神様の好きな幼女にされてしまった
それにしてもでっかい家だ
かれこれ5分は歩いてる気がする
疲れたな…と思いだした頃ようやく書斎に着いた
執事っぽい人がコンコンとノックをすると中から怒号がとんできた
「エス!何度言ったらわかるんだ!ノックは3回だっ!2回のノックはトイレだぞ!!ここは書斎であって断じてトイレではなーーい!」
すっげーデカい声 ふわふわしてた気持ちがサーッと無くなっていくのがわかる。
「し、失礼致しました ファン様」
異様に縮こまるおじいちゃん・・・なんか可哀想だな
「わかればいい!入りたまえ!!」
声だけでふんぞり返ってる様子が伺える
このファンって人が私をここに連れてきたのか…?
おじいちゃんは扉を開けて私を書斎に通すと、扉を閉めてしまった
えっ!?嘘でしょ 2人きり!?おじいちゃーーん!!
あわあわしているとファンとやらが話しかけてきた
「…やぁ調子はどうだい?純白黒瑠」
さっきまでとは雰囲気が違う・・・心の底まで見透かされそうな強い眼差しについ固まってしまう
ていうかなんで私の名前知ってんのぉぉぉぉ!?
「あぁ、ごめんごめん いきなり知らない人にこんな事きかれても困るよね〜」
と言うと、雰囲気が最初の頃に戻った
柔らかくなった空気に私はホッと息をつく
「あの…私リビングの床で寝てたんですけど、気づいたらここにいました。あなたが連れてきたんですか?」
恐る恐る気になっていたことを聞いてみる
「そうだよ!僕は君の守護神であるイワナガヒメに頼まれてあっちの世界からこっちの世界へ連れてきたんだー!」
彼は両手を広げてそう言った
正直、何が何だかよくわからない
「ってことは、ここは異世界ってことですか?」
「君にとってはそうなるね!俺からしたら君のいた世界が異世界だけど☆」
うぅ…やりづらい……
でもこのまま何の情報を得られないのは1番ヤバい気がするから立て続けに質問してみる
「えっと…私の守護神?イワナガヒメ?ってことは神様によって私はここへ来たと…?」
言われたことを確認してみる これでも頭はフル回転させてるほうだけど未だに分からないことだらけだ。
「そゆことー!イワナガヒメとは昔から仲が良くてね〜チラチラ君のこと一緒に見てたよ!彼女、君のことすんごく心配しててね〜 だから君のことはよく知ってるんだ〜」
「は、はぁ……」
だから名前も足のサイズも知っていたのか
足のサイズ知ってるってなんか怖いかも…
まあ!今は情報の整理が優先だ!
つまり…私の守護神であるイワナガヒメという方が私の哀れな人生を可哀想だと思い、こっちの世界へ連れてきたと?
んん〜何故イワナガヒメは自身ではなくファンに私を連れてこさせたんだ?てか、そのイワナガヒメってここにいるのかな?
私が回転の悪い頭を必死で使っているとファンが説明を始めた
「イワナガヒメは女神の宴に出てるからここにはいないんだ。数日すれば帰ってくると思うよ〜 彼女自身が君の目の前に現れないのはそれが神の掟だからさ。守護神は守護している者の前に現れてはいけないんだ」
全て見透かされている…でも分からないことがわかった
と、ここで1つ疑問が浮かぶ
「ファンさんはイワナガヒメさんの下僕なんですか?」
「…ッんな!?そんな訳ないだろう!!世界を渡ることは神のみぞ出来る荒業なんだ!俺もれっきとした守護神だっ!」
これは驚いた ファンさんも守護神だったとは。
「それに、僕はいまファン・アスランと名乗っているがそれは偽名だ。俺の真の名はゾウカサンシンだ!」
すごい決めポーズしてるけどゾウカサンシンって聞いたことないから反応に困る…
「そ、そうなんですね〜 わー すごーい」
明らかに棒読みになってしまったが、彼は誇らしげに笑っている
話が一段落したところで あ、そうだ!とファンが何かを思い出したように呟く
「俺さ美女や可愛い子好きだけど、1番好きなのは小さい子なんだよね〜」
何を言ってるんだこの人は・・・いきなり好みを暴露したぞ 18歳の女子の前で!
それにさっきから1人称が定まらないのが気になる…
俺って言ったり僕って言ったり 情緒不安定か?
そんなことを考えているとファンは私に向けて右手の掌を見せてきた
「な、なんでしょう?」
「イワナガヒメは君を幸せにするなら何をしてもいいと言ったんだ!だから俺の好きな幼女にする!」
はあ!?ちょ、ちょっと待って!幼女にする!?
抵抗など出来ず、目の前が一瞬真っ白になる
光がおさまり目を開けると 立っているはずなのに視界がかなり低くなっていた
ま、まさか…本当に幼女にされたーー!?