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お茶会は戦場です

ファンのそばを離れるのが怖くてずっとくっついていたら、私より少し年上の女の子5人組がやってきて


「ごきげんよう 初めましてですよね?私たちあなたと仲良くなりたいから、あちらでお話しましょう?」

と言ってきた 私には分かる

これは行ってはいけないと。絶対なにかされるじゃん…


怯えている私をよそに、ファンは

「良かったなクロル!お姉様たちと遊んでおいで」

と言い知らない人とどっかに行ってしまった


嘘でしょ…お父様なら愛娘のこと守ってよーー!

って心の中で叫んだところでファンには届かない。


諦めてお姉様たちの後に続き、人気(ひとけ)がない裏庭まで来てしまった


どんな口実でいじめられるのだろうか・・・


裏庭の真ん中まで歩いてきたところで、いきなりお姉様たちは立ち止まりこちらへ振り返った

5人の手にはティーカップがある


冷たい空気が流れる中、真ん中のTheリーダーのお姉様が口を開いた

「どうして()み子がアスラン様の娘になっているのかしら?」


「…忌み子とはどういう意味でしょうか?」

恐る恐る聞いてみる だって私のどこが忌み子と呼ばれる所以(ゆえん)なのかわからないんだもん!


すると5人は一瞬の沈黙のあと、大声で笑いだした

「あんた、その格好でよく堂々としてられると思ったら忌み子のこと知らないのね?」


この世界じゃ知らないほうがおかしいのだろうか…

「知らないので…教えてくださると嬉しいのですが…」


クスクス笑いながらも彼女は教えてくれた

どうやら、私の髪の色が忌み子と呼ばれる所以らしい


私の髪色はかなり特殊で頭部の上半分が銀髪、下半分が黒髪となっている

これは生まれつき。


「あの…白髪が忌み子なら私は忌み子ではありません」

と言ってみた 実際は銀髪だからね!誤解は解いておかないと!


はぁ?と言われたけど私は続ける

「この白髪に見える髪、実はよく見ると白じゃなくて銀なんです」


すると彼女らはまた大声で笑いだした

「白に見えたらそれは白なんだよ!!」

と言ってリーダーお姉様がティーカップに入っていた

お紅茶を私に向かってぶちまける


あまりの状況に困惑していると残りの4人が近づいてきて、私の頭の上からお紅茶をこぼしていった


「あんまり調子乗ったこと言うんじゃねぇよ」

とご令嬢とは思えない口調で私にとどめを刺すとお茶会の広場へと5人仲良く帰って行った


1人残された私はびしょびしょのまま立ち尽くすしかなかった

幸い、熱々ではなく冷えていたから火傷はしなかったけど

こぼしていったのがお紅茶ということで香りは良かったが、相当お砂糖が入っていたのかドレスと髪の毛はベトベトになってしまっている


どうしよう……ファンやアヤに迷惑かけちゃう


考えてもどうにもならないので、とりあえず乾かすことにした

ドレスを脱ぐわけにはいかないから、陽の当たるところに立って乾くのを待つことにした


そこでボケーっとしていると、後ろから声をかけられた

「おい!お前そんなとこ突っ立って何してんの?」


振り返ってみると赤髪が綺麗な幼児がいた

口調は漢気(おとこぎ)あふれてるけど、姿はとても可愛らしい


「……お紅茶をドレスにこぼしてしまったので日に当てて乾かしていたんです」

ある意味ウソではない返答をすると、彼は ふーん と言いながら近づいてきた


「俺は大勢に囲まれてチヤホヤされてたんだけど、疲れたから抜け出してきた」

今度は彼がここに来た理由を教えてくれた


「お互い大変ですね…」

と言うと あぁ とだけ返ってきた


そこで会話が途切れ、しばらく沈黙が続く


……何この状況?と思っていると女性の声が聞こえてきた

「殿下ー!!どこにいらっしゃるのですかー?殿下ー」


殿下?ってことは王子様?

ほえーーこのお茶会には王子様も来てるのか

ていうか、この国って王国なんだ


と新しい発見に内心喜んでいると、さっきまで近くにいた赤髪の子がいなくなっていた

いつの間に消えたんだ……と思っていると、殿下を探してるメイドがこちらに近づいてくる


「あなた!殿下みなかった?」

いきなり話しかけられてビックリしたけど、殿下はそもそもどういう容姿なのか知らないから みてません と答えておいた


メイドは おかしいわねぇ〜こっちに行く姿が目撃されているのに… と言いながら広場のほうへ戻っていく

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