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メタルスライムと異世界ライフ  作者: 紫宵 春月
空中都市ロガロナ
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7.書庫からの脱出

おはようございます。

寝て起きて気づいたんですが、とても喉が乾きました。


そうです。

水がないんです。


食料庫に備蓄されているのはワインなんです。

ちょっと飲みました。

とても渋かった。

色も真っ黒だったし…


そういえば、食料庫の床の魔方陣はやはり食品保護のためのものだったようで、防護の魔法を施していると書庫にある本の1冊に記述があった。


やっぱり魔法あるんだなぁ。

使ってみたいな。


で、ローナちゃん改め、ナツミがメタルスライムに入ったことでステータスに変化があった。


ーーーーーーーーー

Name:シロガネツムギ


FP:1020/1020


Familiar:コンプレスメタルスライム

FamiliarName:ナツミ


Skill:

『吸収:B』

『転写:C』

『圧縮:E』

『人化:E』

ーーーーーーーーーー


名前の項目が増えたのと、『人化:E』のスキルを会得した。

後、寝る前にずいぶん減っていたFPは僕が寝ると全回復していた。

寝たら回復するなら、あんまり気にしなくて良いのかもな。


後、もうひとつ。

『おはようございます。ご主人様。ご主人様が寝ている間、誰も来ませんでした!』


メタルスライムは眠らないんだな。

ナツミも、メタルスライムの特性に引っ張られてなのか寝ていないようだ。


「そろそろ、探索したいなと思うんだけど。」

『探索ですか?』

「うん。水が欲しいんだよね。」

『そういえば、あたし達はどうやら飲食は不要みたいです。』


だろうね。

便利だね。


『体型も自由自在ですから、ご主人様の嗜好に合わせられると思います!』


なんて?


『スキル:人化は、あたしの体を構築するスキルです。ランクが上がれば、ちょっと大きくしたり、逆に小さくしたり出来ると思います。どこをとは言いませんが…』


照れるなら言わないで良いんだよ。

そう言うのは…お互いちょっと早いと思うし…


興味はあるけど。

いや、違う。

忘れて。


「…んんっ。探索を、したいんだけど。道案内とか…出来る…かな?」

『ふぇ!?あ、はい!任せてください!ダンジョン化していなければ、確実に案内出来ると思います!』

「ダンジョン化?」

『そうです。えーと…これに詳しく書いているのですが、魔力と生物の思念によって練り上げられた、指向性を定められた空間です』

「生態系が出来上がってる異空間ってこと?」

『異空間ってほどではないです。例えば、スライムは魔力と水があれば発生するので、池で魔物が死んだなら、血中魔力と水が反応してスライムになります。これのとても規模が大きい現象だと思ってください。』

「建物の魔物化?」

『ですです。生きるために魔力を吸収するので、体内で魔物を生み出して、冒険者と殺し合わせるんです。血液を吸収することが、一番魔力吸収の効率がいいですから。』


つまり、ダンジョン化ってのは多岐にわたる意思の魔力で束ねられた魔物で、指向性があるというのは、ゴーストが出やすいダンジョンとか、ゴブリンが出やすいダンジョンといった感じで、生成出来る魔物に偏りがあるってことだろう。


よくよく考えるとここは空に浮かんだ魔王の城。

魔力なんていっぱいあるだろう。


「多分、ダンジョン化してる気がする。」

『…あたしもそう思います。』

「だよねぇ。」

『でもでも、お役に立てると思います!メタルスライムさんもヤル気満々です。』


そうだろうね。

メタルスライムは割りと血気盛んだったもん。


そういえば、剣身を吸収されたオーガはどうしてるだろう。

ドアの前に居たりして…。


そろりとドアを隙間から除ける程度に開ける。

見上げると、赤い瞳が見下ろしていた。


ガチャ。

…うわー…居たよ。

ドアの前にアイツ居たよ。


爪先から頭の先まで2m以上はあるだろう。

皮膚は赤黒く、全身の筋肉は引き締まっている。

野生を感じさせる角と牙は、魔物であることを主張している。


ドン!ドン!ドン!

強く扉を叩く音。


扉を破られることは無いようだけど、このままじゃマズイ。

そもそも、あいつがずっとあそこにいるならこの書庫から出ることが出来ない。


『あたしに任せてください!』

「いや、でも、めっちゃ強そうだよ?」

『この城にいるなら、あたしにも出来ることがあるはずです。城主の娘ですもん!』


いや、そうなんだけど、見た目はメタルスライムなの、忘れてない?

城内の魔物に認識してもらえないかもしれないよ。

『行きますよスライムさん!いざ!てやー』


掛け声とは裏腹に、ぽよぽよとドアに近づきこっそりと開ける。


無言でこっそり閉じる。


ドンドン!ドンドンドン!

『ひゃぁぁ』


ほらー。

やっぱり。


『…どうしましょうか。』

「どうしようか。」


ずっとドアの前で待ち伏せされると、出られないんだよなぁ。


『防護の魔方陣があるから、書庫には入ってこられないみたいですけど、これは困りましたね。』


二人で頭を抱える。

多分メタルスライムの方がオーガより足は速い。


「例えば、ドアを開けてすぐ、オーガの足の間を抜ける…とか?」

『あたしがオーガの気を引くことが出来れば、ここから出ることが出来ます!』

「ナツミじゃなくても、スライムさんに任してもいいんだよ?」

『あたしやります!お役に立ちたいです!スライムさんも後ろは任せろって言ってくれてます!』


…ええ子や。

体一つしかないから後ろも何も無いと思うんだけど。

もしかして、後ろも見えるの?


ぷよんぷよんと自己主張している。

これはスライムさんだな。


「よし、まぁ引き付けてもらっても、目的地決めてないんだけどね。」

『それなら地下に向かうのが良いかもしれません。地下には城のための大きな食料庫がありますので!』

「食料庫…ここにあった食料庫とは別にあるの?」

『この書庫は父上のプライベートな時間が欲しいと作られた場所になります。ですので備蓄も保存も最低限だったと思います。』

「通りで嗜好品ばっかりだったんだな。」

『大きい方の食料庫なら水もあるかもしれません。…ええと…あ、これです。ここに、城内の地図がありますよ。』


言いつつ、メタルスライムが触手のようなものを伸ばして一冊の本を渡してきた。

使いこなしてるなぁ。


………なるほど。

僕が今いる場所は最上階のすぐ下。

この部屋の他に二つ部屋があり、ひとつはローナちゃんが使っていた部屋、もう一つはローナちゃんのお母さん、つまり王妃の部屋だったそう。

下へ行くほど、業務スペースがあるらしい。

魔術の研究室とか、会議室とか。


目的地としては地下の食料庫なんだけど、どうやら最上階の魔王の部屋から地上までは直通で行けるらしい。


地上階は大きな広間と奥にある謁見の間。

玉座の後ろに地下への階段がある…。


RPGみたいですね。

え?地下に宝物庫?


んーロマン。

まぁ宝物が残ってる気はしないんだけど。

勇者とやらに攻め込まれてるからね。

期待せずにいこう。

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