いざお茶会へ
「お昼ご飯はいつ食べるの?」
お茶会は12時30分からとなっている
お昼ご飯を食べる時間はあるのだろうかと思い、ドレスを着てアヤに髪を結ってもらってる時に聞いてみた
「何を言ってるんですか?お茶会が昼食代わりになっているのですよ」
呆れた声でそう言われた
そう…そうなのか。
お茶会という名の会食ってことか!
「じゃあさ!お肉とかパスタも出るの?」
「出ると思いますよ。それにお菓子もジュースも沢山!」
うわぁぁ!!マジか!それは楽しそうだな〜♪
お茶会について話してるうちに身支度が整った
今日の髪型はポニーテール!
アヤはとても綺麗に結ってくれるから仕上がりを見るのがとても楽しい
「お嬢様!もう12時ですから早く行かないと!」
うお!まじか!あと30分でお茶会始まっちゃう!!
急いで玄関まで行くとキリッとした服装のファンが待っていた
いつも正装だけど今日は一段とキリッとしてる…
「カッコイイですね!お父様♪」
「ありがとう クロルもドレス似合ってるぞ〜」
「えへへ」
すっかり親子っぽくなった
ここまで親子ならもう親子以外に見えないだろう
馬車に乗るため外に出る
何気に外に出るのはこれが初めてだ
部屋の窓から見ていただけの庭がいま目の前に広がっている
それだけの事なのにとても興奮してしまう
こんな緑豊かなところに、ポツンと一件のお屋敷
秘密基地みたいで心が踊る♪
「クロル 早く乗りなさい」
ファンの声がする方へ目を向けると、キラッキラに装飾された馬車があった
私は全力で馬車へ向かう
近くで見るとより一層すごいことがわかる
目をキラキラさせて馬車の外見を見ていたら、ファンにひょいっと持ち上げられ馬車の中に入った
そして馬車が動き出す。
中も綺麗で埃1つない真っ赤な座席
ファンの膝の上に乗せられてるけど、座ってみたいからファンの腕を抜ける
手で触ってみると案の定フワッフワで気分が上がった
お尻をつけようとした時、ファンに抱かれてまた膝の上に戻された
「何するんですか!!私も赤いとこに座りたいです!」
ふくれっ面で訴えるとファンは素直に私を赤い座席へ座らせてくれた
フワフワを堪能していたら、馬車が砂利のとこを通ってるのか激しく揺れた
「…うわぁ!……お、おわぁぁ!」
体重が軽い私は馬車が激しく揺れる度に宙に浮いてしまう
なるほど…ファンはこれが分かってて膝の上に置いてくれていたのか。
私から赤い席に座りたいと言っておいて、揺れるからやっぱ膝の上〜なんて言ったらいい笑いものだ
絶対に膝の上に戻らないぞっ!!
私は揺れる中座席の上を四つん這いで動き、乗り降りするときに使う棒に必死に捕まった
それを見たファンは ぶっ…くくくっ…… と笑っていた
結局笑われるとは…
ガッカリしているとファンが私を抱き上げ、膝の上に戻してくれた
「・・・・・あ、ありがとう・・・・・」
感謝の言葉を伝えると いえいえ☆ と返ってきた
これは黒歴史確定だなあぁぁ〜
揺れがおさまってきたなと思ったら前の方から 着きました と声が聞こえた
馬車の扉が開かれる
扉の向こうには…たくさんの貴族がワイングラスを片手に談笑していた
お屋敷の広場一面にテーブルが配置されており、その上には美味しそうな料理がズラリと並んでいる
貴族の足元を見ると私と同じくらいの小さい子らがいた
ファンは私を抱きかかえて馬車を降りた
「すごいですね…まさかこれ程のものとは思いませんでした」
唖然とする私を地面へ下ろすとファンはこう言った
「これは中くらいの規模だね。もっと大きいお茶会もあるよ」
お貴族様は華やかなのが好きなんだな〜と思った
すると黒髪の美青年がこちらに気づき、小走りで寄ってきた
「今回はお越しくださりありがとうございます!」
ふむ。この美青年が主催者ってことか
美青年を見上げているとこちらの視線に気がついたのか、しゃがみこんで挨拶をしてきた
「こんにちは お嬢様。今日は来てくれてありがとね」
と言うと、ニッコリ笑って再びファンと話し出した
こっちの世界でも子どもに対しては簡単な言葉で話しかけるんだな と思った
黒髪の美青年が別の人のところへ行ったので、私がなにか食べましょう と提案しようとした時また別の誰かがファンの元へやってきてお話を始めてしまった
ここで察した お茶会はこういうものなのだと。
これなら普通にお昼ご飯食べる方が楽しいし美味しいじゃん…と思った