とある傾国の少女の末路
とある王国で有力貴族の跡取りを次々と破綻させた稀代の悪女。
いったい何が悪女というにはあまりに幼い少女を駆り立てたのだろうか。
「この、売女」「人でなし」「お前のせいで」「あんたのせいでうちの息子は」
「あばずれ」「人の婚約者を横取りするなんて」「貴様のせいだぞ」「この金食い虫」………
どうして?どうしてこうなっちゃったの?
私はどこで間違えたのかな?
言われたとおりにしただけなのに。
ただシアワセになりたかっただけなのに。
…私はちゃんとやったよ。
言われたとおり男達をトリコにして、婚約破棄させたよ。
言われたとおりあいつらを破滅させたら返してくれるんじゃ無かったの?
そのために、ねえ、私、がんばったよ。
好きでも無い男に触られても、キスされても、襲われかけても、ちゃんとガマンしたよ。
えらいでしょ?
だから早くかえしてよ。
かぁさんとおとーとをかえしてよ。
下町のあの家にかえしてよ。
ねえ、かえしてくれるって言ったよね。
…なんで私、牢屋に入れられているの?
もうすぐ処刑だよ、ってどういうこと?
私がちゃんとやったら家族3人で暮らしていいんじゃ無かったの?
もう2人とも死んでるってどういうこと?
…ウソ、ついたの?私をだましたの?
あ”ぁ”ぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいどいひどいひどいひどいひどいひどいひどいどい…….。
この人でなしっ。悪魔。畜生。**野郎。**。***。
…….あんたのこと一生恨んでやる。
死んでも恨んでやる。あんたの家族も子孫もみぃーんなみんな恨んでやる。
みんな苦しんで死ね。未来永劫苦しめ。末代まで祟ってやる。
***
中略
有力貴族の跡取りを次々と破滅させた稀代の悪女はかくて処刑された。
彼女が何を思ってこのような暴挙にでたのかは現代に伝わっていない。
しかし、彼女の死後、我が一族の者が次々と非業の死を遂げた。
当時の記録には本家の当主が「あの女の呪いだ。」と言ったことが記されている。
それが何を意味していたのか今となっては不明である。稀代の悪女「マリア・ルイーサ・デボワ」が何らかの形で関与しているのであろうか。
とある伯爵家の記録より
解説
少女は某伯爵の私生児だったが、その美貌故に伯爵に目をつけられ家族を人質に取られた上で
ハニートラップ要員として秘密裏に伯爵家に引き取られ、いいように使われた挙げ句、
最後は血縁上実の父親に売られて処刑された。
発育がよく、大人びた顔立ちだったが実際のところかなり幼く、また碌な教育も受けていないためいいように使い捨てられてしまったのである。