気なのかなって、思った」



「ああ。魔子を吸収出来なくなってた。それで治そうと試みたんだが、おれに出来ることは無かったよ。そんで、そっから何か起きたか?」



「気付いてない?トモ、すごいことしてた」



「どんなことだよ」



「黒い魔球が、ありえないくらいトモのとこに集まってた。そしたら、でっかい門みたいなのが出来て、トモに入った」




 クエスチョンマークが頭上に浮かんだと錯覚する程、謎なことを言われた。

 でっかい門がおれに入った?

 おれが入ったんじゃなく?

 というか、おれは思考を回すばかりで微動だにしなかったハズだ。何故そんなことが起きた。


 …いや、今魔球と言ったか、こいつ?

 ならば、おれが魔王を治したいと強く念じた、その意思に呼応して魔球が生まれた可能性があるな。

 そこからデカい門が出来上がる原理は全く分からんが。

 魔球にはその先の形態があるということか?

 まだまだ奥が深いな、魔子。

 実験したいことが増えた。




「それで?」



「門がトモに入ったら、魔王の頭から魔子が溢れでて、苦しまなくなった」



「それ大丈夫か?大事な何かが抜けたとかそういうのじゃないだろうな…?」



「わからない。身体から魔子が溢れるなんて、みたことない」



「謎だ…本当に治ったのか心配になってきた」



「それでいうと、トモも謎。魔子を常に溢れさせてるし、魔子量もおかしい。どうして?」



「それはおれも知らん。実は神に能力を貰ってたパターンだな、多分」



「神……トモは、神の使徒?」



「神の使徒ってのが何かは知らんが、おれは神と今んとこ敵だし、お前を狙うことは無い。安心しろ」



「そんな心配してない。トモは、神から助けてくれた。けど、使徒じゃないなら、神に能力を貰ったって、どういうこと?」



「おれは違う世界から来たんだよ。魔王は異界人って言ってた。それで分かるか?」



「ラミィたちは、その異界人のことを神の使徒って呼んでる」



「ああ…じゃあおれもそうなるな」



「でも神とは敵?」



「異界人なら絶対神の手下ってわけじゃ無いだろうよ」




 そういう意味では、神の使徒と呼ばず異界人と言っていた魔王は、ちゃんとそれを理解していたわけだ。

 偏見を持たないというか、本質を見れるヤツというか何というか…。




「まぁ、おれの説明についてはあとでしっかりしてやる。それより、お前はこれからどうする?アテが無いなら、お試しでおれの仲間として行動してみないか?」



「…?一緒にいる」



「おぉし、第二メンバーゲットだ」



 一緒にいるのが当たり前、みたいなニュアンスで返してきたな。

 こいつにとっては、もう拾い猫みたいな認識でいいのだろうか。ちゃんと責任持って面倒見るとしよう。


 そのまま馬乗りにされつつ目を閉じて身体を休めると、段々と頭痛・目眩が治ってきた。

 ただ、イスに長時間座って身体が凝ってしまったようだ。

 ベッドでただ寝るだけでなく、身体をほぐしたい。




「よし、もう大丈夫だ。おれはお風呂に入ってくる」



「…あ、気づいてない」



「ん?」



「こっち、きて」




 馬乗りを解除したネコ娘がベッドから降り、部屋のドアの方へ歩いていく。

 おれも起き上がりついていくと、徐にネコ娘が魔法陣を描き始めた。




「『開放(ハルア)』」




 その魔法陣にネコ娘から魔子が流れ込み、部屋の扉が重々しい音を立てて開いた。

 その先は本来、城の廊下が広がるハズの場所。



「………は…………」



 自然と口から出た言葉は意味を成さないものだったが、おれの無理解を示すには十分な響きを持っていた。



 魔王城の二階に位置する魔王の部屋、その扉を開けた先には、なんと木も草も生えぬ更地となった黒い地面が広がっていたのだった。






初めてブックマークを頂きまして、ものすっごく喜んでいます!


あと、この物語全体を最初から読み直してみたら色々変な点が見つかったので、後々修正が入るかもしれません。

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