ヒーローになるためには二
僕の名前は、青井彼方。ヒーロー志望であり、今日は面接を受けに全知全能の本部へと向かっていた。
バス停に辿り着くと、ちょうどよく全知全能行きのバスがきた。
驚くことに、バスの中はとても混雑していたが、座席は殆ど空いていた。
何で座席が空いているんだ?と疑問に思いながらも、座ることにした。
座席に座った瞬間、周りがチラチラと僕を見てコソコソ会話をしていた。一体何なんだ?
しかし今日は面接日だ。あまり深くは考えるのはよそう。僕はバスに揺られながら、ふと思った。
ヒーロー会社の面接って、どんなことを聞かれるのだろう?
学校で面接の練習を散々したが、役に立つのか?
まあ、やらないよりかはマシだけど。
しかし僕は今日、夢にまで見たヒーロー会社に足を踏み入れるのだ。
全知全能の敷地内には、関係者以外立ち入り禁止であるからして、敷地外から写真を撮るのも禁止なのだ。
そんな稀有な地に足を踏み入れるのだから、自然と胸が高鳴った。
期待と不安の感情が入り交じる。だけども、ワクワクしてしまうのは仕方ないだろう。
十分ほどでバスは停まり、目的地へと辿り着いた。
バスを降りてから、数歩歩いた僕は目を丸くした。
何だこれ!?
なぜなら、全知全能の建物の全体像が全く見えないからだ。
全知全能のパンフレットを読むと、敷地面積が約0.18平方キロメートル m²あるそうで、建築の完成に二年かかったそうだ。
この建物を上空から見た場合は星形であり、ヴォーバン様式と呼ばれる建築方式だとか。火砲にとても強く、まさに要塞である。
豆知識だが、全知全能の壁や床は、近代に発見された希少なNイト鉱石でできており、とてつもなく頑丈である。
その耐久性は、弾道ミサイルを受けても耐えられる設計だとか。
及び腰になりながらも、僕は入り口のガードマンに受験票と登録してある指紋のチェックをしてもらい、建物の敷地内に入る。
凄っ、、、。
建物の敷地内は、受験生で溢れていた。話には聞いていたけど、凄いな!
周りの受験生を見ると、みんな個性的な格好をしている。僕だけスーツで、正直かなり浮いている。
面接の会場へと向かおうと歩を進めると、後ろの方から女の子が、大きな声で誰かを呼んでいた。僕は気になって振り返る。
「君ー、君だよ。スーツを着ている男の子」
「僕ですか?」
「そうだよ君だよ」
どうやらこの少女は、僕を呼び止めていたようだ。しかし、誰?
見覚えはないが、茶髪のとても顔立ちが整っている少女で、一見お嬢様のような雰囲気もある。
だが、何故ゴスロリファッションなんだ?黒や白を基調としていて…うん、凄く目立ってる。
そして初対面であるにも関わらず、この場で浮いている僕に話しかける行動力。グイグイくるタイプの女の子何だと思った。
「えっと?初対面ですよね?」
「うん、初対面だよ。これ落としたよね?」
「んっ……?」
よく見たらそれは僕の受験票だった!
「ありがとうございます」
危なかった。これを失くしたら試験を受けることができなかったのだから。
「どういたしまして」
少女は僕をじろじろ見て、周りをチラチラ見る。そして難しい顔をする。
…どうしたんだろう?
「私たち浮いてるね」
デスヨネー。うん、さっきから気にはなっていた。
「浮いてますね…」
ゴスロリ少女は、ニヤリとした表情をすると、彼方の目を真正面から見据えた。
「浮いてる者同士、仲良くできるかもね」
彼方は苦笑しながら頬を掻いた。
「でも、それだともっと浮いてしまうと思いますよ。スーツにゴスロリ服って」
クスっとゴスロリ少女は笑う。
「でも私は、中和するかと思ったけどね。異色コンビって何か憧れるじゃない」
それには激しく同意する。異色ヒーロー、単語だけでもカッコいい。
「わかります。異色ヒーローってカッコいいですよね」
「うんうん、わかってくれるか同士よ」
ゴスロリ少女はにっこりと微笑んだ。
「そういえば、まだ名乗っていなかったね。私の名前は、佐飛古日根。トップヒーローを目指しているよ。君は?」
古日根は、彼方の返答を期待するような目で待った。




